出場できなくなってしまった五十嵐有紗選手は、渡辺勇大とのコンビでパリ五輪で銅メダルに輝いた(写真・JMPA)

 長年バドミントンを応援するファンからすれば、「またかよ!」というのが正直な感想ではないだろうか。

 渡辺勇大とコンビを組み、東京、パリと2大会連続でバドミントン混合ダブルス銅メダリストとなった五十嵐(旧姓・東野)有紗。パリ五輪後はコンビを解消し、今度は桜本絢子と女子ダブルスで世界を目指すこととなった。

 ところが、五十嵐・桜本組は、日本バドミントン協会のエントリーミスにより10月15日から20日にデンマークのオーデンセで開催されるデンマーク・オープンに出場できなくなったのだ。コンビ結成から日にちも経っておらず、だからこそ実戦の場は一つでも多くほしいところ。そこで見舞われた悲運だった。

「五十嵐は9月13日に地元の北海道・岩見沢市役所を表敬訪問したんですが、表情は冴えなかったようです。普段は協会に対してもそれほど積極的に発言するわけではないんですが、さすがに今回だけは『(エントリーミスはしないようにと)何回も言っているんですけど……』とかなり怒っていたと聞いています。

 故郷に快挙の報告をするため来た、いわば晴れ舞台です。しかし話題は協会の不手際がどうしても先にきてしまう。怒るのも当然ですよ。しかも、エントリーミスは3年連続ですからね」(スポーツ紙デスク)

 まずは2022年8月のジャパンオープンでのこと。出場予定だった混合ダブルスの緑川大輝、斎藤夏組をエントリーする際、夏の名前を当時同じ所属先の姉・栞と間違って登録。同ペアは、大会に出場できなかった。

 そして2023年7月のカナダ・オープンでは、大堀彩の入国手続きで協会側にミスがあり欠場。協会が代表選手の入国手続きをオンラインで行った後、大堀の健康診断の書類を追加で提出するように求められていたが、それを見落としていたという。大堀は結果的にパリ五輪女子シングルスの代表に選ばれたが、カナダ・オープンが行われた時期はパリ五輪選考レース中。もしこの欠場によってパリ五輪断念となっていれば、間違いなく提訴問題に発展していただろう。

「2000年代、日本のバドミントン界はいい選手はいるものの世界のトップレベルとは言えませんでした。しかし、2004年に韓国バドミントン界の英雄である朴柱奉さんが日本代表のヘッドコーチに就任すると、瞬く間に男女、シングルス、ダブルス問わず、世界のトップクラスになったのです。ヘッドコーチも選手も素晴らしい。協会だけが成長しきれていない。それが協会の現状です。

 つい最近も2022年の公金横領事件がもとで、2024年度の強化費は前年度比で約5億円減の約3億円になったと発表されたばかり。そこへ、またしても今回のエントリーミス。五十嵐が怒りのコメントを発してから協会は書面を通じ謝罪しましたが、選手側はとうていやりきれないでしょう」(同前)

 当然Xにも怒りのコメントが並ぶ。

《バトミントン協会の首脳陣ってアホなの?何回同じミスしてんの?》

《日本バトミントン協会がまたエントリーミス。役員入れ替えた方がいいよ!》

《何をやってんだバトミントン協会。 一番やってはいけないこと。新たなパートナーとの晴れの門出に水を差す行為に喝》

《日本バトミントン協会、超絶使えねーな 五十嵐有紗が新しいペアで出ようとした大会、ミスで出られないだと??メールを送ってない選手もいたって??バカじゃないの??メダリストだぞ人事、一新しろ》

 多くの指摘通り、日本バドミントン協会は改革のときを迎えている。