交流戦で見逃せない名勝負必至のマッチアップ5選…「侍ジャパン対決」、「離島の怪童vs肥後の怪童」など
5月30日からプロ野球セ・パ交流戦が始まる。両リーグの壁を越えて繰り広げられる真剣勝負に、今年も胸が躍る。そこで、交流戦で実現したら面白い対決を5つピックアップしてみた(文中の成績はすべて5月29日現在)。
WBCで侍ジャパンの世界一に貢献した山本由伸(写真左)と岡本和真
1.山本由伸(オリックス)vs岡本和真(巨人)
今春のWBCで侍ジャパンのユニホームを着て、共闘した両雄の対決。山本はパ・リーグ投手として史上初の2年連続沢村賞を受賞した、NPBを代表する投手。だが、20日に発熱による体調不良のため登録抹消され、交流戦開幕日の30日(広島戦)で戦線復帰する。順当なら中6日となる6月6日の巨人戦で、岡本と対戦する可能性が高い。
岡本は若くして5年連続30本塁打をクリアし、WBCでも2本塁打とインパクトを残した。今季はここまで打率.301、9本塁打、23打点と好調をキープしている。
ストレート、カーブ、フォーク、カットボールと全球種が一級品の山本に対し、岡本はどんな対応を見せるのか。巨人打線は身長2メートルのホープ・秋広優人がブレイクしつつあるなど、復調気配があるだけに山本との対戦が楽しみだ。
2.佐々木朗希(ロッテ)vs佐藤輝明(阪神)
剛と剛。ロマンを追うならこのふたりの対決が見逃せない。
佐々木は5日に右手中指にマメができた影響で一時登板を回避したが、28日のソフトバンク戦で復帰して4勝目をマーク。今季6登板で4勝0敗、防御率1.18。奪三振率13.97と圧巻の数字を残している。「今の佐々木を見ておけば、後世まで自慢できる」と言いたくなるほど、圧倒的な投球だ。
一方、プロ3年目を迎えた佐藤は開幕以来19試合ノーアーチと不振に苦しんだが、初本塁打が出てから復調。以降は27試合で8本塁打を放っている。昨季やや落ちたように見えた飛距離も、今季は超特大の「らしい一発」が増えている。5月14日のDeNA戦では右中間最深部に軽々と満塁弾を放り込むなど、2本塁打7打点の大暴れだった。
佐々木の次回登板は中6日を空けて6月4日の阪神戦が濃厚。昨年5月27日の対決では佐々木が佐藤を3打数0安打2三振と完璧に抑え込んだが、佐藤も佐々木降板後に決勝アーチを放って勝利に導いている。
最速165キロに達する佐々木の角度あるストレートに、佐藤の空間をえぐりとるようなフルスイングが迎え撃つ。想像するだけで胸が高鳴ってくる。
3.平良海馬(西武)vs村上宗隆(ヤクルト)
離島の怪童(平良)と肥後の怪童(村上)。ともに2017年ドラフト入団の同級生対決も熱い。
平良は昨季までリリーフとして通算94ホールドをマークする絶対的セットアッパーだったが、球団首脳への訴えが実って今季から先発に転向。7登板で4勝1敗、防御率2.30と上々のスタートを切っている。リリーフ時よりもストレートの投球割合を減らし、昨季まで投げていなかったカーブを使うようになるなど、打者にとっては狙い球が絞りづらくなっている。
一方、村上は「村神様」と崇められた昨季から一転、今季は絶不調に苦しむ。リーグ3連覇を狙うチームも10連敗と失速し、早くも自力優勝が消滅してしまった。ただし、不振とはいっても村上はリーグトップタイの9本塁打を放っている。きっかけひとつで昨季の大爆発の再現を見せてくれるはずだ。
平良が中6日のローテーションで先発登板し続ければ、6月11日のヤクルト戦で村上と激突する可能性が高い。インコースに食い込む平良のカットボールを、村上のキレのあるスイングが切り裂けるか。公式戦で両者の対決はまだ実現していないだけに、期待はふくらむ。
4.山下舜平大(オリックス)vs宮粼敏郎(DeNA)
今季、球界にセンセーショナルな風を吹かせているのが、山下舜平大だ。福岡大大濠からドラフト1位で入団して3年目の今季、山下は開幕戦で一軍デビューを飾った。2年目以降の選手が開幕投手としてデビューするのは史上初。WBCの影響で山本由伸と宮城大弥が先発できなかった事情を差し引いても、異例中の異例の出来事だった。
190センチの長身から右腕を縦に振る、角度を生かした投球フォーム。常時150キロ台のストレート、高校時代から磨いてきた変化量の大きなカーブ、高確率で空振りを奪えるフォークと少ない球種でも抑え込める。
宮粼は35歳になる今季、キャリアハイに迫る勢いで打ちまくっている。打率.385はリーグ1位、本塁打9はリーグ1位タイ、打点27はリーグ4位。コンディションが万全ではないため欠場する試合も目立つものの、打席に立った以上は結果を残す、職人らしい働きぶりだ。
現段階では中8日間隔で先発している山下は、6月10日のDeNA戦に先発する可能性がある。宮粼だけでなく、牧秀悟、佐野恵大という実力派や、関根大気、桑原将志と旬を迎えた好打者との対決も楽しみだ。
5.大竹耕太郎(阪神)vs柳田悠岐(ソフトバンク)
最後に紹介したいのは、ブレイク中の技巧派左腕と古巣のスターとの対決だ。
大竹はソフトバンク時代に通算10勝を挙げたものの、選手層の厚い環境で少ないチャンスをものにできずにいた。ところが、昨オフに初めて実施された「現役ドラフト」で阪神に移籍すると、状況が一変。今季は7試合に登板して6勝0敗、防御率0.40と大活躍を見せている。なお、大竹はソフトバンク時代から交流戦で3戦3勝と、対セ・リーグ球団への相性のよさを見せていた。
大竹が中6日の登板間隔を守り続ければ、甲子園球場にソフトバンクを迎え入れる6月17日での先発登板が濃厚。古巣を相手に、大竹はひと回り成長した姿を見せられるだろうか。
対するソフトバンク打線は、主砲の柳田悠岐が健在をアピールしている。昨季は故障もあって打撃成績にかげりが見えたが、今季はV字回復。リーグトップの打率.318を記録するなど、8本塁打、23打点と実力を発揮している。詰まったレフトフライかと思われた打球がスタンドインしてしまうなど、「変態打ち」は交流戦でも見られるか。
交流戦ならではの"非日常空間"を感じながら、名勝負を味わい尽くそう。