ogawaらしい融合と進化を遂げた「ピレウス」はワンポール設営の苦行がありません

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【アウトドア銘品図鑑】

1914年創業。100年以上もの長きにわたり、ユーザーの信頼を裏切らないクオリティでキャンプシーンをリードしているのが「ogawa(オガワ)」です。ogawaの顔ともいえるテントはふたつ。ドームテント全盛期にも製造をし続けた「オーナーロッジ」、そして小川治兵衛商店時代のとんがりテントをリデザインした「ピルツ」ほかワンポールテントです。

今シーズンもogawaらしく「グロッケ」シリーズや「オーナーロッジ」の新作が登場していますが、異彩を放っているのが「ピレウス」(14万5200円)。

「ピルツ」のようなとんがりテントだけれど、よく見るとアウトクロスポールの吊り下げ式。それでいてどこか「オーナーロッジ」のような雰囲気も漂っています。

ogawaらしさを追求したらこうなったのか? 個性派テント「ピレウス」をチェックしてみました。

■ワンポールみたいに幕の中に潜り込む必要なし

頑丈なクロスポールに幕を吊り下げるアウトフレーム構造なので、障害物競走みたいに幕の中に潜り込んでポールを突き立てる必要はありません。暑い夏にうれしいかも。

▲収納サイズは70×34×H32cm、重量17.56kg

家族4〜5人で過ごせるゆとりのサイズでインナーとフライはともにT/C製。極太クロスポールを使うためどっしりしています。

写真を撮り忘れましたが、中にはフライとインナー、グラウンドシート、ポール、そして張り綱・セルフスタンディングテープ、ペグ、ハンマーが。袋は大きめで余裕があり、収納時に「入らない〜」とイラッとすることはありません。

▲グレーが前

セルフスタンディングテープを広げてペグダウン。1本だけグレーのテープになっていて、これが前になります。

インナーの向きを確認して広げ、グレーテープのリング2カ所以外にかけておきます。

フライとインナーがくっついていない場合は、この時点でフライ内側の頂点にあるリングとインナーのトグルを取り付けてフライとインナーを一体化させます。

文字では面倒に思えますが、一度体験すれば感覚的にわかるでしょう。

クロスポールに幕を引っかけて、ポールを立ち上げます。幕をゆっくり引くだけで立ち上がるのは感動。

▲正面から見るとロッジ型テントっぽい。サイズは340×413×H240cm

幕の裾を残りのリングにかけ、フロントポールを加えるなど全体を調整したら完成です。

トップベンチレーターはファスナー付きなので、クロスポールを立ち上げてからでも広げられます。これは安心。

■出入り口は背が高くて出入りが楽

とんがりテントは出入り口が傾斜しているため、ファスナーの開閉が大変なものが多いのですが、「ピレウス」はドア部分が前傾していて操作が簡単。出入りも楽だし、庇を兼ねていて雨の日の対策も万全です。

フロントが垂直というよりもせり出したデザイン。雨が入りづらく、それでいてファスナーの操作がラクなんです。

▲後方から見るとワンポール風

後方にもファスナーが一本通っていて、こちらからの出入りも可能。左右に大きく開くと風通しも抜群です。

両側は弧を描くようなデザインで、大きなベンチレーターが見えています。湿気を溜め込まず、後方のドアとともに開放すれば夏キャンプが快適になりそう。

■グラウンドシートは取り外しOK

インナーの床部分はトグルで止まっているだけなので取り外しOK。フル装備、床だけはずす、インナーもはずしてフライだけにするなどアレンジしがいがあります。

▲インナーの床(グラウンドシート)取り付け。インナーのサイズは340×280cm

マットを敷き詰めて、家族みんなでゴロゴロ過ごすのにぴったり。真ん中にポールがないから、ワンルーム的に小さめのテーブルを置いてお座敷スタイルにするのもいいですね。

▲グラウンドシートを半分まくって土間に

ソロやデュオならグラウンドシートを半分だけまくって、半分をリビング、奥を寝室になんて使い方もあり。釣りのウェーダーなど濡れモノの収納にも重宝します。

▲フライのみ

セルフスタンディングテープのおかげで、インナーを取り外しても崩れることなく、タープっぽく使えます。

大きく切れ込んでいて完全に閉じることはありませんが、プライベートは確保できますし、室内は明るく、デイキャンプによさそう。

アウターもインナーも通気性と遮光性のよいT/C製(グラウンドシートのみ210Dのポリエステル)で、これを支えるメインのクロスポールはφ32mmアルミ合金、フロントポールはφ22mmスチール製です。

最近は二股ポールのとんがりテントが増えていますが、どれも比較的華奢なポールが多く「ピレウス」のポールはかなり頼りになります。外側からポールを引き起こすという設営方法も簡単。

ロッジ型ととんがりテントという“ogawaらしさ”が融合した「ピレウス」は、今後、新しいムーブメントを作るかも? そんな期待を持たせるプロダクトです。

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<取材・文/大森弘恵>

大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter

 

 

 

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