太陽光パネルを戸建てにあとづけして、光熱費を削減。7年で元がとれプラスに
電気代の高騰が止まりません。そこで注目したいのが、太陽光パネルのあとづけ工事。2022年9月に、実際にあとづけ工事をした日刊住まいライターが、かかった費用や工事についてレポートします。あとづけによる電気代の変化、また、「7年後には元が取れそう」という、うれしい見通しも紹介。
電気代アップ対策であとづけの陽光パネルを決断!
筆者は妻と子ども2人(9歳と6歳)の4人家族。2年前に地元工務店で、高気密高断熱にこだわって2階建ての注文住宅を建てました。
新築時には太陽光パネルは導入していませんでした。導入するつもりでしたが、施工事例があまりなかった工務店だったからか、太陽光パネルの設置に消極的だったためです。
しかし、住んでみると、高気密高断熱の家とはいえ、電気代がそれなりにかかります。さらに電気代が上がり始め、その傾向は長期的に続くと思い、2022年9月に太陽光パネルを導入しました。
ちなみに設置したのは建築した工務店ではなく、別業者です。
あとづけ工事で屋根の10年保証が消滅。その対策も必要
太陽光パネルをあとづけするとき、注意しなければならないことは、家の保証問題をクリアすることだと思っていました。
筆者の場合、工事をする業者探しは、一括見積もりサイトを利用。相見積もりを行うことで、初期導入費用を下げたいと考えたからです。ただそうすると、建築した工務店ではない業者が、太陽光パネルのあとつけ工事を行うことになり、工務店の屋根の10年保証は消滅してしまいます。
そこで、設置から10年間は屋根についても雨漏りの保証がつくことを、太陽光の設置業者選びの条件に。また施工方法においても、屋根に穴をあけない施工(キャッチ工法など)をしているかも確認しました。
これは問い合わせた業者から聞いた話ですが、太陽光パネルの設置業者といっても、注文を受けるだけで、施工は違う会社に頼んでいる業者も少なくないとのこと。そういった場合、もし故障があったときの対応が心配です。そこで筆者は、太陽光の設置、電気工事も自社で行っている会社を選ぶことにしました。
これらのことは、のちのちトラブルが起きないようにするために、重要なポイントだと思ったからです。
太陽光のあとづけ工事には、65万8000円の補助金が
太陽光パネルを設置しても、導入費用が短い期間で回収できないと意味がありません。
そのために、まず初期導入費を抑えようと一括見積もりサイトを利用。相見積もりを行うことにしたのです。
決定した業者からの当初の見積もりは、あとづけ工事一式で100万円強でした。そこからさらに割引交渉をし、最終的には当初の見積もりから20万以上安い81万4000円(3.9kw)で導入することができました。それ以外に補助金が15万6000円もらえたので、実質65万8000円となりました。
※補助金については各自治体により異なります。ご自身でお調べください
保証期間は15年。7年目で元がとれプラスになる計算
筆者の場合、搭載した太陽光パネルは3.9kw。1kwあたり年間約1231kw発電するとのこと。そこから試算すると、年間発電量を約4800kwになります。
毎年の発電量と、電気代が今後も年間3%ずつ上がっていく想定で、シミュレーションしたのが上の図です。太陽光パネルの発電量も徐々に下がっていく(3%)と考えて、太陽光の売電(自家発電した電力を電力会社に買い取ってもらうこと)収入を算出しています。
自家消費率30%、残りの70%を売電するという計画で試算。売電価格は17円で推移。電気料金30円から毎年3%値上がりしたとしても、7年目で元がとれて、その後はプラスという結果になりました。
太陽光パネル、パワコンの保証は15年。7年目で元が取れたあとも、まだ8年保証されます。このことも、あとづけを決める大きな理由になりました。
ちなみに筆者は、蓄電池は採用しませんでした。蓄電池の価格は、これからも下がっていくだろうと思ったからです。将来改めて、売電価格と電気代、蓄電池の価格を比較して検討しようと思っています。
太陽光パネルの設置と電気工事で実質2日で完了!
太陽光パネルをあとづけして、家庭用電力として利用するためには、太陽光パネルを設置する以外に、電気工事が必要です。
わが家の場合、工事にかかった時間は、パワーコンディショナー(以下、パワコン)、送信機、太陽光ブレーカーを設置する電気工事で1日、屋根に太陽光パネルを設置するに1日の実質2日でした(ただ、設置する工事が込み合っていて、2つの工事の間が2週間ほどあいた)。
電気工事で設置したものについても、詳しく紹介しましょう。
●パワーコンディショナー
太陽光パネルをあとづけした場合、発電した電気(直流)を、家庭用電気(交流)に変換するパワコンがセットで必要となります。
このパワーコンディショナー(以下パワコン)の設置場所には、屋外と屋内の2つのタイプがあります。室内に置くと場所をとるので、わが家は屋外のタイプを選びました。
業者の話では、パワコンを屋外に設置する場合、直射日光が当たりにくい場所の方が故障することが少ないとのこと。そこで、提案された北側に設置しました。
●太陽光ブレーカーと送信機
太陽光ブレーカーの設置が必要になります。これは屋内にある分電盤の近くにつけるようにした方がいいと言われました。そのため、分電盤の隣につけました。
場所は1階の脱衣所です。点検口が近くにあり、ブレーカーをつけると点検口が開かなくなるかという心配がありましたが、ギリギリセーフでした。
太陽光パネルの発電状況、電気の買電(電力会社から電力を購入すること)状況を受信機で見るための送信機も分電盤近くに設置。その場所が上の写真。右端の大きな箱が分電盤。そのすぐ左横についているのが送信機、点検口の左側の縦長の箱が太陽ブレーカーです。
●受信機
受信機には発電や売電、使用電力が表示されます。電源が必要になるので、コンセントがあるところに設置する必要があります。
電源さえあればいいですが、見やすい場所に設置するのがいいですね。わが家の場合、キッチン横のカウンターに置いています。
■試算以上の効果が出ていて大満足の結果に
太陽光の実際の発電量がこちら。想定より発電してくれていて助かっています。
業者さんからシミュレーションは固めの数字なので、「実際はもっと発電します」と言われていました。本当にそのとおりに。
こちらは、わが家の電力の使用量です。前年同月(導入前使用量)と比較してみました。
発電した余剰分を売電に回しても、毎月の買電量はかなり減っています。今後、もし蓄電池を導入すれば、電気代は差し引きで利益が出る月も出てきそうな結果です。
太陽光発電を導入してさらに暮らしも快適となりました。太陽光パネルをあとづけするまでは、電気代を気にして、冬場は少し寒いけど、エアコンの設定温度を少し低めに、夏場は高めに設定していました。しかし、今はあまり気にせずに冷暖房も使っています。
また、発電している日中に洗濯機や食洗機などを回し、なるべく自家消費できるように。こんな工夫も楽しくできています。