リムジン顔負けの居住性と悪路も走れる走破性! ランドローバーの8人乗りSUV新型「ディフェンダー130」は全方位的にすごい
8人乗りSUVっていうのはなかなかありません。でも欲しいって声に応えてくれるのが、ランドローバーの新型「ディフェンダー130」です。
ディフェンダー130は、すでに日本市場に導入されている「90」と「110」に続くモデル。
4ドアの110とシャシーは基本的に共通ですが、後車軸から後ろのオーバーハングを延ばして、3列めの空間を拡大。第3列にも、3人分の座席をそなえています。
日本で発表されたのは2022年6月で、22年に限定30台が販売されたところ、即売り切れ。なので、けっこうな稀少車です。
2023年4月に東京都・三宅島で試乗してきました。
■全方位的によく出来た希少な8人乗りSUV
▲欧州車では稀な8人乗りパッケージをもつSUV
ディフェンダー130に興味をひかれるひとは、多人数が乗れる機能性、悪路も走れる4WD車としての性能、それに内外装ともに質感の高い作りが、ほかにないから、としています。
実際にそのとおり。英王室御用達のロイヤルワラントを持っているランドローバーの製品だけに、全方位的によく出来た作りなのです。
3列シート車が売れる北米や、大きなクロスカントリー型SUVを好む中東で人気が上がっているそうです。ほかのクルマとひと味もふた味も違うスタイリングも、人気の理由のひとつでしょう。
▲エクステリアデザインは旧ディフェンダーのイメージを活かしたもの
▲アプローチアングル37.5度、ブレークオーバーアングル27.8度、デパーチャーアングル28.5度と(デパーチャーアングルのみ110に劣る)
私が130に試乗したのは、2023年4月中旬。舞台は東京から45分のフライトの三宅島でした。意外にも、130の試乗に適したロケーションなのです。
日本に導入されるのは、3リッター直列6気筒ディーゼルエンジンモデル。マイルドハイブリッド化されているので、小さなモーターが発進時や加速時にトルクを積みましてくれます。
最高出力は221kW(300ps)、最大トルクは650Nm。実際のドライブでの印象は、これで十分。車重は2.5トンありますが、力不足と感じることはまずなさそう。
三宅島では、ゆるやかなカーブが多く、上り下りもそれなりに多い一般道と、特別の許可でこのときだけ開放されたオフロードコースを走りました。
▲フロントマスクの意匠は使うパーツを含めて「110」に準じている
▲リアオーバーハングは「110」から330mm延ばしている
■オンでもオフでもこのクルマに任せておけば大丈夫という信頼感
オンロードでの印象は、実に快適。3020mmの長いホイールベースに、エアサスペンションシステムを標準装備し、かつ、やや重量級の車体の恩恵もあり、不快な揺れは経験しませんでした。
まるで大型リムジンのように、適度なふわりふわりとした車体の動きでもって、一般道を走っていけます。
なるほど、これは、新しいかたちのMPV(マルチパーパスビークル)あるいは大型ミニバンととらえる人がいても、まったく不思議ではありません。
オフロードコースは、年に1度モトクロスのレースに使われるとか。ふだんはクルマの出入りNG。道のないところもあるし、急勾配の上りと下りでは、慣れていないと怖いところも。
1983年、2000年の雄山噴火によるものか、三宅島では、溶岩と火山灰がいたるところを覆っていて、オフロードコースも黒いザラザラした土壌です。
強いトルクをかけると、ゆるめの表面ゆえ、タイヤがグリップを失いかける場面もあります。
車内のドライモードモードコントローラーで「砂地」を選んでおけば、トルクの出方も、前後のデフロックも自動で制御されるので、すぐにぐぐっと車体は前へと進んでくれます。
▲扁平率60%の19インチ(ホイールと組み合わせた)タイヤか、同45%の22インチタイヤが用意される
▲登り切った先の路面はボディ下面を見せる「クリアサイト」機能によって車内のモニターで確認できる
4輪のうちどれかが設置していれば、悪路を走破できる。雰囲気はかなり高級ですが、クロスカントリー4WDの出自は、ちゃんと守られているんだなあと、私は感心しました。
結局、このクルマに任せておけば大丈夫、という信頼感が醸成されることに。どこでも行ける8人乗りという希有な個性を評価する人が多いのも理解できるのです。
■リムジン顔負けの居住性と悪路も走れる多機能性
▲ぜいたくではないがデザイン性が高く機能的なダッシュボード
▲クッションがしっかりしていて疲労感の少なかった前席シート
1948年に最初のランドローバー(ディフェンダーと名づけられたのは1990年)が登場。当初、110や130という名称はホイールベースの長さをインチ表示したものでした。
130のオリジンは、1983年に発表された「127」(127インチ=3226cmのロングホイールベース版)。90年のリネームでより覚えやすい「130」とされました。
当時は4ドアのキャビンに大きな荷台の、米国でいうところのダブルクルーキャブのトラックとか、救急車とか、特殊車両のベースになることも多かったようです。
▲3人がかけられる2列目シート
▲「110」は最大7名乗車だが、3人用の3列目シートで「130」は8名乗車
いまの130は、ホイールベースの長さと車名は直接関係ありません。ただ、かつての130と同様、ラインナップの頂点に立つサイズと多機能性を持っていることを意味しています。
へたなリムジン顔負けの高い居住性と、大人数を乗せて悪路も走れてしまう多機能性という、他にはなかなかない個性をセリングポイントにしたSUVに生まれ変わったのでした。
【Specifications】
LandRover Defender 130
全長×全幅×全高:5275x1995x1970mm
ホイールベース:3020mm
車重:2540kg
エンジン:2993cc 直列6気筒ディーゼル(マイルドハイブリッド) フルタイム4輪駆動
最高出力:221kW@4000rpm
最大トルク:650Nm@1500〜2500rpm
変速機:8段オートマチック
燃費:9.9km@l(WLTC)
価格:1159万円
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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