日本代表は北中米ワールドカップのアジア2次予選突破を決めているなかで、残り2試合に臨む。しかし、MF川村拓夢(広島)にとって今回の活動が持つ意味は大きいようだ。「僕の立場は本当にもう次がない状況。そういう意味で試合もそうだが、練習でしっかり僕の良さを出したい」と意気込みを語った。

 4度目の代表活動となった。1日にJリーグに出場したため、練習初日は途中で別メニュー。それでも日本代表の活動に改めて刺激を受けた。「ボール回しから普段感じることのないパススピードだったり、強度だったり、独特の雰囲気はすごく感じている」と初日を振り返った。

 川村は昨年6月の初招集では体調不良で途中離脱し、今年1月1日に行われた日本代表とタイ代表の親善試合「TOYO TIRES CUP」で待望の代表デビュー。そして初ゴールも決めた。だが直後のアジアカップは選出外。3月に3度目の招集となったが、アジア2次予選第3戦・北朝鮮戦での出場はなく、さらに第4戦は北朝鮮での開催がなくなり、没収試合となった。

 合計の出場時間はわずか11分。川村自身も自覚しており、危機感を募らせる。「シンプルに試合にも出ていない。ほかにもいい選手がたくさんいる。練習から本当にいいパフォーマンスを出さないと次はない」と焦りをのぞかせた。

 6日のミャンマー代表戦は敵地ヤンゴンで行われるが、11日のシリア代表戦はエディオンピースウィング広島で開催される。今年待望のこけら落としを迎えた場所は、川村のホームスタジアムだ。「僕自身サンフレッチェ広島を見て育って、3連覇したなかでもスタジアムはできなかった。やっとたくさんの方のおかげでできたスタジアム。いまピッチに立てている環境にすごく感謝している」。だからこそ、日の丸を着けた川村がその場に立つ意味は大きい。

「広島のサポーターもそこでサンフレッチェ広島の選手がピッチに立つところをすごく見たいと思う。その期待に応えられるように」。自身の本領を発揮すれば、その道は開けるはずだ。川村は「明日からのトレーニングでしっかりアピールしていきたい」と気を吐いていた。

(取材・文 石川祐介)