気になる保険の選び方をライフスタイル別に紹介。どこに重点を置くべきか・どんな保障が大切なのかを、市野瀬トータルコンサルタント代表・いちのせかつみさんに伺いました。

「入るべき保険」と「不要な保険」の見分け方

あればあったほうが安心と思いがちな保険。けれど、不要な保険は家計を圧迫する要因になってしまいます。

ESSE世代が「入るべき保険」と「不要な保険」の見分け方について、市野瀬トータルコンサルタント代表・いちのせかつみさんに教えてもらいました。

●「いくら払えるか」より「なにが必要か」

生命保険の保障は、万一のときに家計が受けるダメージを想像して、必要な保障を考えるのがポイント。たとえば、共働きでも夫の収入で生活して妻の収入は貯蓄しているなら、妻に大きな死亡保障は不要です。逆に、両方の収入がないと生活できないなら、夫婦とも厚い保障が必要に。

「医療保険は、社会保険に加入して傷病手当金が出る夫より、パートで傷病手当金がない妻の方を厚くしましょう。とくに育児や家事を妻が担っている家庭なら、ベビーシッターや家事代行の費用もかかると考えて」

保険の保障は貯蓄では補いきれない損害をカバーするもの。
「治療費がかさむ病気、家の倒壊もありえる地震など、ダメージが大きいものほど入っておくと安心です」

<入った方がいいもの>
・死亡保険
(子どもが自立するまで)
・医療保険
・がん保険
・災害・地震保険
・自転車保険

●医療保険につける特約の優先順位

最近の入院は短期が主流。長期入院保障よりも、退院後の通院を保障する特約を優先しましょう。「余裕があれば、治療が長引きやすい三大疾病や高額な先進医療の保障をつけても」

・最優先!「通院特約」

病気やケガで入院して入院給付金を受給したあとの通院を保障。条件は、入院した理由と同じ病気やケガの治療が目的であること。通院日額を決めて加入する。

・つけて安心「入院一時特約」

入院したとき、入院給付金とは別に一時金が受け取れる。1回の入院が短い場合を保障するもので、「日帰り入院」「2日以上の入院」などの条件によって3〜10万円程度が出る。

・つけて安心「特定(三大)疾病特約」

日本人に多いとされる三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)になったとき、または死亡・高度障害のときに、保険金が支給される。三大疾病で手術を受けた場合に保障するタイプも。

・つけて安心「先進医療特約」

厚生労働大臣が認める「先進医療」を受けたとき、治療の内容に応じた給付金を支給。先進医療を行う病院はまだ少ないが、治療費が高額なのでいざというとき安心。保険料も数百円と割安。

・必要に応じて「長期入院特約」

入院保障の契約日数を超えて長く入院した場合に、入院給付金を支給。対象となる入院日数は、保険会社によって、「125日以上」「180日以上」など。短期の入院が多い昨今は、優先順位は低め。

ライフスタイル別「必要な保障」

◎〇△は優先順位を表しています。◎=補償を手厚くするべき、〇=補償を厚めに、△=優先順位は低め。

●子なし世帯の場合

・夫婦の医療保障:〇
・夫婦の死亡保障:△

病気やケガによる収入ダウンに備えて、医療保障を確保。貯蓄が少ない人は、保障額を少し多めに設定しておくと安心です。死亡保障は、葬式代+家の整理費用等で、200万円程度のものでOK。

●専業主婦子あり世帯

・夫の死亡保障:◎
・妻の死亡保障:〇
・夫の医療保障:〇
・妻の医療保障:◎

収入の担い手の夫は、死亡保障を厚くする必要あり。妻が入院したり、死亡すると育児や家事の出費が増加するため、医療保障は厚めに確保。死亡保障も葬式代+家事・育児費用の上乗せを。

●共働き子あり世帯

・夫の死亡保障:◎
・妻の死亡保障:◎
・夫婦の医療保障:◎
・妻の所得補償:△

夫が正社員、妻がパートの場合、夫が亡くなると遺族年金が出るが、妻は出ないので妻の死亡保障を多めに確保。夫婦とも医療保険は大事。妻に失業保険が出ない場合は所得補償で減収のカバーをしても。

“保険ビンボー”を防ぐお金のかけ方

万一のとき、もっとも頼りになるのが公的保障です。

「夫が亡くなると、18歳未満の子どもがいる人なら遺族基礎年金が出ますし、夫が会社員なら遺族厚生年金や勤務先からの死亡退職金も出ます」

保険で必要な保障額は、これらの公的保障ではまかなえない分です。

「支出だけでなく収入も考慮すれば、保険へのお金のかけすぎを防げます」

●必要保障額の目安

遺族の支出−遺族の収入=必要保障額

<遺族の支出>

・生活費
・子どもの学費
・住居費用
・葬儀費用
・相続税 など

<遺族の収入>

・遺族基礎年金
・老齢基礎年金
・企業保障
・資産(貯金・株・不動産)
・配偶者の収入 など

夫が亡くなり、子どもが18歳未満なら「77万7800円+子どもが2人までは1人につき22万7800(3人目以降は7万4600円)」の遺族基礎年金が支給されます。

もち家なら、団体信用生命保険で住宅ローンも相殺に。