●主人公の友人役に喜びとプレッシャー

現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合 毎週日曜20:00〜ほか)で、吉高由里子演じる主人公・まひろの友人・さわ役を務めている野村麻純にインタビュー。大河ドラマ初出演の心境や吉高との共演の感想など話を聞いた。

野村麻純 撮影:加藤千雅


大河ドラマ第63作となる『光る君へ』は、平安時代を舞台に、のちに世界最古の長編小説といわれる『源氏物語』を生み出した紫式部の人生を描く物語。主人公・紫式部(まひろ)を吉高、まひろの生涯のソウルメイト・藤原道長を柄本佑が演じ、脚本は大石静氏が手掛けている。

野村が演じているさわは、まひろの父・藤原為時(岸谷五朗)が世話をしていた女性の、以前の結婚で生まれた娘。愛情に飢えた、一風変わった娘で、まひろを慕って親しい間柄に。14日放送の第15回「おごれる者たち」で、まひろとさわは近江の石山寺へ出かけた。

――さわは複雑な思いを抱えている人ですが、明るくて笑顔が素敵ですよね。

ありがとうございます! 皆さんが好印象で受け入れてくださってうれしかったです。まひろの人生に急に入ってきたので、こんなに受け入れてもらえると思ってなくて、びっくりしました。



――大河ドラマの反響の大きさも感じられましたか?

熱量がすごいなと思いました。皆さん細かいところまで見て、登場人物一人ひとりしっかり味わってくださっていて、それが大河ドラマのすごさだなと感じました。こんなに「さわ」「さわ」と言ってもらえるとは思わなかったです。

○オーディション合格に驚き「出られると思ってなかった」

――大河ドラマに抱いていたイメージをお聞かせください。

憧れ、夢という感じでしたが、自分が出られるとは思ってなかったです。自分とは別の世界というか、そのレベルではないと思っていたので、オーディションに受かったと聞いた時は「え!?」ってびっくりしました。

――大河ドラマのオーディションはこれまでも受けたことはありましたか?

今回が初めてです。さわ役のオーディションではなく、配役オーディションという形で、何の役を演じるかわからない状態でした。



――合格と聞いた時は驚いたとのことですが、受かるとは思ってなかったのでしょうか。

オーディションに全く手応えがなく、もっとこうすればよかったという気持ちでいっぱいだったので、本当に驚きました。

――さわという役についてはどう感じましたか?

びっくりしました! 主人公の友人で、一番の親友と聞いていたので、そんな大役どうする!? と思って。喜びもありましたが、聞いた瞬間から勝手にプレッシャーを感じてしまいました。

●吉高由里子は「チャーミングで魅力あふれる方」



――初めての大河ドラマの現場はいかがでしたか?

リハーサルを別日にするのですが、そのリハーサルがまず緊張しました。朝ドラでも経験したことはありましたが、大河は初めてで、しかも平安時代は未知なことばかりだったので、最初の頃はどんな感じなのか探り探りでした。でも、緊張は最初だけで、あとは自分でもびっくりするくらいのびのびと楽しくお芝居できたなと思っています。

――緊張をほぐすために何かやられたのでしょうか。

作品に入る前にたくさん考えたというのも一つだと思いますが、まひろ役の吉高さんとの時間が一番大きかったと思います。

――吉高さんとの共演のご経験は?

今回が初めてで、お会いするのも初めてでした。

――実際にお会いして吉高さんの印象はいかがでしたか?

テレビなどで拝見していて、いつもかわいらしくて面白いことをおっしゃっているというイメージでしたが、実際お会いしても本当にチャーミングで魅力あふれる方だなと。会ってすぐ好きになって、しばらく撮影がないと「早く吉高さんに会いたい」とロスになっていました(笑)



○吉高とのやりとりが全部「まひろとさわの関係性につながっている」

――現場ではどんなお話を?

私が質問攻めにしていて、「嫌いな食べ物なんですか?」という話から、大河の衣装について「どういうタイミングでお手洗いに行くんですか?」という話まで、くだらないことでも全部返してくださって。分厚い着物を着ているとだんだん暑くなり、ご飯を食べた後だとさらに血糖値も上がって心地良くなるんですけど、吉高さんが手を握って「手温かくなってきたね。眠いでしょ!?」などとコミュニケーションを頻繁にとってくださって、そういったやりとりが全部、まひろとさわの関係性につながっているなと感じますし、吉高さんに支えてもらったなと思っています。

――現場でのお二人の関係性が役にそのまま生きているのですね。

そうですね。さわの役に甘え、そして吉高さんの懐の深さに甘え、いろいろ質問させていただきました!

――そんなに質問攻めにするということは、ものすごく吉高さんへの興味があるということですよね?

もともと好きな方だったので。お芝居も好きですし、ご一緒できて本当にうれしかったです。

――特に印象に残っているやりとりがありましたら教えてください。

さわが泣くシーンがあるのですが、何回も撮っていたら、最後のほうは泣き疲れて涙をぬぐわなくなって、そうしたらカットがかかった瞬間に吉高さんが親指で涙をぬぐってくださって、グッときました。「もう大好き!」って。とっさにそんなことできないですよね。スタッフの皆さんともいつも楽しくコミュニケーションをとられていて、その会話を聞いているだけで楽しかったですし、贅沢な時間だなと思いました。

■野村麻純

1990年10月10日生まれ、鹿児島県出身。2011年にドラマ『華和家の四姉妹』でデビュー。2012年にドラマ『11人もいる!』でソアラ役を演じ話題に。近年の主な出演作は、ドラマ『PICU 小児集中治療室』(22)、『こっち向いてよ向井くん』(23)、『推しを召し上がれ 広報ガールのまろやかな日々』(24)、映画『空白』(21)など。

(C)NHK ヘアメイク:尾口佳奈 スタイリスト:浅井彩津希