那須町で2017年3月、登山講習中の大田原高校の生徒と教諭、合わせて8人が雪崩に巻き込まれ、死亡した事故で業務上過失致死傷の罪に問われている講習会の責任者だった教諭3人の裁判が14日、宇都宮地方裁判所で開かれ雪崩事故の調査や教育を行っている専門家への証人尋問が行われました。

 業務上過失致死傷の罪に問われているのは当時の講習会の責任者の猪瀬修一被告(56)と8人が亡くなった、大田原高校の班を引率していた菅又久雄被告(54)、後続の班を引率していた渡辺浩典被告(60)の3人の教諭です。

 14日は、証人尋問が行われ専門家として証言台に立ったのは雪崩事故の調査や教育などを行うNPO法人日本雪崩ネットワークの創始者で那須雪崩事故の翌日に現地を調査した出川あずさ氏です。

 出川氏は雪崩が発生しやすい地形を説明したうえで「事故現場は傾斜や樹木の様子から容易に危険だと識別できる典型的な雪崩地形だった」と指摘しました。また、当日の朝に認識した積雪は15センチ程度だったという前回公判の弁護側の発言については当時の気象情報に基づき「そのような場所があるとすれば特殊な場所全体的に30センチの積雪があったと考えられる」としました。そして、「雪崩が発生しやすい地形に48人という大人数が長い時間滞在したというハイリスクな行為で起きた大きな事故」と述べました。

 次回の裁判は4月5日に4回目の公判が行われます。

 一方で、雪崩事故の追悼式が3月26日に大田原高校の慰霊碑の前で行われる予定です。