ついつい予定をつめ込んでしまいがちな「旅行」。しかし、年齢を重ねると、動き回った疲れがなかなか取れないことも。そんなときは、“欲張りすぎない”をテーマに旅行をするのもおすすめです。今回はESSEオンラインライターが、“ゆとり”をテーマに行った1泊2日の旅行について語ります。

40代は「ゆとり」のあるひとり旅がちょうどいい

20代の頃は、航空会社で働いていた筆者。“旅行”はいつも身近なところにありました。今となっては長引く円安や止まらない物価高騰でちょっと難しいけれど、かつては思い立ったらニューヨーク、国内だと京都や大阪、沖縄など、年に数回はひとり旅をしていたんです。

そんな筆者にとってひとり旅の最大の魅力といったら、移動手段や宿泊先、食事、観光、それらすべての決定権を自分が握れること。時間の使い方も思いのままです。だれかと行く旅行ももちろん楽しいけれど、ひとり旅の自由気ままさは会社員時代のいい息抜きになっていました。

しかし、その自由さゆえに時間が許す限り動きまわり、「せっかくだから、アレもコレも…」と、分刻みのハードスケジュールを敢行してしまうことも。帰宅後は、家じゅうを掃除し終えたボロぞうきん状態。40代になってからは、ますます疲労回復に時間がかかり「このペースだときついかも」と本気で思うようになりました。

そこで、これまでの旅行スタイルを一新。目的地を1か所に絞り、初めての欲張りすぎない旅をしようと決意しました。

行きたいところを決めたら、行動範囲は徒歩圏内に設定

今回のひとり旅は、まず「いちばん行きたいところ」もしくは、「やりたいこと」を決めるところからスタート。

熱い温泉につかってから湯上がりのビールを味わいたいという理由で目にとまったのは、愛媛県松山市にある『道後温泉本館』。しかも、国の重要文化財にも指定されている歴史と趣きのある“湯屋”は、なんとこの夏(2024年7月11日)約5年半にわたる保存修理工事が終わり、全館営業再開が決定。

こういう“特別な日”に弱い筆者は、即情報収集を開始。すると『道後温泉本館』のまわりには、徒歩でまわれる観光スポットがポツポツと点在していることが発覚しました。基本的には温泉と旅館でまったり、あとは近場をゆっくり歩いて観光したいという今の気分にぴったりです。というわけで、交通機関と旅館の予約を取っていざ松山へ!

欲張りすぎない1泊2日でしたこと

ここからは、1泊2日ひとり旅の様子をレポートしていきます。

●1日目

・朝5時:自宅を出発。

自宅の最寄駅から始発電車に乗り、上野駅へ。そこから京成スカイライナーに乗り継ぎ、成田空港第3ターミナルへ向かいます。

 

・8時台の便で成田空港を出発。

飛行機は、LCCの『ジェットスター』を利用。朝が得意なので、8時台という早めのフライトを予約しました。フライト時間は1時間45分と短めでかつ、ひとりなので座席の指定はしません。1泊2日の旅なので、荷物は機内持ち込みの1個のみ。追加サービスなしの最安値状態で向かいます。

 

・10時すぎに松山空港到着

松山空港に降り立ち、1階ロビーへ出てくると以前から気になっていた「蛇口からみかんジュース」を発見。早い時間だからか人が並んでいなかったので、購入。フライトでカラカラに乾いたのどや体が、甘酸っぱいフレッシュジュースを大歓迎です。

 

・11時30分近くに「道後温泉駅前」行きのリムジンバスに乗車。到着後は、街を散策

松山空港発「道後温泉駅前」行きのリムジンバスは、各航空会社到着便の時間に合わせて1時間に数本運行しているので、適当な時間のバスを待ちます。リムジンバスに乗ってしまえば、あとは約40分揺られるだけ。『道後温泉本館』方面へは、アクセスも抜群です。

「道後温泉駅前」でリムジンバスを下車すると、明治時代にタイムスリップしたかのような駅舎が出迎えてくれます。駅から目と鼻の先には、夏目漱石の小説『坊っちゃん』にちなんだ有名な観光スポット「坊っちゃん列車」「坊っちゃんカラクリ時計」のほかに足湯まで、早くも見どころたっぷり。

道後温泉駅から『道後温泉本館』まで約250メートル続くL字型のアーケード商店街「道後ハイカラ通り」は、お土産の目星をつけながら散策。コンビニエンスストアもあって、ちょっとした買い物はここですみます。

旅行期間中、道中にある「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」では、写真家で映画監督の蜷川実花さんの作品・飛鳥乃湯泉インスタレーションの展示をしていました。中庭が花畑のように鮮やかに彩られていて、気分もパッと明るくなります!

 

・14時:少し遅めのランチ。名物「鯛めし」をいただく

14時になり、ちょっと遅めのランチには名物の宇和島鯛めしをチョイス。新鮮な鯛を三枚におろしたものに、特性のタレと卵を絡めてご飯にかけるぜいたくな漁師飯は、濃いめの味つけなのにさっぱりしていて暑い日にもサラサラと食べられました。

 

・15時:旅館にチェックイン

今回の旅行は、とにかく欲張らないがテーマ。旅館へは、『道後温泉本館』から歩いて2分ほど。早々にチェックインをすませて、リラックスモードです。

旅館の露天風呂を満喫したり、徒歩圏内にある料理店では念願の湯上がりのビールを堪能したりしてグデグデと過ごしました。部屋に戻ってからも、ビールとスナック菓子…これぞひとり旅の醍醐味!

●2日目

・朝6時:『道後温泉本館』へ

2日目の朝はいよいよ『道後温泉本館』へ。営業再開初日ということもあって、朝6時のオープンから行列ができていたものの、15分も待てばスムーズに入館。昔ながらの木製の下駄箱や番台にワクワクしながら、至福の朝風呂です。

湯の温度はわりと熱めの42度に設定されているそうで、パキッと目が覚めます。

工事前と比べて入湯料が若干上がったそうですが、これまではなかった無料のアメニティが充実、手ぶらでもOK。休憩室もリニューアルされるなど、居心地のいい館内にはつい長居したくなってしまいます。

とはいえ、この日は15時台のフライトで帰らなくてはいけません。身支度を整えて向かったのは、旅館から徒歩2〜3分ほどの『圓満寺(えんまんじ)』。大きな地蔵尊と道後温泉の湯玉をモチーフにした「お結び玉」がフォトジェニックな寺院です。

そして、同じく旅館から徒歩2〜3分ほどの『空の散歩道』では『道後温泉本館』を眼前に足湯に浸かれる(無料)という贅沢な体験が叶います。

このように『道後温泉本館』を中心に見どころたっぷりなのだけど、そのほとんどが徒歩圏内! 移動に体力や時間、交通費を使わずにすむので、ゆったりとした気持ちで過ごすことができたのでした。

帰りのリムジンバスまで時間があったので、駅に隣接するスタバでお茶。明治時代の面影を感じさせる店内からは商店街の様子をゆったりとながめることができて、旅の締めくくりにぴったり。

メインの目的地を決め、アレコレと欲張らずに1泊2日した結果、

・1か所に長くとどまることでさまざまな気づきがあり、感動の濃度がグッと高くなった
・移動による体や心の疲労感が大幅減
・お財布にも優しい(1泊2日で使ったのは、総額3万円程度)

と3つのいいことが。「これから夏の旅行プランを考える」という方の参考になったら幸いです。