20代の預貯金額はどのくらい? 世帯人数別の平均と必要な額とは
20代というと働き始めてからさほど年数が経過していないため、あまり預貯金をできていない人が多いかもしれません。なかには自分の預貯金額に不安のある人もいるでしょう。
そこでこの記事では、20代における世帯人数別の平均預貯金額や、年収に対する貯蓄割合を紹介。20代で預貯金額を増やすための方法についても解説していきます。
世帯人数別20代の預貯金額の平均
まずは、2022年の20代における預貯金額の平均と、金融資産保有額に関するデータをみていきましょう。単身世帯・2人以上世帯・総世帯の順に解説していきます。
※引用:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
単身世帯
知るぽるとの調査によると、20代単身世帯の平均預貯金額は105万円でした。
また、20代の単身世帯で金融資産を保有している世帯と、そうでない世帯の比率は以下のとおりで、半数以上の世帯が何かしらの金融資産を保有しています。
続いて、金融資産の保有額の平均と中央値は以下の表のようになっています。
金融資産保有世帯のみでみると、保有額の平均値は307万円、中央値は110万円です。中央値が平均値を大きく下回っており、世帯によって保有額にバラつきがあることがわかります。資産額に金融資産を保有していない世帯を含めると、金融資産保有額の平均値は176万円、中央値は20万円にまで下がります。
また、金融資産を保有している世帯のなかで、金融資産保有額の内訳の平均は以下の表のとおりです。
保有額平均のおよそ半分にあたる152万円が預貯金です。次いで、株式や財形貯蓄、投資信託が多くなっています。
2人以上の世帯
20代の2人以上の世帯では平均預貯金額は94万円です。
金融資産の保有の有無は以下のようになります。
2人以上の世帯では金融資産を保有している世帯が6割を超え、複数人で貯蓄できることから単身世帯よりも保有する人の割合は増えます。
20代、2人以上の世帯の金融資産保有額の平均と中央値は次のとおりです。
金融資産保有世帯のみの平均保有額は339万円、保有額の中央値は200万円です。単身世帯は保有額の平均値は307万円、中央値は110万円であるため、保有額の平均はやや増加します。上記に、4割弱の金融資産を保有していない世帯を含めると、平均値は214万円、中央値は44万円とどちらも下がります。
金融資産保有額の平均の内訳は次のとおりです(金融資産を保有している世帯のみ)。
単身世帯と同じく、一番多いのは預貯金の191万円で、約56%を占めています。また、株式が51万円、投資信託が26万円となっているほか、生命保険が35万円と高いのが特徴です。複数人の世帯となると保険に入る人が増えるようです。
総世帯
単身世帯と2人以上の世帯をあわせた総世帯の結果について解説します。20代総世帯の平均預貯金額は103万円です。
全世帯でみても、金融資産を保有していると回答した世帯の割合が6割に上っています。
金融資産保有額の平均と中央値は以下の表のとおりです。
世帯人数に関係なく全体でみても、20代では200万円弱~300万円程度の金融資産を持っているということになります。ただし、中央値はそれよりも大幅に低くなっていることから、世帯によって預貯金などの金融資産の額は差があるのでしょう。
金融資産保有額の内訳の平均額は(金融資産を保有している世帯のみ)、次のとおりです。
預貯金がおよそ半分を占めるほか、株式・投資信託・財形貯蓄の金額が高くなっています。複数の金融資産を保有して、リスク分散している人も多いと考えられるでしょう。
20代の年間手取り収入からの貯蓄割合
20代では、収入に対してどれくらいの貯蓄をしているのでしょうか。前述のデータを参考に、20代の年間手取り収入からの貯蓄割合について解説していきます。
※引用:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」
単身世帯
金融資産保有世帯における年間手取り収入(臨時収入を含む)からの貯蓄割合は、次のとおりです。
年間手取り収入からの貯蓄割合をみると、手取り収入の30%以上を貯蓄にあてたという人が全体の約4分の1いる一方、「貯蓄しなかった」と回答した人は3割を超えています。平均値は16%となっており、貯蓄割合が15%未満の人が約3割に達しているのも特徴的です。
続いて、金融資産保有世帯では、臨時収入等からのどのくらい貯蓄しているのか解説します。
臨時収入等からの貯蓄割合に限った場合でも、「貯蓄しなかった」という人が2割程度います。ただ、半分以上を貯蓄したという人も3割近くに上っており、臨時収入等を貯蓄に回すようにしている20代も多いようです。
2人以上の世帯
続いて2人以上の世帯における貯蓄割合をみていきましょう。
金融資産保有世帯における、臨時収入を含めた年間手取り収入からの貯蓄割合は次のとおりです。
年間手取り収入からの貯蓄割合の平均は単身世帯と同じ16%ですが、20~25%未満と答えた世帯が2割に達している点が特徴です。世帯人数が増えると、不測の事態への備えの重要性が増すためと考えられます。ただし、約4分の1の世帯は「貯蓄しなかった」と回答しています。
臨時収入のみに焦点をあてると次のとおりです。
臨時収入等からの貯蓄割合をみると、「貯蓄しなかった」と回答した世帯の割合は単身世帯を下回るものの、平均値は単身世帯に比べて低めです。全体の2割程度が30%未満であり、反対に臨時収入等の60%以上を貯蓄に回した世帯は14.5%にとどまっています。
臨時収入等の多くを貯蓄に回す単身世帯に対し、2人以上の世帯では、日頃から少しずつ貯蓄しているケースが多いと考えられるでしょう。
20代はどのくらい貯蓄すべき?
