健康診断で「尿たんぱく陽性」と判定されたらどうする?

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 健康診断で「尿たんぱく陽性」と判定され、驚いたことがある人もいると思います。SNS上では、「健康診断で尿たんぱくに引っかかった」「原因が分からない」といった内容の声が上がっていますが、なぜ尿にたんぱく質が混じるのでしょうか。尿たんぱく陽性と判定された場合、どのように対処すればよいのでしょうか。なかざわ腎泌尿器科クリニック(石川県野々市市)の中澤佑介(なかざわ・ゆうすけ)院長に聞きました。

むくみなどの症状があれば受診を

Q.そもそも、なぜ尿にたんぱく質が混じるのでしょうか。原因について、教えてください。

中澤さん「もともと、たんぱく質は体にとって大事な成分なので、健康であれば尿にたんぱく質が混ざらないようになっています。腎臓には、細胞間隙の大きさでたんぱく分子をふるい分けする『size barrier(サイズバリアー)』、アルブミン(たんぱく質)のような陰性電荷物質を通さない『charge barrier(チャージバリアー)』の2つの機能があります。

一般的には、それらの機能が働かなくなることによって、たんぱく尿が出ると考えられています。他にも、激しい運動や発熱、ストレスで起きる『機能性たんぱく尿』、立っているときや、腰を曲げたときなどに起きる『体位性たんぱく尿』などがあります。

また、尿検査は試験紙を使って行われるので、脱水などで濃縮された尿が原因で偽陽性になる場合もあります」

Q.健康診断で「尿たんぱく陽性」と判定された場合、どのような病気の可能性が考えられるのでしょうか。

中澤さん「糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症、ネフローゼ症候群など、腎臓系の疾患の可能性が考えられます。たんぱく尿を放置した場合、人工透析が必要になるほど症状が悪化する可能性もあります」

Q.健康診断で「尿たんぱく陽性」と判定された場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

中澤さん「尿たんぱく陽性と判定され、何らかの自覚症状がある場合は、できるだけ早めに受診することをお勧めします。病院では、24時間畜尿(24時間の間に排せつされた尿をためていく採尿方法)などの方法で、尿に含まれるたんぱく質の量を調べます」

Q.では、腎臓系の疾患の場合、日常生活ではどのような症状が出ることが多いのでしょうか。例えば、「尿が泡立つと、腎臓系の疾患の可能性がある」とよくいわれますが、事実でしょうか。

中澤さん「血圧の上昇やむくみなどの症状があれば、腎臓系の疾患の可能性があります。その場合、腎臓内の血流量が減少したり、糸球体(腎臓内の組織で、血液をろ過し、老廃物を除去する働きがある)が目詰まりしたりする原因となります。すると、腎臓は、血流量を保つために血圧を上げるホルモンを分泌して血圧を上げ、ろ過量を増やして尿量を保とうとします。

血圧が高くなると糸球体内部の細い血管が損傷し、結果的に腎臓の機能はより早く低下してしまいます。そして、腎臓の機能低下がさらに血圧を上昇させるという悪循環が起こり、病気が進行します。むくみが現れ始めた場合、病気が進行し、透析が必要な状態になっている可能性もあります。

尿の泡立ちについても、腎臓系の疾患で起きると考えられており、当院でも病気とのつながりを心配して受診する人も多いです。そもそも、尿の中にはウロビリノーゲンという物質が含まれており、これが泡立つ原因になります。尿が濃い起床時や、運動後の排尿時は泡立ちが強くなりますが、泡が次第に消えていくのであれば、心配ありません。

しかし、毎回、尿が泡立ち、細かな泡がなかなか消えない場合、尿にたんぱく質やブドウ糖が多く含まれている可能性があります。尿の泡立ちが病的なものなのか、正常の範囲内なのかは、病院の検査で分かります。

尿たんぱく陽性と判定され、血圧の上昇やむくみ、尿の泡立ちなどの症状がある場合は、受診を勧めます」