アメリカの消費者団体や活動家、議員からなる連合が2024年9月5日に、アメリカ連邦取引委員会(FTC)に対し、ソフトウェアアップデートやサブスクリプションの追加によってハードウェアを役立たないものにするデバイスメーカーを取り締まるように要請しました。

spotifyletterdraft2 - FTCLetter9.5.2024.pdf

(PDFファイル)https://advocacy.consumerreports.org/wp-content/uploads/2024/09/FTCLetter9.5.2024.pdf

Letter: Groups call on FTC to develop clear guidance for use of ‘software tethering’

https://advocacy.consumerreports.org/research/group-letter-ftc-software-tethering



FTC Pushed To Crack Down On Companies That Ruin Hardware Via Software Updates Or Annoying Paywalls | Techdirt

https://www.techdirt.com/2024/09/09/ftc-pushed-to-crack-down-on-companies-that-ruin-hardware-via-software-updates-or-annoying-paywalls/

Activists urge FTC to ban hardware downgrades • The Register

https://www.theregister.com/2024/09/06/consumer_ftc_software_tethering

Consumer ReportsやiFixit、PIRGなど17の組織を含む連合体はFTCに対し、ファームウェアのアップデートによってハードウェアを即座に役に立たなくしたり、後から役立たなくしたりする「ソフトウェアテザリング」や、サブスクリプションを導入して主要な機能を突然ロックする行為など、反消費者的慣行を取り締まるように要請しています。

これまでにFTCは、買収で手に入れたスマートホームハブ「Revolv」のサービスを突如打ち切ったGoogleに対し調査を実施していますが、その後FTCは具体的な対応を取らなかったことが指摘されています。

取り締まりを要請したグループは「ソフトウェアテザリングやサブスクリプションの導入のどちらも、企業が製品を購入した消費者の権利を侵害する行為です。FTCはすでにこの問題に関していくつかの限定的な措置を講じていますが、明確さと実際の執行例が欠けており、消費者が購入したデバイスが長持ちするとは思えないエコシステムの横行を許しています」と批判しました。



グループは、企業によってハードウェアが役立たなくなった例として、Happiest Babyによって製造された「SNOO Smart Sleeper Bassinet」を挙げています。SNOO Smart Sleeper Bassinetは、ベビーベッドで眠る赤ちゃんに対し安らぐような音楽を再生したり、親に赤ちゃんの睡眠レポートを提供したりとさまざまな機能が搭載されていることが特徴です。しかし、子どもが成長するに従ってSNOO Smart Sleeper Bassinetが不要になり、売却または譲渡して次の所有者に移った場合、その所有者は機能維持のために月額19.99ドル(約2800円)のサブスクリプション料金を支払わなければならないことが指摘されています。

また、2021年4月に販売され、2024年1月29日をもって機能を停止した車載ハードウェア「Car Thing」の例も引き合いに出されています。FTCの技術・研究・調査局の元政策ディレクターであるジャスティン・ブルックマン氏は「企業が通告なしにサポートを終了することを決定した場合、ユーザーはデバイスが突然機能しなくなる事態に見舞われます」と批判しました。

Spotifyの車載デバイス「Car Thing」が2024年12月9日をもって完全に機能を停止 - GIGAZINE



ブルックマン氏によると、FTCに対して今回のような政策要請を実施するのは初めてとのこと。ブルックマン氏は「我々のような公益団体がFTCに今回の問題を訴えた事例は把握していません。今回の問題は比較的新しく、明確な基準がありません」と述べています。

そしてブルックマン氏らはFTCに対し「デバイスメーカーへの明確な指導と執行がなければ、事態はさらに悪化する可能性があります」と批判し、ソフトウェアアップデートを行って製品の機能を減らしたり、愛用ユーザー数が少ないキットを削除したり、購入後にサブスクリプション料金などのサプライズ料金を上乗せしたりしないよう要請しています。