お金を貯めるためには、支出を見直して節約することが必要です。では、何から手をつけるのが効果的なのでしょうか(写真:saki/PIXTA)

「お金持ちには共通しているルールがある」とマネーコンサルタントの頼藤太希氏は言います。それはお金の基本を押さえて、お金が自動的に貯まるしくみを作り、それぞれのお金の使い方の価値基準に合わせてお金を使うということ。

頼藤氏の新刊『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』より一部抜粋・編集のうえ、お金の教養をわかりやすく解説します。

節約できる人がやっていること

将来のライフイベントのため、老後のため、不測の時代に備えるために貯蓄するにも、貯蓄金額を捻出したり、増やしたりするには、まずは支出を把握し節約をしていく必要があります。とはいえ、節約にあたって何をすべきか、どこから手をつけるべきか、理解している人は少ないようです。

そこで今回は、節約に際して何から始めればよいのか、そして何が効果的なのかをお話ししていきます。

■大切なのは優先順位をつけること

まず行うべきは節約の優先順位をつけることです。むやみやたらに節約をはじめても、効果が低かったり、続かなかったりと思うようにお金は貯まらないものです。


(出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』)

節約は固定費から行いましょう。固定費とは、毎月決まって一定額発生する費用です。住居費、通信費、水道・光熱費、保険料、自動車費、その他年会費や月会費などが当てはまります。固定費は、金額が大きなものが多く、見直すだけで、効果が長続きします。

固定費が削減できたら、次は無駄遣い。嗜好品や浪費を減らします。たとえば、カフェショップのコーヒーは1杯500円程度ですが、毎週3回通っていたらそれだけで月6,000円くらいの出費になってしまいます。

無駄遣いも削減できたら、食費、交際費、お小遣い、趣味といった、毎月金額が変わる変動費の削減もしていきます。

■住居費

昔はよく「住居費は月収の3分の1が目安」といわれました。最初は負担が大きくても、長く住むほどに給料が上がり負担が軽くなるので、それでもよかったのでしょう。しかし、今は給料が上がらず、生活費がかさむ時代です。

家計に占める住居費の割合は、手取り金額の20〜25%、首都圏在住でも最大30%に抑えるのが理想です。

賃貸住まいならば、部屋のグレードを1つ下げ、安い部屋に引っ越すことを検討しましょう。リモートワークが進み、都市圏に住む必要性は少なくなってきています。また賃料の値引き交渉も大事です。5〜8月の閑散期は借り手がつきにくいため、人気エリア・物件でなければ値引き交渉ができる可能性があります。


(出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』)

住宅を買い、住宅ローンを返済している方も、借り換えで返済の負担を減らすことを考えましょう。借り換えとは、新しくより金利の低い住宅ローンを組んで、現在の住宅ローンを一括で返済することです。

借り換えのメリットが出る一般的な目安は、「住宅ローンの借入残期間が10年以上」「ローン残高が1,000万円以上」「現在の借り入れ金利と借り換え後の金利差が年0.3%以上」の3つの条件を全て満たすときです。


(出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』)

そもそも住宅は購入するべきなのか?

住宅は購入すべきか、賃貸を続けるべきか。永遠のテーマともいわれますが、時代とともに考え方が少しずつ変わってきています。

購入のメリットは、老後の住まいが確保できることです。住宅ローンが返済できれば、その後は住居費が不要になります。しかし、気軽に引っ越せなくなりますし、メンテナンス費用も必要です。

対する賃貸のメリットは、ライフスタイルに応じて住むエリアや間取りを変えられることです。いつでも引っ越せますし、ローンも抱えません。しかし、老後を迎えても住居費を支払い続ける必要があります。


(出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』)

上図は購入と賃貸の金銭面を比べた表です。

支払いの総額は購入でも賃貸でも、それほど大きく変わりません。ですから、金銭面以外でどちらにするかを決めるべきでしょう。

強い購入理由がないなら賃貸がおすすめです。購入しても、ライフイベントで住めなくなる可能性があるからです。賃貸は住居費のダウンサイズや、最新の部屋・活気のあるエリアへの引越しも容易です。

■スマホ代

ここ十数年の家計の中で、もっとも上昇率の高い費目は通信費。しかし、2021年に入って、大手キャリア3社が格安プランの「ahamo」「povo」「LINEMO」のサービスを相次いでスタートしたことで、通信費も下げやすくなりました。


(出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』)

大手キャリア3社を利用しているならば、格安プランに乗り換えるだけで、これまで毎月1万円はかかっていたスマホ代が数千円は削減できます。大手キャリアのサービスを利用していて、ポイントや割引が生かせる場合は、格安プランに変更して活用するのがいいでしょう。

ただし、大手キャリアの格安プランの申し込みや問い合わせはオンライン限定となっているうえ、キャリアメールも利用できません。

自分で設定したり、問題が発生したときに対処したりする自信がないのであれば、UQモバイル・Y!mobile・楽天モバイルなどの格安スマホを活用するのも1つの方法。これなら安価なうえ、店舗でも相談できます。

首都圏在住で車を持つ必要はなし!

車には、駐車場代、自動車保険、自動車税、車検代、メンテナンス費用にガソリン代と、何かと費用がかかります。ですから、首都圏在住なら、車を手放すことも検討しましょう。首都圏では電車やバスなどの公共交通機関が発達しています。それに、レンタカーやカーシェアリングもあります。普段はあまり乗らないのに車を持っているならば、売るだけで支出を大きく削減できます。

もっとも、地方在住の場合は逆に車がないと生活が成り立たないという場合もあります。そうした場合でも、車を買うなら中古車で十分です。数十万円程度で済む場合も多くあります。金利が4〜8%と高いマイカーローンは使わないで購入しましょう。

また、リセールバリュー(買ったあと、売却するときの買取価格)も意識しましょう。一般に、ミニバンやハイブリッドカー、コンパクトカーなどは人気が高いですし、色はホワイトやブラックが人気です。こうした車を選んだほうが、高く売れる可能性があるというわけです。

低燃費・低排出ガスの、環境にやさしい車にも注目。「環境性能割」の課税は、燃費のいい車ほど軽減。電気自動車は非課税です。


■その他の固定費

家の固定電話は月2,000円前後と、スマホ代よりは安いかもしれませんが、使っていないなら完全に損です。固定電話とセット契約で安くなるサービスもありますが、これも不要でしょう。

日本経済新聞の定期購読も、実は無料にできます。証券会社の楽天証券に口座開設(口座開設自体も無料)すると無料で使える「日経テレコン(楽天証券版)」では、日経電子版に掲載されているニュースが読めます。毎月4,277円、1年で5万1,324円もの節約ができます。スマホでも読めてとても手軽です。NHKの受信料はまとめ払いがお得です。


(出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』)

クレジットカードの年会費は「初年度無料」となっているケースが多いものです。2年目からは解約しない限り年会費がかかるにもかかわらず、そのことを忘れて無駄な年会費を支払っている場合もあります。使っていないクレジットカードは解約しましょう。

音楽聴き放題や動画見放題に代表されるサブスク(サブスクリプション)サービスも固定費です。もし複数加入しているならば、どうしても使うものだけにして、その他は思いきって解約しましょう。


(出所:『1日1分読むだけで身につくお金大全100[改訂版]』)

(頼藤 太希 : マネーコンサルタント)