宝塚記念に出走予定のジェラルディーナ(撮影:下野雄規)

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 6月25日に阪神競馬場で行われる宝塚記念(3歳上・GI・芝2200m)。豪華メンバーが集う春の大一番にジェラルディーナ(牝5、栗東・斉藤崇史厩舎)が武豊騎手とのコンビで出走を予定している。

 ジェラルディーナは父モーリス、母は2012年の三冠牝馬ジェンティルドンナ、母の父ディープインパクトという血統。

 20年9月に母を管理した石坂正厩舎からデビュー。3戦目で勝ち上がると、そのまま中1週で阪神JFに挑戦。スタートでは大きく出遅れてしまうも、直線では大外から上がり2位の脚で追い込み7着。ソダシやメイケイエールなどの上位争いには加われなかったが、確かな素質の片鱗を見せた。

 翌年の2月、石坂厩舎が定年により解散。斉藤崇厩舎へ転厩となったが、レース中に手綱が外れるアクシデントなどもあり賞金を加算できず、母が制した牝馬三冠競走への出走は叶わなかった。しかし、条件戦を3連勝するなど着実に力をつけていき、3歳シーズンを終える。 

 翌年は大阪杯へ登録するなど果敢に重賞へ挑戦するも、レースでは発汗やイレ込みが目立ち、重賞のタイトルには届かずにいた。それでもその間は福永騎手が一貫して手綱をとり、我慢する競馬を教え込んでいた。

 懸命な努力が実ったのが9月のオールカマー。初の関東輸送に中山コースという不安をよそに初めて手綱をとった横山武史騎手はこれまでとは打って変わって先行策。前から3列目のラチ沿いで折り合うと直線を向いたところで加速し、道中で我慢が効いた分最後は他馬を寄せ付けないほど弾けた。母が有終の美を飾った中山コースで娘が産駒の重賞初制覇を飾った。

 勢いそのままに挑んだエリザベス女王杯では、大外枠からの発走となり後ろからの競馬となった。馬場はロングラン開催となっていたことに加え、当日の雨により内目はかなり悪化。それを読んだ鞍上のC.デムーロ騎手は道中も大外追走から徐々に進出した。直線でも馬場の綺麗なところを選択し、初コンビながら見事女王の座へとエスコートしてみせた。

 GI馬として臨んだ有馬記念では大きく出遅れてしまうも、果敢に追い込み3着を死守。今年は大阪杯から初の海外遠征にも挑戦している。通算成績は19戦6勝。

 ファン投票では3位と、多くの支持を集めて臨むグランプリ。GIを制した阪神2200mの舞台で、手綱をとるのは初タッグとなるレジェンド・武豊騎手。偉大な母も二度敗れたレースだが、今度は娘が借りを返す。