日本代表は3月24日と28日に森保監督続投決定後、初めてとなる国際試合を行う。28日の試合(ヨドコウ桜スタジアム)は、対戦相手がコロンビアに決まったが、24日の試合(国立競技場)は依然、未定だという。

 4年半前の日本代表は、その就任直後からチリ(地震の影響で中止)、コスタリカ、パナマ、ウルグアイ、ベネズエラの順で親善試合を組んでいた。相手は南米、中米の国々である。任期中に組まれた親善試合の総数は26。そのうち中立地の試合は5で、ホーム戦は21試合。純然たるアウェー戦はつまり0だった。このホーム戦過多という平衡感覚を欠く異常事態はもう何年、何十年と続く傾向で、もはや常態化している。自らの引きこもり、出不精に気付けなくなっている。病の程はより深刻になっている。

 しかし、ここに来て事態はさらに重たくなっている。欧州組はこの間に徐々に数を増やし、メンバーの8割方を占めるに至った。その度に帰国すれば、疲労は蓄積する。代表戦のギャラは本当に微々たるものなので、欧州組は名誉のために重労働を強いられている状態にある。

 日本は欧州から最も離れた、まさに極東に位置する。日本代表の欧州組は世界で最も長距離移動を強いられている選手になる。

 コンディションを維持することが最も難しい選手でもある。「インターナショナルマッチデー」明けに、世界で最もポジションを失いやすい選手と言い換えることもできる。

 インターナショナルマッチデーになると、各国の代表チームから招集された選手の拘束を解かなくてはならない所属クラブにとって、日本人選手は世界で最もリスクを抱えた選手になる。その商品価値に影響が及んだとしても不思議はない。

 プレーヤーファーストで考えるならば、親善試合の相手は常時、コロンビア級でなくてはならない。同国のFIFAランキングは現在17位。日本は20位なので、同ランキングを信じるならば20位以内、せいぜい30位、最悪でも40位ぐらいのチームと対戦させることが欧州組に対する礼儀になる。だが実際、そうしたケースは何度もない。第1次森保ジャパンで言えば、その4年半の間に最大限見積っても、コロンビア、ウルグアイ、セルビア、パラグアイ、ブラジル、チュニジア、ガーナ、韓国の8試合程度だった。彼らを招集するに値する親善試合は、せいぜい年に2試合程度だった。

 アジア予選もこれに加えることができる。前回ミャンマー、モンゴル、キルギス、タジキスタンと同じ組になったその最初のステージ(アジア2次予選)では、いくら絶対に負けられない公式戦とはいえ、欧州組をベースに最強メンバーを編成する必要はない。いかにうまく手を抜くか。それは日本という国の代表チームを強化する際に欠かせない思考法になる。

 2026年W杯を展望したとき、特にその点を強調したくなる。ご承知の通り、本大会出場国の32から48への増大に伴い、アジア枠も現状の4.5から8.5にほぼ倍増した。他のどの大陸より高い増加率だ。それは中国、インドという巨大市場を意識してのものであると考えるのが自然である。

 振り返れば、1998年W杯を機に本大会出場国がそれまでの24から32に増えた理由は、日本という市場を少なからず意識してのものだった。1994年W杯のアジア枠は2。日本はその最終予選でイラクと引き分け3位に終わり、本大会出場を逃した。現在も本大会出場国が24で、アジア枠が2のままなら、日本が1998年以降、本大会出場を7回続けているとは思えない。そうした経緯を踏まえると、32から48への増加も迷惑がらず、受け入れる必要がある。

 だがそうなると、本大会出場枠が4.5から8.5にほぼ倍増したアジア予選は、世界で一番低レベルになる。4.5枠でもプレーオフに回った経験がない日本にとって、それはユルユルの設定になる。実力と出場枠の関係で見た時、世界で最も代表強化に余裕がある国になる。