『読むだけで世界地図が頭に入る本』より

写真拡大

ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことない国でもイメージできる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。
本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。ここでは、本書から一部を抜粋して世界の国を紹介する。

コンゴ共和国はどんな国?

「コンゴ」という名前を持つ国は2つありますが、どちらも13〜15世紀に栄えたコンゴ王国にちなむもので、民族の名前でもあります。

 コンゴ王国は、フランス、ポルトガル、ベルギーによって分割されました。このうちフランス領がコンゴ共和国、ポルトガル領がアンゴラ、ベルギー領がコンゴ民主共和国として独立します。

 コンゴ共和国はアフリカ中部に位置する国で、北にカメルーンと中央アフリカ、西にガボン、東から南にかけてコンゴ民主共和国、南にアンゴラの飛地カビンダと国境を接しています。

 首都のブラザビルは、この地に入ったフランス人ピエール・ブラザにちなんだ地名で、コンゴ川に面する港町として発達しました。

 対岸に、コンゴ民主共和国の首都キンシャサがあり、船が行き交っています。

 それに次ぐのが、大西洋に面するポワントノワール(都市圏人口約100万人)で、この国の貿易を担うとともに、沖合での油田開発の拠点ともなっています。

 原油が輸出の大半を占め、この国の経済を支えており、2018年にOPEC(石油輸出国機構)に加盟しました。このほか、独立時から木材を輸出してきました。

 北部へ行くほど降水量が多く、原生林が見られます。北部にあるテレ湖は、隕石の落下でできた湖ですが、イギリスのネス湖のネッシーと同じく、恐竜モケーレ・ムベンベがいるという伝説があります。

コンゴ民主共和国はどんな国?

 コンゴ民主共和国は、コンゴ王国のうちベルギー領になった地域です。

 アフリカ中部に位置し、サハラ砂漠以南では最も広い面積を有します。アフリカで最大の面積を有するアルジェリアとほぼ同じ面積です。

 北は中央アフリカと南スーダン、西はコンゴ共和国、東はウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南はザンビア、アンゴラと国境を接しています。

 コンゴ川流域のコンゴ盆地をはじめ、年降水量がたいへん多く、熱帯雨林が広がっています。その広さはアマゾンに次いでいます。その熱帯雨林でエボラ出血熱が何回か流行しました。

 南部のカタンガ地方(シャバ州)では、銅(産出量で世界第5位)のほか、世界一の産出を誇るコバルトやタンタル、世界第2位のダイヤモンドなどの資源が豊富です。

 この地域では、ベルギーからの独立を巡り、分離独立運動が起こりました(コンゴ動乱)。

 その収束後も情勢は安定せず、1998年には第2次コンゴ内戦が始まりました。

 反政府武装組織は、そこで得られる資源を欧米諸国に売り、それによって得た外貨で武器を購入しました。このためこれらの資源は「紛争鉱物」と呼ばれました。

 ようやく2002年に和平協定が調印されましたが、虐殺や病気、飢えによる死者は300万人とも500万人ともいわれています。

 鉄道や道路などインフラの整備が遅れたことに加え、準内陸国で貿易が不利であるため、資源が豊富であるのに、それを活かしきれていない面が見られます。

コンゴ共和国

面積:34.2万㎢ 首都:ブラザビル

人口:610万 通貨:CFAフラン

言語:フランス語(公用語)、バンツー系諸語
宗教:カトリック33.1%、プロテスタント19.9%
隣接:ガボン、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、アンゴラ

コンゴ民主共和国

面積:234.5万㎢ 首都:キンシャサ

人口:1億1540万 通貨:コンゴ・フラン

言語:フランス語(公用語)、バンツー系諸語
宗教:カトリック29.9%、プロテスタント26.7%、その他のキリスト教36.5%
隣接:コンゴ共和国、中央アフリカ、南スーダン、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、ザンビア、アンゴラ

(注)CIAのThe World Factbook(2024年6月時点)、『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)