暗号化メールサービスの「Proton Mail」やクラウドストレージ「Proton Drive」などで知られる「Proton」が設立から10年を迎え、次の10年以上も使命を果たし続けるために、非営利財団モデルを取り入れた構造に移行することを表明しました。

Proton is transitioning towards a non-profit structure | Proton

https://proton.me/blog/proton-non-profit-foundation



The Proton Foundation | Proton

https://proton.me/foundation

Proton is taking its privacy-first apps to a nonprofit foundation model | Ars Technica

https://arstechnica.com/gadgets/2024/06/proton-is-taking-its-privacy-first-apps-to-a-nonprofit-foundation-model/

Protonは2014年、欧州原子核研究機構(CERN)の科学者らによって設立されました。「利益の最大化を追求する人々」によって率いられたことがないのも特徴の1つで、「利益よりも人々が優先されるべき」という信念が掲げられています。

Building an internet that puts people first | Proton

https://proton.me/about/impact



設立から10年を迎えて、Protonが次の10年、そしてその先もコミュニティに忠実に貢献し続けるため、創業者でCEOのアンディ・イェン氏は共同創業者のジェイソン・ストックマン氏、および最初の従業員であるディンチャオ・ルー氏とともに、非営利の「Proton Foundation(プロトン財団)」に株式の寄付を行いました。

これにより、Protonの主要株主はProton Foundationとなり、永続的に「利益よりも人々を優先する組織」であり続けることができるようになったとのこと。

イェン氏はこれまで非営利団体ではなかったProtonが信念を妨げられることなくやってこられたことを認めつつ、スイスの法律で定められた非営利組織には株主がいないので、特定の個人やグループの善意に依存することがなくなり、代わりに、非営利組織は設立された目的に沿って行動することを法的に義務づけられるため、Protonの使命が確実に守られると主張。また、Protonの敵対的買収も阻止できることで、使命の永続的順守が保証されるとのことです。

サービス自体は、今後もProton Foundationの監督下にあるスイスの営利企業・Proton AGが提供していくことになります。

イェン氏は「ハイブリッドモデルのアプローチはユニークなものですが、世界最高のものを提供すると信じています。たとえば、Proton AGは才能ある人を集めるためにストックオプションを発行することができます。また、将来的な戦いに勝つためのリソースが必要であれば、資本調達もできます。ただし、Proton Foundationの管理によって、Proton AGは常に使命を危険にさらさないように行動する必要があり、Proton AGの財政的成功が公共の利益に直接つながります。私たちはProtonの価値観だけでなく、イノベーションや起業家精神、野心的な企業文化、競争精神の維持も目指しています」と述べました。