TikTokクリエイター・まいきちインタビュー後編! 不登校を経てからTikTokで生きていくことを決めた少女の「どうせ生きているなら、楽しんだほうがよくない?」マインド
2017年、中学1年生ときにTikTokを始めると、かわいさだけではない個性の強さで、またたく間に同世代の心をつかんだまいきちさん。14歳でフォロワー88万人を抱え、2020年には自身が作詞を手がけた楽曲で歌手としてメジャーデビューをするなど、TikTokドリームを体現している。が、本人はクールに「1歳から芸能活動をしているから、実はけっこう芸歴が長いんです」と話すのだ。そんなまいきちさんの幼少期から、マインドを変えた「どん底」まで語ってもらった。
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まいきちさん 公式TikTok @maikichi0130
【まいきちさん撮り下ろし写真】
1歳のときから洋楽で踊っていた
──お父さんがミュージシャンだと聞きました。どんな音楽を聴いて育ったんですか?
まいきち 両親が音楽を通じて出会って、音楽があふれる家で育ちました。邦楽だとBOOWYとか桑田佳祐さんとか、一番聴いていたのはビートルズとかレッドホットチリ・ペッパーズ、プリンスとかです。
──物心ついたときの音楽体験、覚えていますか?
まいきち 物心がつく前ですが、1歳のとき、MIKAの『グレース・ケリー』という曲で立って踊りだしたらしいです。物心がついてからは、曲を作ったりパパにドラムやギター、ピアノを教えてもらっていました。
──どうやって曲を作っていたんですか?
まいきち まずテーマを決めて、私が単語をあげていって、口ずさんだ音をデモにしてくれました。ママは歌う人だったので、パパとママで急にセッションを始めたりとかありましたね。ママはすごくて、家で鼻歌を歌っていると「そこ音程ちがうよ」と指摘してくるんですよ。だから歌うのがイヤな時期もありました。
──音楽に対して妥協しないお母さんだったんですね。幼少期は音楽を肌で感じる生活を送り、小学生はどんな生活を送っていましたか?
まいきち 中華学校に通っていました。お友達は多様で、それぞれが思っていることを言い合える関係でぶつかったりもしていて、それはそれでいいことじゃないですか。でも、5年生のときに日本の学校に編入したときに「みんな言っていることと思っていることが違う」とうことに気づいて。
転校先の中学校で大歓声!
──本音と建前があると。
まいきち そう。当時、そのときにボーカル&ダンススクールに通っていたんですが、それもあって目立ってしまったようで、嫌がらせを受けるようになったんですよ。日本人の中では、こういうことをうまく交わしていかなきゃいけないんだな、と学びました。中学生になると芸能系の学校に通うことになって、入学式から「事務所、どこなん?」って会話するようなところで。バッチバチでしたね。
──野心がすごそうですね。
まいきち そこでもぶつかっちゃって。だからもう、一人でいることを楽しむようにしましたね。休み時間は一人で本を読んだり、それで知識を得られることに楽しさを見いだしていました。そのあと、中学3年生のときに上京することになるんです。
──中学生で一人でですか?
まいきち お父さんと二人でです。ユニバーサルミュージックさんに入ったタイミングだったので、東京の学校に行くことについてわくわくしました。しかも、転校のあいさつを全校生徒の前でマイクでしなきゃいけなくて。そのときすでにTikTokをやっていたので、私が壇上に上がると、「キャーーー!」ってなって。「ご存知のとおり、まいきちです」みたいな。
──かっこいい! 堂々としたあいさつですね。
まいきち 自信を持って胸を張れるキャラのほうが印象がいいかなと思って。学校は楽しかったんですが、中学3年の3学期にそのまま卒業式を迎えてしまいました。
不登校だった高校時代「TikTokで食べていく」
まいきち でも、一番大変だったのは高校時代です。入ったときから「うわ、まいきちかよ」みたいな反応をされて。入学して3か月は通いましたがいろいろあり、もう行く必要がないかな、と思ってそれからは学校に行きませんでしたね。その代わり、TikTokなどでライブ配信を始めるようになりました。それと同時に、「これからは、これで食べていかなきゃいけないのかもしれない」と思うようになって。
──高校生ですでに、食べていくことを想定したんですか。
まいきち 今も「どうやって生きていけばいいんだろう……という不安もあるし、めちゃくちゃ不安定な職業だと思っています。人気が落ちていく可能性を常に秘めているし、そういう不安と戦いながら毎日投稿しなきゃいけないし……というプレッシャーとストレスを感じて、精神的に落ち込んでしまったのが高校1、2年生のときだったんです。それが高校3年生のときに「こんなことをしていても意味がないな」と、急にマインドが変わりまして。「生きているのなら、楽しんだほうがよくない?」と。
──転機があったんですね。
まいきち やっぱり、最終的に笑っているヤツが勝ち、みたいなところってあるじゃないですか。昔はそれってきれいごとだと思っていたんですが。ライブ配信で悩みごとを打ち明けてくれる方が多んですが、私自身もそういう方たちにきれいごとを言っているんですよ。「笑っていれば大丈夫だから。時間はすぎるものだから」って。きれいごとだと思うけど、きれいごとを言っていきたいし、それを信じていきたいんです。……と、そんなふうにマインドが変わりまして。
「ただ生きているだけで正解なんだ」
──スムーズに行かない出来事があったからこそ、とても説得力がありますね。
まいきち ずっとそういうことを考えていたから、伝えられてうれしいです。友達がいなくて遊びに行くこともなくて、一人で考えて一人で会話をしていたんです。
──そういうことをメモしたりも?
まいきち はい、スマホのメモ帳に、思ったことをいっぱいぶわーーーって書いてます。めっちゃしょうもないんですけど、これです。(スマホ画面を見せながら)
──すごい! びっしり書いてありますね。この言葉を公にしたら、救われる同世代の子、多そうですね。
まいきち 「ひまわりになりたい」とか、意味分からないこと書いてるけど(笑)。でもこれをつまんで歌詞にすることも多いんですよね。「ただ生きているだけで正解なんだって思います」「笑顔って、すてき。例外はない」とか、いっぱい書いてる(笑)。
──いい言葉ですよ。
まいきち 自分でも覚えてないことばかりです。
──いつからメモし始めたんですか?
まいきち 中学3年生くらいですね。学校に行けなくなったくらいから。
──傷ついてきた過去があるからこそ、表現で昇華しているように想います。
まいきち たしかに傷ついているなあって思いますが、それを経験できて、その経験をよかったと感じられる自分でよかった、と思います。高校2、3年のあのときから立ち上がった自分を、自分でも褒めてあげたいんです。
──どん底を自覚すると、もう上がるしかないですもんね。
まいきち そう! マジでそう。ずっと底にいると、ほんとうに上がるしかないんです。そのマインドで生きている今は、とてもいい状態です。
まいきちさん 公式TikTok @maikichi0130
撮影/佐賀章広 取材・文/有山千春 構成/BuzzTok NEWS Buzz Tok NEWS公式HP https://buzz-tok.com/