釣ったアジをおいしく持ち帰る!プロが教える血抜き方法とクーラーボックスの選び方【アジング編】

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<プロが教える超初心者からの釣りデビュー講座>

アジは誰もが認めるおいしい魚ですが、自分で釣ったアジとなれば、その味も倍増するのは間違いありません。

自分で釣ったアジはメンタル的においしいだけでなく、新鮮な味を楽しめるというのも釣り人の特権。

そのためには釣った後に適切な処置をして持ち帰る必要があるので、アジング編の最後としてオススメの魚の持ち帰り方をお教えしましょう。

鮮度とおいしさをキープするにはいくつかの作業と注意点があり、ひと手間かけるだけで同じアジでも味は確実に変わります。

せっかくの釣りアジなので、よりおいしくいただけるようにやり方を覚えておきましょう。

■新鮮に持ち帰るには血抜きがマスト

魚の鮮度を保つためにする方法として、最もポピュラーなのが血抜き。

傷みやすく生臭さの原因となる血を抜くことで鮮度を保ち、生臭さも抑えられます。

特に、すぐに食べない場合は血抜きをするかどうかで味が大きく変わるため、血抜きしておくのがベストです。

▲水くみバケツはダイワの「ポータブル活かし水くみ(A)」(2090円)。「ポータブル活かし水くみ(A)」は8mのロープ付きで、折りたたみもでき持ち運びに便利なコンパクトタイプ。クリアになっていて魚を監察しやすいのも便利。フタには穴があるため、水中に入れておけば酸欠にならず生かしておくことも可能

血抜きの方法はいくつかありますが、釣りをしている最中での作業となるため、簡単な方法がベストになります。

そこでオススメなのが、ハサミでエラを切るだけの血抜き方法。

魚のエラには大きな血管が通っているため、エラを傷つけると大量に出血して血抜きできます。

エラの切り方などもいろいろとありますが、簡単なのが下あご付近の左右のエラが近くなっている個所をハサミで切る方法。

これなら釣り中で魚の数が多くても、スピーディーに作業できます。

この時は、フィッシュグリップでアジをつかみましょう。

アジの仲間には、尻尾付近にゼイゴと呼ばれる堅いウロコがあり、それが手に刺さるとケガをするのと、汚れた手で竿を持つのはイヤなので毎回手を洗うのも大変ですからね。

ちなみに、私が使っているフィッシュグリップは、ダイワの「フィッシュホルダー240C」(4540円)です。

ハサミはダイワの「活〆マルチシザー160S+F」(3100円)。

「フィッシュホルダー240C」は、魚を傷つけにくく、高いグリップ力のあるオリジナルのギザ歯で魚を掴みやすいです。

落下防止の尻手ロープとカラビナ付きで、付属カバーの裏面にはフックがあるため、腰のベルトに付けたり、クーラーボックスの収納ケースなどに刺したりして使えるので便利。フィッシュホルダーが汚れても、カバーに入れれば服を汚しません。

「活〆マルチシザー160S+F」は魚を〆る、切る、PEライン対応の万能ハサミ。

持ち手が大きく軟質樹脂のため、グローブを使用した状態でも握りやすく力を入れやすいです。

刃はさびに強く切れ味が長持ちするステンレス製にフッ素塗装を施し、さらにさびにくくしており、汚れも落ちやすい仕様。

オニカサゴやアイゴなど、毒魚のトゲやヒレを切断可能で便利です。

エラを切ると血液がピュッと出てくるため、服などに付かないように注意しましょう。

エラを切ったら海水を入れたバケツにしばらく入れ、血が抜けるのを待ちます。

血が出るというのは心臓が動いているためなので、生きている時に血抜きをしていくのが基本です。

死んでからエラを切っても多少は血抜きできますが、やはり完全に抜けるわけではなくなってしまうので、順調に釣れている時もタイミングを見て血抜きしておきましょう。

エラを切って水くみバケツに入れておくと、だいたい数分で血抜きが完了するので、そのあとはクーラーボックスに入れます。

血抜き後はすぐにクーラーボックスに入れましょう。特に夏場だと、水くみバケツの水温は高くなってしまい、そのまま放置してしまうとすぐに傷んでしまいます。

クーラーボックスに入れた魚を素早く確実に冷やすには、氷水に入れるのがオススメです。

氷や保冷剤などを入れてクーラーボックス内を冷やす方法もありますが、より鮮度を保つなら氷水に入れる方法に軍配が上がります。

なぜ氷水の方が冷えやすいかというと、空気より水の方が熱伝導率が高いためです。

これは気温10℃の場所よりも、水温10℃の水に入った方がより寒く感じるのと同じことですね。

この氷水ですが、海水魚の場合は海水で作るのが基本です。

というのも、水道水などの淡水だと、浸透圧で魚が水分を吸ってしまい、水っぽくなってしまうためです。

そのため、食味を考えると、海水や海水と同程度の塩水で作った氷水がベストになります。

また、先ほどの血抜きをせずに、直接氷水に入れて魚を短時間で凍死させる「氷締め」という方法もあります。アジのような小魚は血抜きの効果が比較的低いといわれるため、氷締めだけする釣り人もいます。

ちなみに、私はクーラーボックスにダイワの「CPメジャーステッカー」(790円)を貼って使っています。これを貼っておくと、いちいちメジャーを出すこともなく素早くサイズを測れ、そのままクーラーに入れられるため便利です。

■クーラーボックスは何を基準に選ぶ?

