値上がりしつづけるスマホ端末、「中古スマホ」は本当に最適解の買い方か?
例年アップルから発表・発売されるiPhoneの新モデル。2022年9月発売の「iPhone 14」から23年9月発売の「iPhone 15」、カメラのズーム倍率、広角レンズセンサの向上、有線充電ではUSB Type-C端子の採用など、一定の進化は遂げたと見ている。ただ、円安も相まって気になるのが高騰する価格。そんな中、中古スマホ市場が注目されている。ユーザーにとって選択肢が増えるのは歓迎だが、総務省やBCNの調査では「まだ少数派」のようだ。
新型iPhone 15シリーズで注目の有線充電のLightningケーブルからType-Cケーブルへの変更は、今までMFI認証(アップル社による互換性認証)を取得するために、アップルに対してライセンス料を支払わなければならなかったサプライメーカーにとってもコストダウンにつながる。在庫管理がType-Cケーブルに集中するメリットもあるので、ユーザーの価格にも反映される…はずである。
ただ気になるのが価格だ。iPhoneの価格高騰は22年の円安に伴う為替レートの影響により急激に上昇。アップルのオンラインストア価格だと、21年9月発売のiPhone 13(128GBモデル)は9万8800円だったのに対し、iPhone 14(128GB)は11万9800円で約21.3%も値上がりしている。
23年も引き続き円安が進んでおり、iPhone 15(128GB)は12万4800円と、基本(無印)のiPhoneシリーズの中では歴代最高値を更新。新品で一括購入するには障壁の高い高級品と言えよう。
これはiPhoneに限らず、XperiaやGalaxyの各ブランドもフラッグシップモデルは軽く10万円を超えてしまう。16年前の07年までは端末販売店へのインセンティブにより、携帯電話本体の購入負担が軽減される制度も存在したが、今はその制度も廃止。新品の端末を求めるユーザーはメーカーが提示した価格に準じて購入するしかないのが現状だ。
そんな中、最近のニュースなどでも注目を集めているのが「中古スマホ(リユーススマホ)」市場だ。今まで使用していた端末をブックオフやゲオが買取り、クリーニングして再販売する形態だ。
ブックオフは11年12月、ゲオは02年から携帯電話の買取を始めており、それぞれの決算状況を見ても、ブックオフは家電・携帯電話の売上高が前期比111%(23年5月期の決算補足資料より参照)、ゲオもメディア系のリユース(スマホ・タブレット含む通信機器)は前期比121.2%(23年3月期決算説明資料 商材別売上高より参照)とどちらも2桁増の伸びを示している。
もっとも、家電やタブレットの売り上げも丸めて公開しているため、単純なスマホ・携帯電話の売り上げで比較できない点は残念だが、こういった情報通信デバイスのリユース販売が伸びていることは確かであろう。
実際に両社のホームページに掲載されている価格で比較してみた。比較対象はiPhone 13(128GBモデル)、確認したのは23年10月4日時点の販売価格。ゲオの公式通販サイト「ゲオオンラインストア」では9万1751円。ブックオフはヤフオク!内のブックオフオークションストアにて公開していたが、最安値で8万5200円となっていた。ヤフオク!での販売スタイル上、入札期限までに価格が吊り上がる可能性はあるが、概ね当時の実勢価格からは7000円〜1万円ほどお得に購入ができるようだ。
しかしスマホは基本的に肌身離さず携帯するもの。手垢や画面・本体のキズ、バッテリの消耗率など、中古で購入する際はいくつかの点で状態が気になる。
中古買取で売却されたスマホはクリーニングが行われるが、完璧に修復・復元できるものではないことは各社のホームページでも謳っており、キズの有無やバッテリなどの状態をランク付けし、消費者はこのランク付けと現物を実際に見て判断するしかない。
そうした手間や不安もあってか、中古スマホをメイン利用している人の割合は未だ低い。iPhone 13(128GB)の新品・中古価格差が7000円〜1万円と述べたが、この差分費用を節約するために、状態がよくない「かもしれない」中古端末を購入し、状態が古かった際に泣き寝入りするリスクを選ぶよりも、費用を負担してでも新品を購入したい、と考える人がいても不思議ではないだろう。
「中古スマホをメイン利用のスマートフォンとして使用している人の割合は未だ低い」と述べたのは、総務省が23年4月25日に発表した「端末市場の動向について」の資料上でも言及しているからだ。
23年3月に総務省が実施した利用者意識調査において、メイン利用スマホ端末としての中古購入割合は3〜4%程とのことで、決して高いとは言えない現状だ。
BCNでも23年8月末に「中古家電の購入に関する調査」を20〜69歳までの男女890人を対象に実施してるが、その結果、中古で通信家電(携帯電話・スマホ等)を購入したことのある人の割合はわずか4.8%だった。
「今後通信家電を新品と中古のどちらで購入したいか」という設問に対しては、「中古で購入したい」と回答した人は6.2%に留まり、92.7%は新品で購入することを望んでいる。
