WBC元コーチ、イタリアは「死に物狂いで来る」 大谷&ダルビッシュの調整には「若干の不安」
侍ジャパンがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンド・プールBを全勝で1位通過した。初戦の中国を8−1で破り、続く韓国、チェコ共和国を大差で退けた。最終戦のオーストラリアには7−1で快勝。2023年3月16日に行われる準々決勝では、プールAを2位で通過したイタリアと対戦する。
「攻撃の流れを作ったのはヌートバー」
3大会ぶりの優勝に向け危なげなく1次ラウンドを突破した侍ジャパン。準々決勝はプールAで強豪キューバとオランダを破ったイタリアが相手となる。J-CASTニュース編集部は、13年WBCで戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(57)に1次ラウンドの日本を分析してもらい、準々決勝の展望を占ってもらった。
4試合を行った1次ラウンドでは、大谷翔平投手(エンゼルス、28)、ダルビッシュ有投手(パドレス、36)、佐々木朗希投手(ロッテ、21)、山本由伸投手(オリックス、24)がそれぞれ先発のマウンドに上がった。
橋上氏は「先発陣では第3戦で投げた佐々木投手も良かったが、最終戦の山本投手が一番良かったです。山本投手と佐々木投手は滑ると言われるボールに合ってきて制球力がかなり安定している。これに対して大谷投手とダルビッシュ投手はストレートの制球があまり良くなくスライダーに頼らざるを得ないピッチングでした。大会前の実戦登板が少なかったので調整不足だと感じました」と振り返った。
そして「準々決勝では大谷投手が先発でダルビッシュ投手が第2先発として登板するでしょう。1次ラウンドの2人の調整具合を考えると若干の不安があります」と分析した。
打撃に関しては、1次ラウンド4試合全て「1番・センター」で先発出場したラーズ・ヌートバー外野手(カージナルス、25)の存在が大きかったと指摘した。
「今大会の攻撃の流れを作ったのは、初戦の中国戦でのヌートバー選手のヒットだと思います。初回、先頭打者のヌートバー選手は初球をセンター前に運びました。日本人選手だと慎重にいく選手が多く初球からいく選手が少ない。あれで勢いが出た感じがします。日本の野球とは違うメジャースタイルですね」
「イタリアは非常にやりづらい相手」
ヌートバーは1次ラウンドで打率.429、3打点を記録。4試合で4つの四球を選び、出塁率は.579と高い数字を残している。侍ジャパンの切り込み隊長として打線に勢いを与え、守備でも気迫あふれるプレーを見せるなど今や欠かせない存在となっている。
打線が好調を維持したまま臨むイタリア戦。橋上氏はイタリア戦のスタメンを以下のように予想した。
1番・ヌートバー(センター)、2番・近藤健介(ライト)、3番・大谷翔平(ピッチャー)、4番・村上宗隆(サード)、5番・吉田正尚(レフト)、6番・岡本和真(ファースト)、7番・山田哲人(セカンド)、8番・中野拓夢(ショート)、9番・甲斐拓也(キャッチャー)。
イタリアはドジャース時代に野茂英雄氏とバッテリーを組んだマイク・ピアザ監督(54)が指揮を執り、イタリア系のアメリカ選手が中心のチームだ。スポーツ紙などの報道によると、栗山英樹監督(61)はイタリアの印象について「バランスがいい」と評価している。
橋上氏は「イタリアはメジャーで比較的経験の浅い選手や3Aの選手が中心となっている。一線級のメジャーリーガーが多くいるわけではなく、日本と同じようなレベルの選手が多い。非常にやりづらい相手だと思います。投手に関してはプールBよりもレベルが高く、日本の打者の真価が問われる試合になる」と分析した。
さらに「イタリアの選手はモチベーションが高い」とし、「この大会で世界的にアピールができる。そういったところのモチベーションは高いでしょう。メジャーや日本球団のスカウトも見ている。自分自身をいかに高値で売るか。死に物狂いで来る。日本にとってはメンタル面が脅威になると思います」と解説した。