クーラーボックスは鮮度を保ちながら魚を持ち帰るための必須アイテムですが、さまざまなタイプがラインナップされていて、どれを選んでいいか悩む人も多いはず。

特に見た目では分からない素材の違いや、それぞれの釣りに適したサイズや機能など、クーラーボックスの選び方を紹介するので、参考にしてください。

▲写真のモデルは現在は廃盤だが、私が今使っているのが後継機のダイワ「クールラインα ライトソルトGU1000X LS」(1万9000円)。ウレタン断熱材で、軽さを維持しつつもスチロール断熱材よりも保冷力が高い。容量は500mlペットボトルを立てて8本収納可能な10Lタイプ。収容力と機動性のバランスが良いため愛用している

こまめに移動するアジングなどに特化したクーラーボックスは、小型タイプで竿立てや小物入れが付属するタイプもあり、機動性と実用性が高いのが特徴です。

見るポイント1…素材

クーラーボックスを選ぶうえでサイズ以外にも重要な点があります。

それが保冷力のカギとなる断熱材です。

クーラーボックスに使用される断熱材の種類は、主に「真空パネル」、「ウレタン」、「スチロール」の3種。

それぞれの特性ですが、真空パネルは多孔質素材を金属フィルムで真空パックした断熱材で、もっとも保冷性能が高いです。

ウレタンはポリウレタンを発泡させたもので、クーラー内部の隅々まで充填できるため、保冷効率が非常に高いです。

スチロールはいわゆる発泡スチロールで、ポリスチレン粒を炭化水素ガスで発泡させたものです。今回挙げた3つの断熱材の中で最も軽くなります。

クーラーボックスの保冷力のカギとなるのが、断熱材の熱伝導率なのですが、熱伝導率とは熱の伝わり易さを表す値のことで、その数値が小さいほど熱が伝わりにくくなり、保冷力が高くなります。

ちなみに、ダイワのクーラーボックスの熱伝導率は真空パネルと発泡ウレタンを合わせたもので、0.002〜0.008ともっとも保冷力が高く、発泡ウレタンが0.02〜0.03、スチロールが0.03〜0.04と続きます。

つまり、数値でみると、最上級のモデルと下位のモデルでは10倍以上の差があるというわけです。

それなら真空パネルがいいじゃん! と思うかもしれませんが、やはりメリット、デメリットがあります。

真空パネルのメリットは先述のような保冷力ですが、デメリットは価格の高さと重さ。

同じ容量のタイプでも、安価なスチロールと比べると、6面すべてが真空パネルだと価格が2倍ほどになり、重量もスチロールと比べると最大で20%ほど重くなります。

そのため、用途に合わせて使っている断熱材を選ぶのが大事になるのです。

例えばですが、釣り場まで遠い場合や、長時間釣りをする場合は保冷力の高いもの、自宅まで近かったり、機動力を重視する場合は軽いものを選ぶと良いでしょう。

見るポイント2…竿立てや小物入れの有無

クーラーボックスの中には竿立てや小物入れなどを取り付けてアレンジできるタイプもあります。

特にアジングのようなポイントを移動することの多い釣りでは、ロッドとクーラーボックスを一緒に持ち運べる竿立てがあるととても便利。

また、クーラーボックスに竿を立てられることで、堤防に竿を置かなくて済み、傷つくのを防いだり、タックルを踏んでしまったりすることも予防できます。

混雑する堤防や視界の悪い夜間などはタックルを踏まれてしまうことも多いため、このメリットは大きいです。

小物入れは、よく使用するフィッシュグリップやハサミなどをいれておけるので便利です。

▲私がアジングでメインに使っているタックルは、ダイワのロッド「月下美人 AIR AGS AJING65L-S」とダイワのリール「イグジストLT2000S-P」

先ほど紹介した「クールラインα ライトソルトGU1000X LS」には、どちらもダイワの竿立て「CPキーパーマルチ」(2040円)が2個と、小物入れ「CPポケット125」(1870円)が付属しています。

別売りで購入も可能なため、他のクーラーボックスへの取り付けや追加の取り付けも可能です。

取り付けは両面テープで仮止めして、付属のビスで固定するため、好きな位置に取り付けられます。

見るポイント3…投入口の有無

クーラーボックスによっては、フタに投入口のあるタイプがあります。

頻繁にフタを開閉すると冷気が逃げてしまうため、アジのような比較的小さな魚の数釣りであれば、投入口付きのタイプがオススメです。

見るポイント4…ふたの開き方

ふたは、両開きになるタイプでは取り外せるモデルが多く、丸洗いをしやすくオススメです。

本体とふたが分かれると、隅の部分やふたのパッキン部など細かい場所も洗いやすく、逆さまに置けるため水切りも簡単です。

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<文/渡邉長士 写真/須田俊哉>

渡邉長士|1981年生まれ、千葉県出身。地元の房総半島を中心に旬なターゲットを狙うプロ釣り師。海のルアーフィッシングが得意。アジをルアーで釣る“アジング”を提唱したパイオニアで、全国にブームを広めた1人。釣り具メーカー「ダイワ」「オーナーばり」と契約し、数々のアジング製品の監修、プロデュースやテレビ、雑誌などで釣りの楽しさを発信している

 

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