いくら備えておけばいいのか、老後資金について漠然とした不安を抱える人は多いもの。ここでは団地でひとり暮らしをし、1か月の予算12万円でやりくりをしている54歳のきんのさんの暮らしを紹介します。

老後の予習に始めた、月予算12万円生活

54歳、ひとり暮らしのきんのさんは、築50年超えの団地に住み替えたことを機に、老いじたくを意識するようになりました。『1か月15万円以下の心ゆたかなひとり暮らし』(扶桑社刊)では、1か月の予算12万円で暮らすきんのさんの節約の工夫を掲載。同書の記事を抜粋し、月12万円で暮らすための工夫や老後に必要なお金の出し方をご紹介します。

【写真】月12万やりくりの支出内訳

●食費とレジャー費は多めに。自分流のメリハリ予算で満足度◎

「おひとりさまの老後」に不安があったというきんのさん。

「原因は、65歳からの収支が見えないからだと思い、まずは老後の支出を予想(次ページ参照)。すると、月12万円あれば生活できそうだとわかりました」。

以来、月12万円の予算内で、どうやったら楽しく過ごせるか、老後の予習をかねて家計管理。住居費・交通費・被服費は低く抑え、その分食費や娯楽費を充実。

「『老後は2000万円必要』のような一般論ではなく、『私の場合』を知ることで不安がほぐれ、ささやかながらも楽しく暮らすコツがつかめてきました」

日々の収支は家計管理アプリ「Moneytree(マネーツリー)」で記録。クレジットカードや銀行口座と連携しているので、入力するのは現金払いのみ。1か月の収支は、月末にエクセルで自作した家計簿に転記し、予算内に収められたか検証。

●<きんの流>老後に必要なお金の出し方

【ステップ1】将来受け取る年金額を知る

年1回送られてくる「ねんきん定期便」に記載された二次元コードを読み取ると、「公的年金シミュレーター」というサイトに飛び、簡単に将来の年金額がわかります。

独身女性の年金は厚生年金加入の場合で平均月10.3万円だそう。

【ステップ2】老後の生活費の目安を計算する

上記を参考にシミュレーション。きんのさんの場合、食費2.5万円、住居費2万円、水道光熱費1.1万円、被服費0.6万円、保険・医療費0.8万円、交通・通信費1.5万円、教養娯楽費2.5万円、その他1万円で、合計12万円になり、年金に対して2万円赤字。

【ステップ3】いつまでにいくら必要かライフプランニング

女性の平均寿命は、87.57歳。年金を65歳から受け取るとすると、女性の平均寿命までは約22年あります。

1か月の赤字2万円は22年間分で合計528万円に。住居の修繕や旅行などの特別費のことも考え、「65歳までに1000万円以上貯める!」を目標に、目下、老後資金を蓄え中。

発売中の『1か月15万円以下の心ゆたかなひとり暮らし』(扶桑社刊)では、ほかにも、団地や賃貸住宅、年金生活など、さまざまな暮らし方や年齢のお金上手を取材。小さくても豊かな生活の工夫や、おトクな制度、老後資金の備え方などが1冊でわかります。