今まで、キャリアから新規で購入するのが当たり前となっていた携帯電話・スマホ市場。端末の高価格化が止まらない中、中古端末の入手という選択肢が生まれたのは歓迎すべきである。中古端末購入を検討しているユーザーは、価格と入手時の状態、自分にとって優先すべき順位を見極めて購入の判断を行い、買って良かった、と思える買い物をしたいものだ。(BCN・栃木 亮範)
●新品一括購入の障壁が年々高まるiPhone
新型iPhone 15シリーズで注目の有線充電のLightningケーブルからType-Cケーブルへの変更は、今までMFI認証(アップル社による互換性認証)を取得するために、アップルに対してライセンス料を支払わなければならなかったサプライメーカーにとってもコストダウンにつながる。在庫管理がType-Cケーブルに集中するメリットもあるので、ユーザーの価格にも反映される…はずである。
ただ気になるのが価格だ。iPhoneの価格高騰は22年の円安に伴う為替レートの影響により急激に上昇。アップルのオンラインストア価格だと、21年9月発売のiPhone 13(128GBモデル)は9万8800円だったのに対し、iPhone 14(128GB)は11万9800円で約21.3%も値上がりしている。
23年も引き続き円安が進んでおり、iPhone 15(128GB)は12万4800円と、基本(無印)のiPhoneシリーズの中では歴代最高値を更新。新品で一括購入するには障壁の高い高級品と言えよう。
これはiPhoneに限らず、XperiaやGalaxyの各ブランドもフラッグシップモデルは軽く10万円を超えてしまう。16年前の07年までは端末販売店へのインセンティブにより、携帯電話本体の購入負担が軽減される制度も存在したが、今はその制度も廃止。新品の端末を求めるユーザーはメーカーが提示した価格に準じて購入するしかないのが現状だ。
●中古スマホ市場のニーズが高まる?
そんな中、最近のニュースなどでも注目を集めているのが「中古スマホ(リユーススマホ)」市場だ。今まで使用していた端末をブックオフやゲオが買取り、クリーニングして再販売する形態だ。
ブックオフは11年12月、ゲオは02年から携帯電話の買取を始めており、それぞれの決算状況を見ても、ブックオフは家電・携帯電話の売上高が前期比111%(23年5月期の決算補足資料より参照)、ゲオもメディア系のリユース(スマホ・タブレット含む通信機器)は前期比121.2%(23年3月期決算説明資料 商材別売上高より参照)とどちらも2桁増の伸びを示している。
もっとも、家電やタブレットの売り上げも丸めて公開しているため、単純なスマホ・携帯電話の売り上げで比較できない点は残念だが、こういった情報通信デバイスのリユース販売が伸びていることは確かであろう。
実際に両社のホームページに掲載されている価格で比較してみた。比較対象はiPhone 13(128GBモデル)、確認したのは23年10月4日時点の販売価格。ゲオの公式通販サイト「ゲオオンラインストア」では9万1751円。ブックオフはヤフオク!内のブックオフオークションストアにて公開していたが、最安値で8万5200円となっていた。ヤフオク!での販売スタイル上、入札期限までに価格が吊り上がる可能性はあるが、概ね当時の実勢価格からは7000円〜1万円ほどお得に購入ができるようだ。
しかしスマホは基本的に肌身離さず携帯するもの。手垢や画面・本体のキズ、バッテリの消耗率など、中古で購入する際はいくつかの点で状態が気になる。
中古買取で売却されたスマホはクリーニングが行われるが、完璧に修復・復元できるものではないことは各社のホームページでも謳っており、キズの有無やバッテリなどの状態をランク付けし、消費者はこのランク付けと現物を実際に見て判断するしかない。
そうした手間や不安もあってか、中古スマホをメイン利用している人の割合は未だ低い。iPhone 13(128GB)の新品・中古価格差が7000円〜1万円と述べたが、この差分費用を節約するために、状態がよくない「かもしれない」中古端末を購入し、状態が古かった際に泣き寝入りするリスクを選ぶよりも、費用を負担してでも新品を購入したい、と考える人がいても不思議ではないだろう。
●選択肢が増えるのは歓迎も、総務省やBCNの調査では「まだ少数派」
「中古スマホをメイン利用のスマートフォンとして使用している人の割合は未だ低い」と述べたのは、総務省が23年4月25日に発表した「端末市場の動向について」の資料上でも言及しているからだ。
23年3月に総務省が実施した利用者意識調査において、メイン利用スマホ端末としての中古購入割合は3〜4%程とのことで、決して高いとは言えない現状だ。
BCNでも23年8月末に「中古家電の購入に関する調査」を20〜69歳までの男女890人を対象に実施してるが、その結果、中古で通信家電(携帯電話・スマホ等)を購入したことのある人の割合はわずか4.8%だった。
「今後通信家電を新品と中古のどちらで購入したいか」という設問に対しては、「中古で購入したい」と回答した人は6.2%に留まり、92.7%は新品で購入することを望んでいる。
今まで、キャリアから新規で購入するのが当たり前となっていた携帯電話・スマホ市場。端末の高価格化が止まらない中、中古端末の入手という選択肢が生まれたのは歓迎すべきである。中古端末購入を検討しているユーザーは、価格と入手時の状態、自分にとって優先すべき順位を見極めて購入の判断を行い、買って良かった、と思える買い物をしたいものだ。(BCN・栃木 亮範)