1988年のソウル大会、ボクシングで判定負けし抗議する韓国のピョン・ジョンイル【写真:Getty Images】

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ソウル五輪、ボクシングの判定負けで韓国関係者が怒り爆発

 パリ五輪は連日熱戦が繰り広げられている。夏季は1896年に第1回大会が開催され、今回で33回目。数々の名場面のほか、記憶に残る“事件”も起きてきた。4年に一度のこの機会に、過去の出来事を「オリンピック事件簿」として振り返る。1988年のソウル大会では、ボクシングで韓国選手が判定負けを喫した際に関係者の不満が爆発。リングで審判につかみかかる大騒動となった上に、真っ暗な会場で選手が抗議の座り込みを行う事態に発展した。

 韓国のピョン・ジョンイルと、ブルガリアのアレクサンダー・クリストフが対戦したバンタム級(54キロ級)2回戦は、4-1の判定でクリストフが勝利した。有効打は42-32でピョン・ジョンイルがリード。ただ審判がクリストフの左手を上げ勝利を宣言すると、納得できなかったコーチや試合運営委員、ボクシング連盟関係者までがリングに上がり、審判につかみかかった。

 場内は大混乱。さらにピョン・ジョンイルは、電気の消されたリング上で約1時間にわたって抗議の“座り込み”を行う事態に発展した。韓国国内で衝撃的な事件として伝わり、9月23日の韓国紙「東亜日報」は「オリンピックで暴力なんて……市民たちも恥ずかしい」という記事を掲載している。また国際アマチュアボクシング協会(当時)は、2人のコーチやトレーナーら、韓国側関係者計5人に五輪期間中の競技への関与を一切禁ずるという厳しい処分を下している。

 ピョン・ジョンイルはその後プロに転向。1993年12月23日にはWBC世界バンタム級王者として日本の薬師寺保栄の挑戦を受け、判定でプロ初敗戦を喫し王座陥落。翌年7月31日には王座奪還をかけ薬師寺に挑戦したものの、5度のダウンを奪われ11回TKO負け。12戦10勝(4KO)という成績で引退している。

(THE ANSWER編集部)