阿部巨人「ファースト大城」の勝負手 今季の完封負けは12 守り勝つ野球から転換期か

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大城は勝負強い打撃で知られる(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 巨人が動いてきた。

 6月24日に巨人・松原聖弥と西武・若林楽人の1対1の交換トレードが両球団から発表された。

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 松原は2016年に育成5位として入団、2年目の18年シーズン途中に支配下登録されると21年には135試合に出場し、打率「.274」、12本塁打とブレイク。翌22年は背番号「9」を背負ったが打率「.113」と苦しみ、再び背番号は「59」に。昨季は1軍出場21試合で無安打に終わっていた。

 今キャンプは1軍スタート。オープン戦でも猛アピールを果たし開幕1軍をつかんだが、1軍では打率「.154」と結果を残せず、4月15日に登録抹消となっていた。

 一方の若林は入団1年目の21年に開幕から44試合で20盗塁を記録し頭角を現すも、同年5月30日の阪神戦(メットライフ)の守備で左膝前十字じん帯を損傷と大きな怪我で戦列離脱。22年は28試合、23年は36試合出場にとどまった。

 ともに俊足巧打のリードオフマンタイプ、巨人としてはパンチ力ある打撃も魅力の若林をどう生かしていくのかも注目となりそうだ。

 またチームにとって喫緊の課題といえば、得点力をいかに上げるかにもある。

 阿部慎之助新監督の下で今季は「守り勝つ野球」をテーマに掲げ、開幕から犠打や進塁打を重視するなど1点を粘り強く奪っていく野球を目指していたが、ここにきて、22日のヤクルト戦で今季12度目の完封負けを喫するなど、打線強化を迫られている。

 新たな方向性が見えてきたのは完封負けを喫した翌日の23日のオーダーにもあった。

 この試合では「5番・一塁」に大城卓三を起用。本職は捕手ながら打撃には定評のある大城をファースト起用と攻撃的オーダーでチームを動かしてきた。

 大城にとっては990日ぶりとなる一塁起用、守備の面では阿部監督が「ミスしてもいい」と背中を押し、その大城は3回二死から左翼フェンス直撃の適時二塁打をマーク。貴重な4点目を奪った。

 昨年はチーム打率、本塁打ともリーグトップを誇りながら、最終的に4位に沈んだ。V奪回のために投手力を固め、接戦に強い選手の育成、1点を守り勝つ野球を掲げたが、本来の持ち味である打線の破壊力が薄れがちだったのは気になるポイントだった。課題とされる5番打者を誰が務めるのかも含め、「ファースト大城」の勝負手が切られたことで今後、チームの戦い方も変化していきそうな気配だ。

 現役時代は4番を務めるなど球界屈指の「打てる捕手」として知られた阿部監督がチーム浮上のために、今後いかに手を打っていくか。チームマネジメントが引き続き注目を集める。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]