男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「女がデート中に男に密かにつけていたあだ名は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:「結婚しても仕事は続ける派?」3回のデートで将来設計まで聞いたのに、男がふられた理由




「匠さんには、私よりいい人がいると思うんですよね…」

解散間際に好意を伝えられたものの、私はやんわりと断る。

「僕は陽菜ちゃんがいいなと思っているんだけど…」
「いえいえ、私なんて…」

「私なんて…」の後には、いくつか言いたいことがあった。でもここで言うのは野暮だと思い、私は口を閉じる。

「すみません…」

― いい人なのにもったいないな…。

そう思いながら、私は夏の香りを放ち始めた東京の空気を大きく吸い込んだ。


A1:デートじゃなく、面接されているのかと思った。


匠と出会ったのは、食事会だった。

6人での食事会でカッコイイ人がいるなとは思っていたけれど、私と匠の席は一番遠く、しかも匠はずっと隣にいる加奈と話していたので私は入る隙がなかった。

解散間際に少し話しただけだったのに、なぜか翌日匠から連絡が来て、そこからやり取りが始まった。

そしてしばらくして、私たちは目黒にある『レストラン ユニック』でデートをすることになった。




「この前は全然話せなかったから、改めて会えて嬉しいよ」

最初から、グイグイと来る匠。ストレートに伝えてくれるのは嬉しいけれど、そもそもなぜ私に連絡をくれたのかわからない。

「こちらこそです。席、遠かったですもんね。でもなんで私を誘ってくださったんですか…?」
「いや、僕的には陽菜ちゃんが一番いいなと思っていたんだけど、遠かったし。それに陽菜ちゃんが他の人と話しているのを邪魔するわけにはいかないからね(笑)」
「でも匠さんも、隣にいる加奈とずっと話していましたよね?」

一見クールな感じに見えたけど、意外に話しやすい匠。

「陽菜ちゃんって、ずっと笑顔だよね」
「そうですか?」

彼との会話が楽しかったので、自然と笑顔になっていたらしい。またワインの種類が豊富で、お店の雰囲気もよかったので気分がよかった。




「ちなみに陽菜ちゃんはどういう人が好きなの?」
「私は、優しくて男らしい人ですかね。匠さんは?」
「僕はいつも笑顔でいてくれるような、明るくて可愛い子かな」

ここまではよくある会話だったと思う。でも段々と、私は「んん?」と思い始めた。

「ちなみに陽菜ちゃんって、料理とかするの?」
「一応しますけど…。でも忙しいと、ついついデリバリーとかが多くなっちゃいます。匠さんは?お料理されるんですか?」
「うん、たまにするよ。でも掃除とかは苦手だから、家事代行サービス入れてるけど」
「アウトソーシング、いいですね」

いたって普通の会話だった。でも次の話に、私は妙な勘ぐりを入れてしまう。

「本当は奥さんとかがいたら、アウトソーシングなんてしなくてもいいんだけどね…。とりあえず今はひとりだから仕方ないかなと思って。料理だって、誰かが作ってくれたら最高なんだけど」

― …ちょっと亭主関白のにおいがするな。

また若干、私の家事能力をジャッジされているようにも思えてきた。

「陽菜ちゃん結婚願望はあるの?」
「ありますよ!もうすぐ30歳ですし」
「結婚しても仕事は続ける派?」
「そうですね。結婚しても仕事は続けると思います」

まるで面接のような質問が続き、私も何と答えるのが正解なのか探り探りになっていく。

― でも、私の考え過ぎかな?

匠は30代前半の経営者。かなりやり手のようだし、将来性もある。こんな小さなことに文句をつけるのは間違っている。

「お酒、なくなっちゃったね。次は何飲む?」
「私はハイボールにしようかな」
「いいね!飲める子最高」

こうして初デートは終わり、私たちは2週間後にもう一度会うことになった。


A2:理屈っぽくて、上から目線なのがイヤ。


しかし二度目のデートで、初回では気がつかなかったところまでもが目につくようになってしまった。

「あれ?なんか匠さん、痩せました?」
「そうなんだよ!気がついた?」

少し頬がシュッとした匠。それを伝えると、嬉しそうに匠が目を輝かせた。

「僕さ、ダイエットって簡単だと思うんだよね。昼食とか、会食の入っていない夜のご飯をチキンとかサラダにかえて。タンパク質を多めに摂取して、カロリーコントロールしたら自然と痩せていくじゃない?タンパク質の量は、『体重×0.1』くらいの量が必要って聞いてさ」

言っていることはわかるけれど、「こういう理屈を語ることが好きなのか」と思った。

「頭ではわかっているんですけど、それが意外に難しいんですよね…」
「陽菜ちゃん、スタイル抜群じゃん。そんな必要ないでしょ」
「いやいや、そんなことなくて」
「僕の隣にいてくれる人は、陽菜ちゃんのような綺麗でスタイルも良い美人さんがいいな」

― 上から目線で女性のことを選ぼうとしているな…。そもそも彼女をアクセサリー的な感じで見ている?

そんなことを考えていると、匠はまだタンパク質のことを語っている。

「次、何頼もうか?メインは肉でもいい?タンパク質摂取しないと」
「さすが。タンパク質ですね(笑)。もちろんです」
「別に筋トレ馬鹿とかじゃないからね?」




美味しい食事を前にして、タンパク質の話ばかりされても辛いので、とりあえず話題を変えてみる。

「ちなみに、そのサラダとかは匠さんがお料理されているんですか?」
「まぁ一応ね。簡単なものしか作れないけど。前も話したかもだけど、本当は奥さんとか彼女が作ってくれたら最高だよね…。疲れて帰ってきた後に、ご飯を作るのは面倒だから」
「わかります、その気持ち」

そう言いながらも、女性も働いている場合はどうなるのだろうか。

― 疲れて帰ってきても、きっと食事の用意は女性にさせるんだろうな…。

そんな光景が容易く想像できる。しかも匠はまだ話し続けていた。

「最近健康志向が強まってきて。朝はプロテイン入りのグリーンスムージーとか飲んで、昼はサラダで夜はヘルシーな一汁三菜の和食で…。みたいな生活ができればいいんだけど、なんせ僕ひとりだとさすがにできなくてさ」

仕事をして稼いできてくれて、でも朝昼晩すべて栄養のバランスを考えながら料理を作ってくれる人…。そんな神様のような人がいたら、私だって付き合いたい。

「お料理、習ったりしないんですか?意外に和食、簡単ですよ?」
「そうなの?じゃあ今度陽菜ちゃんがうちに来て料理作ってくれたら嬉しいな」




付き合ってもいない男性の家に行って、料理をするメリットはどこにあるのだろう。

でもここで「行きません」などハッキリ言うと逆に面倒なことになりそうなので、曖昧にはぐらかしてみる。

「…私で良ければ」

二度ほどデートをして、気がついた。

匠はいい人だけれど女性に対する理想像や、イメージが高すぎる。そもそも、どうして「自分が選ぶ側」だと思っているのだろうか。「選ぶ側」であると同時に、「選ばれる側」でもあるのに…。

亭主関白な人が好きな女性もいると思うけれど、私は窮屈に感じてしまうし、一緒にいても楽しくない。

ダメもとで三度目のデートにも行ってみたけれど印象は特に変わらなかったので、好意を伝えられても丁重にお断りすることにした。

― 女性に対する理想が高くて、理屈っぽい男性ってモテないんだよね…。

そう思いながら。

▶【Q】はこちら:「結婚しても仕事は続ける派?」3回のデートで将来設計まで聞いたのに、男がふられた理由

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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