「50代比率が高い」ROE10%超の企業ランキング

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(写真:ふじよ/ PIXTA)

1971年以降に生まれた団塊ジュニア世代が続々と50代に突入。企業で働く従業員も年々高齢化している。厚生労働省の労働力調査によると、2022年の正規雇用は3588万人でうち45歳以上が1656万人と46.2%を占める。多くの職場では、中高年が多数派となっている。

平均年齢が上がると社内の活気はなくなり、業績も低迷するといったイメージもある。だが、実はこうした企業でも好業績のケースは少なくない。そこで今回は50代比率が高くROE(自己資本利益率)10%以上、という中高年世代が活躍する優良企業を紹介していく。

ランキングは『CSR企業白書』2023年版に掲載する「50代社員比率ランキング」を基に、2023年3月期までの3年平均ROEが10%以上を対象に作成。年代別のデータは『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2023年版に掲載しているので参考にしていただきたい。

1位の50代比率は47.2%

ランキング1位は制御・自動化機器大手のアズビル。50代比率は47.2%で3年平均ROEは10.5%。50代は2516人(うち女性522人)が在籍している。年代別では40代1336人(同365人)、30代868人(同177人)、20代以下549人(同111人)と50代が圧倒的に多い。

このように高齢化の進む同社だが、本業は2017年3月期以降、2023年3月期まで7期連続最高益を更新中。中高年パワー炸裂といった企業だ。

また、先日発表した「SDGs(持続可能な開発目標)企業ランキング500」でも52位と社会課題解決に力を入れるSDGs先進企業でもある。

2位は半導体検査装置の世界大手であるアドバンテストの43.1%。ROEは30%と圧倒的な高さを誇る。従業員数1986人(2021年度)で、50代856人、40代680人、30代276人、20代以下163人と40代以上が80%近くを占める。65歳までの定年年齢引き上げや定年廃止などの検討を進め、優秀なシニア層が活躍できる場の提供を広げている。

3位は大手ゼネコンの鹿島で41.0%。ROEは11.0%。50代3310人、40代1820人、30代1549人、20代以下1326人と40代以下は比較的バランスよく在籍している。継続雇用の上限は70歳まで引き上げ、社会貢献事業への従事など定年後の就業機会拡充を進める。

4位はシステムインテグレーター大手のBIPROGY(旧日本ユニシス)で40.6%。ROEは14.3%。50代1806人、40代1143人、30代582人、20代以下597人。さらに60代も323人と多い。定年は60歳だが、65歳までの再雇用制度があり、基本給は定年退職時の70%と手厚い。

さらに2025年度からは65歳以降も本人希望により雇用継続できるようになる予定だ。賞与の一部業績評価反映などシニアのやる気を引き出す賃金制度も用意する。また、希望者は週の勤務日を1日や3日などに減らすことも可能だ。

5位は富士電機で40.2%。ROEは11.4%。希望者は最大で65歳まで定年延長できる。高パフォーマンスを発揮する社員は60歳以前と同水準の処遇で働ける。最長75歳まで意欲的に働ける環境が整備されている。

50社に大企業が多くランクイン

以下、6位SCREENホールディングス39.9%、7位オオバ39.8%、8位新光電気工業38.8%、9位富士紡ホールディングス38.3%、10位HIOKI37.9%と続く。


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今回の50社の中には、11位富士通(37.8%)、21位オリンパス(34.4%)、26位三菱商事(33.4%)、28位NIPPON EXPRESSホールディングス(33.0%)、38位三井物産(31.9%)など大企業が多くランクイン。50代が多数派の好業績企業は多く存在する。

こうした企業はボリュームゾーンの50代が、徐々に定年退職を迎える。シニアの待遇が向上している職場も多く、65歳あるいはそれ以上まで働く人は増えていくだろうが、高収入の中高年社員は今よりは減り、トータルの人件費は減っていくと考えられる。

必要なシニア層が残り、これまでと同様の業務継続ができれば、利益はさらに増えていきそうだ。50代の多い好業績企業は株式投資でも注目銘柄かもしれない。

就活生もこうした企業は狙い目だ。好業績なうえ、これから多くのポジションに空きが出る。新卒で入社して、中堅となる10年後くらいまでは経験豊富なベテランと仕事ができ、馴れてきた頃に責任あるポジションが回ってきやすい。こうした会社も候補に入れておくとよいだろう。


(岸本 吉浩 : 東洋経済 記者)