50代ともなると、実家の片づけが現実化してきます。ここでは、母が入院したことをきっかけに実家の片づけを進めたライフオーガナイザーの尾花美奈子さんに、「存在していることが当たり前になっていて捨てるのが大変だったもの」について教えていただきました。

どの家庭にもある「処分に苦戦した意外なもの」

実家の母が介護施設へ入所したあと、あき家になった実家を売却するために、1年かけて片づけました。じつはその途中、片づけも終わりに近づいた頃になってやっと「あ、これも処分するのか」と気づいたものがあります。それまでは、あることが当たり前の存在になっていて気づかず、ものが少ない状態になってやっと見えてきたのです。

【実際の写真】庭にたくさんの鉢植えが。これも捨てなければいけないもの

ただ、気づいたのはいいけれど、処分するとなると指定の場所へ持ち込む必要があるものばかり。電車で実家に通っていた状況ではそれが難しく、家具や家電の回収を依頼していた不用品回収業者にそれらも追加で依頼しました。どこのご家庭にもあるものなので紹介します。

1:鉢植えの植物

1つ目は、母が育てていた鉢植えの花です。屋外にあったこともあり、地植えの草木と同じように庭の一部と認識していました。でもそれは勘違いで、「葉や根」「土」「鉢」の3つに分け、土と鉢は量が多くなると指定の回収場所へ持ち込む必要があったのです。

とても自分ひとりではできそうにないので、回収業者の方に回収を依頼しました。ただ、鉢植えそのままの状態で1つ1つ運び出すのは時間がかかり、かさばってトラックの台数が増えれば料金がかさんでしまいます。

そこで、「葉や茎」「土」「鉢」の3つに分けて、それぞれをまとめるところまで自分でやりました。コンパクトにできて運び出しやすくなったものの、本当に大変でした。長時間のしゃがみ作業で足腰が痛くなるし、前のめりの姿勢で背中も痛い。汗だくになり、やり始めたことを途中で後悔したほどです。

2:床や廊下に敷いたカーペット類

2つ目は、カーペットやマットです。実家では、冷え防止としてカーペットやマットを至るところに敷いていて、それが当たり前の光景でした。でも本当の床はその下のフローリングや畳です。長年その状態を見てきたために景色化してしまい、気づくのが遅くなりました。

ひたすらはがすと、そのほとんどが粗大ゴミとなるサイズ。小さくカットすれば可燃ゴミに出せたのですが、手も痛くなるし、なにせ数が多いので回収業者の方に回収を依頼しました。

3:消火器

3つ目は、消火器です。これがいちばん見逃しがちなものかもしれません。というのも、私はマンション住まいで、消火器はマンション設備の1つとして玄関先に設置されており、各住戸の所有物ではないからです。それゆえ、実家の消火器も住宅設備の一部という認識になり、処分品であることに気づくのが遅くなりました。

処分方法を調べると、有料のリサイクルシールを貼って特定窓口へ持って行くか、別途手数料を払って指定時間に引き取りに来てもらう方法がありました。けれど、電車で実家へ通っていたため時間の調整が難しく、自分では1か所にまとめるだけにとどめ、あとは回収業者の方に依頼しました。

買うときは「処分するときのことも考慮する」

実家の片づけでは、衣類、食器、文具、寝具など家の中にある生活雑貨に気をとられ、住居や庭の一部に近いようなものは盲点でした。そういう点が、あき家になった家のまるごと片づけと、住み続ける家を暮らしやすくするための片づけの違いだと思います。

正直なところ、数を減らしておいて欲しかったものもありますが、だからこそ、今後の自分に生かせる学びもありました。ものを増やすときには「本当に使うのか」「その数が必要なのか」といった持ち方だけでなく、「処分は大変ではないか」という観点も必要だと実感しています。

今年の夏、虫よけはスプレー缶ではなく液体のミストタイプを選びました。