クリスピー・クリームの「341円モーニング」の魔力
クリスピー・クリーム・ドーナツのモーニングは、ドリンク1杯でドーナツ1個無料(筆者撮影)
喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第32回となる今回、訪れたのは「クリスピー・クリーム・ドーナツ」です。
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飲食チェーンが密かにしのぎを削っているジャンル「モーニング」。午前中の集客が弱い時間帯の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。
ドリンクをオーダーするとドーナツが1個無料
今回ご紹介する「クリスピー・クリーム・ドーナツ」は、ドリンクを1杯オーダーするとドーナツが1個ついてくるというモーニングサービスを展開しています。
無料という言葉に惹きつけられるのは人間の性なのか、利用した店舗では行列ができていました。
朝からふんわり甘いドーナツを食べる、しかも無料で。気分良く1日をスタートしたい人におすすめの朝メニューです。
朝11時までのドリンクオーダーで、人気No.1ドーナツ・オリグレをサービス(筆者撮影)
「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の一部店舗では、開店から午前11時までにドリンクを購入すると、ドーナツ「オリジナル・グレーズド」が1個ついてくるという、朝限定「モーニングサービス」を実施しています。
フローズンやキッズドリンクも対象
対象ドリンクはすべて。ホットコーヒーだけでなく、フローズンやキッズドリンクも対象となります。
クリスピー・クリーム・ドーナツのドリンクメニュー、この他に期間限定メニューなども(筆者撮影)
・ハウス ブレンド コーヒー(ホット/アイス) Sサイズ税込341円 Tサイズ税込396円
・アイス ティー Sサイズ税込341円 Tサイズ税込396円
・ホット ティー Tサイズ税込396円
・ラテ(ホット/アイス) Sサイズ税込385円 Tサイズ税込440円
・キャラメル ラテ(ホット/アイス) Sサイズ税込429円 Tサイズ税込473円
・クリスピー レモネード Sサイズ税込396円 Tサイズ税込462円
・クリスピー フローズン クッキー&クリーム 税込605円
・クリスピー フローズン マンゴー 税込605円
・キッズドリンク各種 税込242円
・キッズ ミルク 税込220円
(すべてイートイン価格)
サービスドーナツの「オリジナル・グレーズド」は、商標登録もされている人気No.1の看板商品。グレーズとは本来薄い氷の膜を意味する言葉で、ここではドーナツを覆うシュガーコーティングを指します。
イーストドーナツにアイシングを施したオリジナル・グレーズド(筆者撮影)
なかなかの値引き率でお得感たっぷり
筆者は最安値のドリンク「ハウス ブレンド コーヒー」Sサイズを税込341円で注文しました。「オリジナル・グレーズド」の単品価格は税込209円(イートイン価格)なので、単純計算すると本来550円のものを、38%安く購入できた計算になり、なかなかの値引き率です。
さらに、「クリスピー・クリーム・ドーナツ」は、ドーナツチェーン最大手「ミスタードーナツ」や、コンビニやスーパーの菓子パン売り場で販売しているドーナツよりも、価格設定がお高めなことから、脳内に高級品というイメージを刷り込まれているためか、実際の価格以上のお得感を感じずにはいられません。
ホットコーヒーとシンプルなドーナツは相性抜群(筆者撮影)
アメリカではドーナツは軽食という認識だそうですが、日本ではドーナツはおやつというイメージがまだまだ強いようです。
朝からおやつを注文するというのは抵抗があるという人向けに、昨年までの「クリスピー・クリーム・ドーナツ」では、ドーナツをハンバーガーに見立ててベーコンやチーズを挟んだ「ドーナツバーガー」なるモーニングメニューを販売。
名案と思えた「ドーナツを食事っぽくしたら朝に食べてもいいじゃない」という秘策は、世間には受け入れがたかったようで、昨年モーニングを食べに行った際の店内はお世辞にも繁盛しているとは言い難い状態だったのを覚えています。「ドーナツバーガー」も、個人的には結構ツボだったのですが、残念ながら現在はメニューアウトしているんですよね。
2022年8月に食べたモーニングメニュー、ドーナツバーガーベーコンエッグ(筆者撮影)
朝からドーナツを食べる背徳感と、無料のお得感
しかし、今回訪れた店舗は昨年とは別店舗ながら、朝から大繁盛でカウンターには行列ができていました。「ドーナツ無料」というサービスのお得感もさることながら、「注文したのは自分ではない」と自分に言い訳できる点が支持されているような気がします。
ちなみに、朝からおやつを食べるという罪悪感は、スパイスとしての効果抜群で、いつもおいしい「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を、いつも以上においしく感じさせてくれました。
ホットコーヒーは濃すぎず飲みやすいのに深みを感じるハウスブレンド(筆者撮影)
軽く温めた「オリジナル・グレーズド」はさらにふわふわ
今回は「ハウス ブレンド コーヒー」のホットを注文。サービスでついてくる「オリジナル・グレーズド」は、軽く温めてもらいほんのり温かい状態で提供されました。
白いパンを揚げたような柔らかい生地が特徴のイーストドーナツなのですが、温めたことでさらにしっとり感がアップ。溶けたシュガーコーティングが生地に染み込んでふわっとした口溶けを楽しめます。常温のシャリシャリした食感とはまた違った魅力です。
軽く温めたオリジナル・グレーズドはさらにふわふわで柔らかく。手がシュガーコーティングでベタベタになるのはご愛嬌(筆者撮影)
数年前から第3次ドーナツブームが到来していると言われていますが、第1次ドーナツブームの火付け役となったのが、この「クリスピー・クリーム・ドーナツ」です。
2006年にアメリカから襲来したドーナツ界の黒船として「海外セレブに人気」「本場アメリカの味」というふれこみで大行列となり、ニュースで報道されるなど話題を呼びました。「10時間待ち」の店舗もあったので、印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
しかしその後、業績が大きく悪化。最盛期は全国で64あった店舗数が44にまで落ち込みます。理由は、その甘さ。上陸時は本当にアメリカの味を踏襲していたため、日本人には甘すぎたのです。
甘さを抑えたメニューでV字回復
そんななかで、日本人の口に合う商品が開発されます。「ブリュレ グレーズド カスタード」です。定番の「オリジナル・グレーズド」の表面を炙ることで苦味をプラスし、甘さを抑えたメニューで、「クリスピー・クリーム・ドーナツ」は以降V字回復していくことになります。
長らく「クリスピー・クリーム・ドーナツ」を食べていない人が、今のドーナツを食べると、味の違いに驚くかもしれません。
ショーケースにはカラフルなドーナツがズラリ(筆者撮影)
ドーナツとコーヒーはフードペアリングの王道。相性の良さは抜群です。ドーナツの甘さをコーヒーの苦味がひきしめてくれるので、食べ飽きることなくドーナツをペロリと食べ切ることができました。
編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)