いよいよiPhone 16シリーズ発売に。どんなサイクルを考えておくのがいいのか(筆者撮影)

いよいよiPhone 16シリーズが発売となる。筆者は仕事柄もあり毎年、新しいiPhoneに買い替えているが、仮に別な仕事をしていたとしたら、1年ごとに買い替えていただろうか? 壊れるまで使い続けたか? 2〜3年ぐらいで更新するのが本来、一般的なようだが、アップルストアで買うとかキャリアで買うとか、いろいろなパターンがある。キャンペーンなどまで考えると本当にキリがないが、アップルストアで買うパターンを中心に考察してみる。

15 Proは1年で9万1000円の価値?

まず、何年ごとに買い替えればお得なのかを、筆者の手元にあるiPhoneを例に考えてみた。

昨年、筆者は、iPhone 15 Proの512GBを20万4800円で購入している。


iPhone 15 Proの1年後の下取り価格は、11万3800円だった(筆者撮影)

1年間使って、9万1000円の値下がりだ。Androidスマホと比べると、だいぶ高待遇である。iPhoneのメリットのひとつは、大事に使えば価値があまり下がらない点だ。最新型のiPhoneを1年間使って9万1000円で済むというのは、まったく悪くない。1ヵ月7583円で使えたことになる。


説明がしっかりしていて、安心のアップルストア。アップルストアの店頭で下取りに出した場合、その場で査定、金額分はギフトカードで提供される(筆者撮影)

さらに買い取りショップやメルカリで売るとかすれば、若干の手間はかかるが、もう2万円〜3万円高く売れるかもしれない。

2年〜4年使うと、それぞれいくらか

同様に考えると、2年前に買ったiPhone 14 Pro 256GBは、新品時に16万4800円で、7万4000円の買い取り価格。2年で9万800円まで下がってるから、1年あたり4万5400円。月額にすると3783円だ。

3年前に買ったiPhone 13 Pro 256GBだと、新品時の価格は13万4800円(安かった……)。買い取り価格は5万3000円だ。円安の影響が大きいのだが、3年も使って価値は8万1800円しか下がっていない。1年あたり2万7266円。1ヵ月あたり2272円。


iPhone発売でにぎわうApple Store丸の内。なるべく早く買えば、長い間最新型を使えることになる(筆者撮影)

4年前に買ったiPhone 12 Pro 256GBは、新品時の価格は11万7800円。買い取り価格は3万8000円。4年で価値は7万9800円しか下がっておらず、1年あたり1万9950円で使えている。1ヵ月あたりは1663円。

当たり前のことだが1年あたりの価格は、長期間使い続けたほうが安い。激しく円安が進んだため、予想外に差が出てしまった。

話が逸れるが今後、円高傾向になっていくと逆の現象が起こる可能性も十分あり得る。今年20万4800円で買ったiPhoneが数年後、非常に安価でしか売れないかもしれない。なにしろアメリカでのiPhoneの新品価格は変わっていないので、来年以降円高に振れると新品iPhoneの価格は下がるだろう。すると必然、中古iPhoneの価格も下がってしまう。

もちろん、どちらに振れるかはわからないが、手元の型落ちiPhoneは、高く売れるうちに売却しておいたほうがいいことは間違いない。

長く使えば、期間あたりのコストは安くなるが、当然のことながら4年間使うと4年目には3年落ちの機種を使うことになる。機能として見劣りすることも多いはずだ。キズも増えるだろうし、バッテリーの持ちも悪くなっている。最新モデルを使い続けるメリットは、お金を払うだけの価値があるものだ。

『突然の悲劇』も考慮に入れるべき

iPhoneは毎日持ち歩くものだから、壊れたり、紛失したりする可能性もある。

どれだけのコストをかけても、価値は突如ゼロになる。まして、現代はスマホなしに生活するわけにはいかないから、新しいiPhoneを購入しなければならない。かなりの出費だ。

ちなみに最初の1年は、アップルケアという保証が付いているので、製品の不具合については保証される。しかし、これは偶発的な損傷(落下や水濡れ)はカバーされない。もちろん、盗難や紛失についても同様だ。


iPhoneを購入する時には、万が一のトラブルのことも考えておこう(筆者撮影)

アップルケア+に入っていれば、製品の不具合による修理はもちろん、落下や、水濡れにも対応してもらえる。完全な無償修理ではないが、非常に安価で修理できるのだ。

さらに、アップルケア+の盗難・紛失プランに入っていれば、盗難に遭ったり、自らの過失で紛失してしまった場合でも非常に安い値段(サイトに例として上がっている価格で1万2900円)で新品交換を受けられる。

iPhone自体の価値は時間が経つほど下がって行くので、アップルケア+にいつまで入っているべきかという議論はあるかもしれない。自分が紛失したり、壊したりしやすいタイプかどうかでこのあたりは判断することも必要だ。

筆者はアップルケア+やアップルケアという仕組みができて以来、ずっと加入しているが、一度もiPhoneを落下させて壊したこともないし、盗難・紛失に遭ったことがないので、完全に払い損なのだが、気持ちの問題も大きい。

なお、アップルケア+に入っている間にバッテリーの最大容量(設定>バッテリー>バッテリーの状態>最大容量)が80%以下になった場合は、無償でバッテリー交換をしてもらえることも覚えておきたい。

「街のiPhone修理店」で安く修理するという選択肢もある。アップルが正規で認めていない修理店では、正規ではなくコピー部品で修理していることは知っておきたい(iPhoneは修理部品を正規サービスプロバイダーにしか提供していない)。つまり、非正規店で修理されたiPhoneは、本来のディスプレイやタッチパネル、バッテリーの性能を発揮できない。

また、非正規店で修理された形跡のあるiPhoneは、正規サービスプロバイダーで修理してもらえなくなる可能性がある。

3年以上経った古いiPhoneを、どうしても低コストで修理したい……というのであれば非正規店で直すのもいいだろう。新しいiPhoneは正規サービスプロバイダーで修理することをお勧めしたいし、そのためにアップルケア+に入っておくことのがベターだ。

どれほど新しい機能が必要で考える

話をシンプルにするため、アップルストアで一括で買った場合で考えたが、実際にはキャリアショップで分割で買うこともできるし、最近ではキャリア契約なしで、SIMフリー機を分割で買ったりできるので、そういう場合も考えると、事情はより複雑だ。

とはいえ、やはり毎年買い替えるのは高コストで、2〜3年おきに買い替えるぐらいがリーズナブルに最新モデルに近い機能を維持して使えるのは間違いない。

アップルケア+が適用される3年という期間もひとつの基準だろう。

最新のiOS 18には、iPhone XS世代からアップデートできるので、6年前のiPhoneまでカバーされることになるが、筆者の実感としては4年前のiPhone 12ぐらいまでが日常的にストレスなく使える限界だと感じる。


iOSはXS世代までサポートしているが、筆者の感覚では現代的なアプリの機能をストレスなく使えるのはiPhone 12世代ぐらいまで。11以前のiPhoneユーザーは、最新モデルに買い替えたら感動するはずだ(筆者撮影)

iPhone 15 Proと、iPhone 16シリーズの全モデルはApple Intelligenceに対応しているが、日本で対応するのは2025年。筆者はApple Intelligenceの実用化を受け、次世代のiPhone 17シリーズはいよいよ大きな変革があると思っている(画面サイズも含め、Apple Intelligenceが実働するとニーズが大きく変化するだろう)。

未来予想も踏まえて、いつiPhoneを買い替えるかを判断していこう。


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(村上 タクタ : 編集者・ライター)