昔、一緒にライブに出ていた芸人たちが、今ではテレビで活躍しているんで、ロケ現場で会うと「吉田さんか、よかった。気使わんでええし」とか言ってくれるのは嬉しいですね。

――完全に芸人時代の経験が活きていますね。

吉田:あと、シミュレーションでも活きてたかもしれません。本番前にスタッフがタレント役になって、番組の進行を確認する作業をするんですが、僕、この時に台本にめちゃくちゃボケを追加するんです。元々ボケたいタイプなんで、ストレス発散も兼ねて、とにかくシミュレーションではボケまくってましたね(笑)。

 シミュレーションでボケるADはほぼいなくて、「やりすぎだ」と言われることもありましたが、反対に「おかげで、このコーナーの方向性が見えました」と感謝されることもありました。ただ、ADがシミュレーションをしている裏で、APはタレントさんの楽屋入りのケアをします。だから、今はシミュレーションに参加できないんですよね。APになって業務が変わって、色々楽しくはなったんですが、それだけは残念です(苦笑)。

<取材・文/安倍川モチ子 撮影/川戸健治>

【吉田寛】
1979年生まれ、2013年松竹芸能入社。2005年7月に南川聡史さん(現みなみかわ)とピーマンズスタンダードを結成し、数々のライブやテレビ番組に出演。2019年2月に解散。松竹芸能を退社し、テレビ番組の制作会社に入社。現在は株式会社ディ・コンプレックスでAPとして『坂上&指原のつぶれない店』(TBS系)などを担当

【安倍川モチ子】
東京在住のフリーライター。 お笑い、歴史、グルメ、美容・健康など、専門を作らずに興味の惹かれるまま幅広いジャンルで活動中。X(旧Twitter):@mochico_abekawa