扉をあけ閉めするのは手間。そう考えた日刊住まいライターは、半年前にハウスメーカーで建てた際に、収納スペースのいくつかをオープンで使える仕組みにすることに。ウォークスルーのクローゼット、スタディースペースの棚、押入れ…。使い勝手やメリット&デメリットについて語ります。

収納の扉を「つけるorつけない?」をじっくり検討

筆者は、夫と子ども3人(15歳、8歳、5歳)の5人家族。半年ほど前に都内から西軽井沢に移住して、大手ハウスメーカーで平屋の家を建てました。

家づくりでは、毎日使う収納に扉が必要かをじっくり検討しました。いちいちあけて「しまう、取り出す」という作業がムダな手間に思えたからです。

 

まず、LDKに面した場所につくったファミリークローゼット。ここはウォークスルーになっていて、家族5人分の服を収納しています。リビングに面した出入り口には引き戸がありますが、来客があったときにのみ閉めることに。

クローゼットの中に入ると、すべて見渡せるように、バーハンガーに服をかけています。家族それぞれが、ひと目で服を見つけられて着替えが簡単。

したがって、服を着替えようとリビングで思ったら、一度も扉をあけることなく、それができてしまうというわけです。

ちなみにこのファミリークローゼットは、玄関に抜ける裏動線で、家族専用の廊下の役割も果たしています。出かけるときや帰ってきたときに、さっとワンアクションで服をかけたり、着替えがたりできで、家族にも好評です。

 

これは余談ですが、ファミリークローゼットは、2つある入り口のうち、玄関側の入り口にはドアをつけませんでした。ですから、帰って来たらスムーズにこの場所にアクセスできます。

 

LDKのスタディースペース横の収納棚も扉なしに

こちらは、LDKにつくったスタディースペースです。その横には収納棚を造作しました。

暮らし始めてからは、おもに子どもたちのプリント類や保険証類、郵便物などを棚に収納しています。棚の中にはコンセントをつけていて、タブレットの充電も可能。

扉をつけず、ものを棚に置くだけ。この単純な仕組みにしたことで、「デスクでものを使ったら、ちゃんと棚に戻す」ことができました。もし扉があったら、あけ閉めの手間で、スタディースペースのデスクの上に置きっぱなし…という状態が増えたかも。

 

棚に扉がないのは正解とは思っていますが…。後悔していることがひとつあります。それはこの収納の位置です。写真のようにリビングに足を踏み入れると、棚が視界に飛び込んでくる場所に設置してしまいました。

スタディースペースは子どもがメインで使うので、どうしても散らかる場所。棚の向きを変えるとか、位置を変えて、もう少しリビングから見えないように設置しておけば…。多少、棚が散らかっていても気にならなかったはずです。

 

見えているからこそ、きれいにしようと思える

扉がない収納棚のデメリットは、ホコリがたまりやすく、生活感も丸見えになること。ただ考えようによっては、これがプラスに働くことも。

整理整頓が苦手な筆者ですが、ふと目をやったときに棚が雑然としていると、「片づけよう!」と思うのです。

おかげで、定期的に片づけや子どものプリント類の整理ができています。扉をつけていたら、棚が雑然としていても気にならなので、あけた途端になだれがおきるということもあったかも。

寝室の押入れ&ワークスペースの棚も扉なしに!

こちらは寝室にある押入れです。幅は120cm。一般的な押入れの幅は180cm程度ですから、押入れとしては小さいサイズです。この押入れに関しても、扉をつけるかじっくり検討してつけないことにしました。結果は大正解!

とにかく出し入れしやすいです。扉があると、横幅90cmはある敷布団をそのまま収納するのが大変だったはず。あけ閉めの際に扉があったらジャマになっていたと思います。

また、引き出し式の収納ケースを利用する際も、扉との干渉を気にしなくていいので便利。折戸でも引き戸でも、採用していたら、きっと引き出しとぶつかってしまったことでしょう。

そもそも、寝室は来訪者が入ってくる場所ではありません。扉がなくて生活感が出ても、問題のない場所です。

扉がない分、収納のカスタマイズもしやすいです。今後、見た目が気になると感じたら、ロールスクリーンで目隠ししてもいいと考えています。

 

ちなみに、寝室の押入れの隣はワークスペースとなっています(じつはこのワークスペースを確保するために押入れの幅を削りました)。

こちらもオープン収納です。押入れと同様、オープン収納で正解な場所です。お客さんが来た際も寝室の扉を閉めてしまえば、中は見えません。

扉がない分、必要なものをサッと取り出せるので便利です。

 

脱衣所の収納は、そもそも棚にしたことが間違いだった!

脱衣所は、ランドリールームと兼用になっています。洗濯物をたたんだりする作業台、家族5人分の下着とパジャマを収納する棚を兼ねて、写真のようにオープンな棚を設置しました。

これは大失敗! そもそも、棚にする必要がありませんでした。

カウンターの奥行き60cmに合わせて、棚の奥行きも同じサイズになっていますが、深すぎて使いにくい。それにサイズの合う収納ケースがなかなか見つかりません。

こんなことなら、棚にはせずに作業用のカウンターだけ設置して、カウンターの下に3段の衣装ケースを置くのが正解だったと感じています。あるいは、せっかく造作するなら、引き出しつきの棚にする手があったと思います。

収納に扉をつけるかつけないかという問題以外に、そもそも棚でいいのかという疑問をもつことが必要でした。