アイルランドでAppleが不当に税制の優遇を受けていたとして、欧州委員会が追徴課税の支払いを求めていた一件で、欧州司法裁判所はAppleに対して130億ユーロ(約2兆円)の追徴課税を求めた欧州委員会の決定を支持しました。

Tax rulings: the Court of Justice sets aside the judgment of the General Court concerning tax rulings issued by Ireland in favour of Apple

(PDFファイル)https://curia.europa.eu/jcms/upload/docs/application/pdf/2024-09/cp240133en.pdf



2016年、欧州委員会はAppleが24年にわたってアイルランドで不当な税制優遇を受けていたことを指摘し、課税を免れていた分に利息を加えた130億ユーロの追徴課税支払いを求めました。

しかし、Appleとアイルランドは欧州委員会の決定に不服を申し立てていました。

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by Jinx!

2020年、欧州連合司法裁判所・一般裁判所は、アイルランドによる税制優遇はAppleがアメリカ国外で行った活動で生じた利益に対するもので、Appleが選択的利益を享受していることを十分に立証できていないとして、欧州委員会による決定を破棄する判決を下しました。

欧州委員会はこの判決に対して控訴しました。

控訴審で司法裁判所は、「Appleが選択的利益を享受していることを欧州委員会が立証できなかった」という一般裁判所の判決は誤っていたと指摘して破棄。Appleがアイルランドに置いた法人の活動は、アメリカでの親会社の活動と比較するのではなく、アイルランド国外での親会社の活動と比較しなければならないという欧州委員会のアプローチを評価し、欧州委員会による決定を支持する最終判決を下しました。

これにより、当初の欧州委員会の決定通り、Appleには130億ユーロの追徴課税が求められます。

この件に取り組んできた欧州委員会の競争担当委員であるマルグレーテ・ベステアー氏は「ヨーロッパの市民と税制の正義にとって大きな勝利です」と述べました。