冬に生じやすい「背中」のかゆみ どう抑える? 皮膚科医が解説する意外な“対処法”
冬は背中がかゆくなりがちで、ついかきたくなる人は多いと思います。そもそも、寒い時期に背中がかゆくなりやすいのは、なぜなのでしょうか。かゆみが生じたときは、どうすればよいのでしょうか。背中がかゆくなる原因や対処法などについて、たかはし皮膚科クリニック(兵庫県尼崎市)院長で皮膚科医の高橋謙さんに聞きました。
かくと症状が悪化
Q.冬は背中がかゆくなることが多いですが、なぜなのでしょうか。
高橋さん「冬は空気が乾燥しているため、背中だけでなく四肢なども乾燥しやすいです。その影響で皮膚がカサカサしてくると、かゆみが出るようになります。なぜなら、『カサカサしている=肌に隙間ができる』ということであり、その隙間からさまざまな刺激が加わることでかゆみにつながるからです。
特にアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくの持病がある人のほか、ダニやスギ、ブタクサなど、特定のアレルゲンに反応する人は、そのような傾向が強く認められます」
Q.では、背中がかゆいときにかいてもよいのでしょうか。
高橋さん「かゆいからといってかくと、症状を悪化させる可能性があるため、お勧めできません。例えば、皮脂の減少により、皮膚が乾燥した状態である『皮脂欠乏症』のときにかいてしまうと、炎症が生じて湿疹ができる『皮脂欠乏性湿疹』という症状を引き起こすことがあります。
入浴後や運動後のほか、副交感神経が優位になり、皮膚に送られる血流が増える入眠前は、体が温まって血行が良くなるため、かゆみが出やすくなります。かかないように注意してください」
Q.背中がかゆくなった場合、どうすればよいのでしょうか。
高橋さん「まずは患部を冷やしてください。その際、皮膚の冷やし過ぎはよくないため、保冷剤をタオルなどで包んだ上で、かゆみが生じている部分に当てるとよいでしょう。
かゆみを感じるときは、先述のように皮膚が乾燥しているケースが多いです。炎症(赤み)が生じていなければ保湿剤を塗ることで、乾燥で生じた皮膚の隙間が埋まり、かゆみが出にくくなります。特にヘパリン類似物質が含まれている製品は、皮膚のかゆみが出にくくなるように働くため、役立ちます。
また、かゆい部位に赤みがある場合は湿疹が生じているため、ステロイド系の外用剤を使うとよいでしょう。これらの製品を使っても症状が改善しない場合は、皮膚科を受診してください。
他には、第二世代抗ヒスタミン薬の継続服用もお勧めです。かゆみの症状が出たときに継続的に服用することで、かゆみが出にくくなる効果が期待できます。ただ、現時点で感じているかゆみを軽減させる効果については個人差があるため、過度な期待は禁物です」