資産形成を行う上で必要な知識を得るためや、金融犯罪や消費者トラブルから身を守るためなどさまざまな理由から「金融教育」の重要性が高まっています。そんな中、三井住友信託銀行株式会社が「金融教育の受講経験が資産に与える調査レポート」について発表しました。

■金融リテラシーが最も高いのは、「小学校に入る前」に金融教育を受けた人


そのレポートによると、金融リテラシーが最も高いのは、「小学校に入る前」に金融教育を受けたことがある人で、金融教育の受講経験が「ある」人は、金融経済情報に接する頻度が高く、知識も豊富だといいます。



学校や職場で金融教育の受講経験が「ある」人は4人に1人強(27.2%)。年齢別では、若年層の方が受講経験者比率が高く、20歳代(40.6%)と 60歳代(21.3%)では約2倍の差がついていることがわかります。



金融教育を受けた時期については、回答者全体では「社会人になってから」の人が12.2%と最も多くいます( 図表2)。企業型 DC制度導入企業に対し、「 従業員に対する継続的な投資教育の実施」が努力義務として課せられていることが関係していると考えられます。年齢別にみてみると、若年層ほど「小学校に入る前」や「小学生時代」、「 中学生時代」など低年齢の時に受講した人が多く、金融教育の低年齢化が進んでいると言えます。この金融教育というのは、家庭で行うものは含まず、保育園や幼稚園などで行われる学習を指しています。

さらに資産形成行動の成果・結果とも言うべき「金融資産保有額」をみると、20歳代では、平均保有額は受講経験が「ある」人で314万円、「ない」人で409万円と、その差は95万円。ですが60歳代になると、 受講経験が「ある」人で2,234万円、「ない」人では1,717万円と 、老後資金として保有しておくべきひとつの目安ともいわれる「2,000万円」を挟む形になり、 差額も516万円と500万円を超えているということです。

■「空き家問題」に対応する新たなサービスも発表


資産として忘れてはいけないのが「家」で、大きな課題になっているのが「空き家問題」です。日本では特に空き家が増えていて、2018年にはその総数は約849万戸、今後20年で居住目的なしの空き家の数は約1.9倍になると予想されています。空き家になった原因の半数以上は相続だということで、相続時に登記をしないケースが多いことも指摘されています。2024年4月より相続登記が義務化されることもあり、三井住友信託銀行では株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託(EAJ信託)と提携し、不動産の名義変更に関する悩みを持った相続人をEAJ信託へ紹介する「相続不動産の名義変更サービス」を開始予定。



三井住友信託銀行では今後も人や状況、人生設計に寄り添ったサービスを展開していきたいということです。