まだ収入がそれほど多くない人も多い20代ですが、どのくらいを貯蓄に回すのが適切といえるのでしょうか。
先ほど紹介したとおり、なかには手取り収入の3割以上を貯蓄している人もいますが、16%ほどの人が手取り年収の10~20%を貯蓄に回しています。そのため、最低限臨時収入を含めた年収から10~20%くらいを貯蓄すれば平均程度になるでしょう。
貯蓄額は収入から支出を差し引いた残額です。貯蓄できる金額は収入だけでなく、月々必要な支出によっても変わってきます。収入が多いほどより多く貯蓄できる可能性はありますが、たとえ収入が少なくても支出を減らせれば、余剰分を貯蓄に回せるはずです。
しかし、貯蓄が目的化して、生活を切り詰めるのは本末転倒です。収支のバランスを踏まえて、まずは手取り収入の1割近くを貯蓄できるとよいでしょう。
20代で預貯金額を増やすためには
日々の生活もあるなか、なかなか預貯金に回す余裕がないという人もいることでしょう。ここでは、20代で預貯金額を増やすためにはどうすればよいのか、預貯金を増やすのに有効な三つの方法を解説します。
目標金額を設定する
預貯金額を増やすには、まず預貯金の目標金額を設定するのが効果的です。ただやみくもに貯蓄するのではなく、目標に向かって貯蓄することでモチベーションを保つことができるでしょう。
たとえば、いきなり高い目標を設定するのではなく、無理せず達成可能な金額を設定するのがおすすめです。目標が達成できたら次の目標を設定するようにして、コツコツためていくと継続しやすくなります。
また、いつまでにどのくらいの金額が必要なのか計算し、そこから本年度の貯蓄額を設定するなど、必要金額から逆算して目標を設定するのも有効です。
固定費を減らす
貯蓄額は収入から支出を差し引いた金額によって決まるため、収入が同じでも、支出を減らせば貯蓄可能金額は増やせます。
家賃、通信費、保険料などの固定費を減らせば月々の支出削減に直結します。スマートフォンを格安スマホに切り替える、家賃の安い住居に引っ越すといった方法で、固定費の削減に取り組みましょう。
ただし、引っ越す場合、引っ越し代や諸費用がかかる点には注意が必要です。ほかには、毎月かかる水道光熱費を節約しながらコツコツ貯蓄していく方法もあります。
天引き貯蓄を行う
収入から支出を引いた余剰分を貯蓄すると決めても、実際にはほかのことに使ってしまい、なかなか貯蓄に回せないケースが多いかもしれません。確実に貯蓄額を増やすためには、お金を使う前に貯蓄分を分けておくのがおすすめです。
つみたてNISA、iDeCo、財形貯蓄などを活用し、あらかじめ自動で引き落とし、もしくは給与から天引きされるようにしておけばより確実です。2024年にはNISAやiDeCoの制度改正が予定されており、貯蓄と併せて資産運用を行うのもよいでしょう。
まとめ
20代単身世帯における平均預貯金額は105万円、2人以上の世帯における平均は94万円となっています。貯蓄できる金額や収入に対する貯蓄の割合は人それぞれですが、手取り収入の最低1~2割は貯蓄できると安心です。
貯蓄できるのは収入から支出を差し引いた残額です。収入を増やすのは難しいですが、月々の支出を減らすことは比較的簡単にできます。20代で貯蓄額に不安がある人は、支出の削減のほか、貯蓄分をあらかじめ確保することにより、確実に貯蓄額を増やしていきましょう。