「実家の片づけ」は、想像以上に体力・時間・お金を使うとはよく聞く話。親が元気なうちに少しでも整理を進めるために、まず実家に残してきた“自分のもの”から手をつけるのがおすすめだそう。ここでは、整理収納アドバイザーの大木聖美さんが、実家に残しがちなすぐに手放せるものについて語ります。

クローゼットに残した「賞味期限切れの服」は迷わず処分

実家を出る際に置いていき、もう何年も放置しているのだとしたら、それはもう着ない服。ハンガーにかけた服だけでなく、引き出しの中や収納ボックスに入っているものもすべて取り出し、一度持ち帰りましょう。まだ着用可能な状態のものは、自治体の古布回収やリサイクルショップなどの古着回収に出してもいいですね。

【写真】実家の片づけでまず手放したい「賞味期限切れの服」

私も帰省時に自室のクローゼットを片づけて、ハッとした出来事があります。何年も開けていない引き出しに防虫剤が入っていて、さらにクローゼット内には除湿剤が置いてあったのです。まだ着るのかもと親が入れておいてくれたと知り、心苦しくなったのと同時に、知らないうちに余計な手間をかけてしまっていたことを反省しました。

ほぼ見返さない思い出のものは「データ化」するのも手

写真やアルバムは、持ち帰るだけでなく残すかどうかも判断したいところ。

一生のうちほとんど見返すことのない卒業アルバム。実家に置いておいても仕方がないので私も自宅に持ち帰りましたが、同窓会の際に卒業アルバムをデータ化してくれた友人がいたのでそれをダウンロードし、原本は破棄しました。自分で写真に撮るなどして保管してもいいですよね。

昔の写真も残しているものがあったら、一度持ち帰り整理することをおすすめします。私は45歳を過ぎた頃にふと「学生の頃の思い出は、心の中にあれば十分」と気持ちが切り替わり、実家にあった写真を9割ほど処分しました。これまで見返すことがなかった写真を最後に確認し、しっかり胸に刻んだので後悔はゼロ。むしろ心がスッキリしましたよ。

ほかにも、昔集めていた趣味のものも実家に残しがち。段ボールに入れてそのままにしている方も多いのではないでしょうか? 押入れの天袋やクローゼットの上段など、普段目にしないところもチェックしてみてください。

高齢の親が片づけようとして、ケガをしてしまっては大変! そうなる前に、自分のものは自分で処分しましょう。

使うことがない古びた家具も、体力があるうちに捨てて

実家の自室クローゼットを開けたら、引き出しは色褪せ、スチールの引き出しは開け閉めするたびに異音がして劣化具合にびっくり。使い続けることは困難と判断し処分しました。ほかにも、机やタンスなど使っていない家具があったら、早めに処分することをおすすめします。

大型家具は捨てるだけで体力を使います。2階にあるものなら運び出すのだってひと苦労。自分が元気で動けるうちにぜひ行動を。

わが家の両親は共に80代。もともとキレイ好きで整理上手なのですが、子どものものを勝手に触ったら悪いと思って私の部屋をそのままの状態にしていたそう。あるとき、「子ども部屋を趣味の部屋にできたらうれしい」と聞き、不要品を置きっぱなしにしていたせいで、せっかくの空間を活かせていなかったことを猛省。すぐさま自分のものの片づけに取りかかりました。

よく片づけサポートの現場で、あふれて入りきらないものを実家に持っていくと話される方がいらっしゃいますが、全力で阻止しています。実家は物置ではないですし、そのものが巡り巡って、実家の片づけを始めた自分に降りかかってきますからね。実家の片づけをするなら、まずは自分のものから見直してみてください。