大学3冠王で鳴り物入りも…痛感した“プロの壁” TV越しの日本S「悔しさしかない」
ドラフト4位ルーキー・杉澤は今季1軍で2試合出場、打率.200
リーグ3連覇を果たしたオリックスの中で、悔しさに溢れた1年を過ごしたルーキーがいる。昨年のドラフト4位で入団した杉澤龍外野手。8日は大阪市内で契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸900万円でサインし「うまくいかないことの方が断然多かった」と、1年間を振り返った。
自信を持ってプロの扉を叩くも、レベルの差を痛感するシーズンだった。東北福祉大の4年春にはリーグ戦で打率.550、4本塁打14打点を記録し3冠王。その後も侍ジャパン大学代表にも選出され、オリックスでも即戦力として期待された。
オープン戦では1軍に帯同するも結果を残せず、開幕は2軍スタート。シーズン終盤に1軍昇格し、9月14日の楽天戦(楽天モバイル)でプロ初安打をマークするも「速い球にアジャストできず、ボールの下をバットが通っていた」。ルーキーイヤーはわずか2試合、打率.200(5打数1安打)に終わり、存在感を示すことはできなかった。
阪神との日本シリーズは59年ぶりの“関西ダービー”として注目を集め、第7戦までもつれる死闘だったが、40人の出場資格に漏れた杉澤はテレビで熱戦を見届けた。「今年は戦力になれなかった。悔しさの方しかなかった」。グラウンドでプレーできない思いは誰よりも強かった。
それでも、来季への希望は失っていない。ファームでは高橋信二打撃コーチからアドバイスを受け、打撃フォームを修正。「まずは率を残さないと長打も増えない。漠然と打席に入らず、配球なども考えて。1年間で学んだことは多い」。元巨人の高橋由伸氏を参考にし、前足を1度踏んでから足を上げるタイミングの取り方に手応えを感じている。
今月12日からはオーストラリアのウインターリーグに参加。「速い球だけではなく重い球が来ると思う。それを打ち返せる技術を身につけて帰ってきたい。ワクワクしかないですね」。リーグ4連覇へのピースになるため、約1か月の“武者修行”では外国人投手を相手に更なるレベルアップを狙う。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)