2022年7月の発売後、すでに第3弾まで登場しているJR西日本の「サイコロきっぷ」。格安かつ旅先が自分の意志では決められないというゲーム性がウリで、すでに想定を超える売り上げだそう。きっぷをどう企画したかJR西日本へ聞きました。

第3弾もすでに想定を超える利用だそう

 JR西日本は2022年7月、ゲーム感覚で到着駅(旅先)を決定できる「サイコロきっぷ」を発売しました。これはスマートフォンの専用アプリ上でサイコロを振り、出た目によって旅先が決定するというものです。旅先決定後に利用日と列車を指定し、きっぷを購入します。

「サイコロきっぷ」は2023年1月時点で計3回発売されており、現在は第3弾として大阪市内発が販売中です。値段は往復のきっぷ代込みで5000円。例えばサイコロを振って「博多駅」が出た場合、通常のきっぷと比べて82%割引となります(通常期に「のぞみ」普通車指定席を利用のうえ往復した場合と比較)。


「サイコロきっぷ」は第3弾が販売中。写真はイメージ。

 JR西日本によると、第3弾は発売後10日間で想定を超える利用があるとのこと。1回サイコロを振るごとに3人までと旅行できるなど、ゲーム性や破格の値段なども相まって、その人気ぶりが伺えます。ちなみに第1弾と第2弾(広島発)を合計すると、発売枚数は約28万枚となり、こちらも想定の何倍もの売り上げだったそうです。

 ところで、そんな「サイコロきっぷ」はどのような経緯で誕生したのでしょうか。

若年層はよく旅行する

 JR西日本によると、2021年に販売した「どこでもきっぷ」にヒントを得たといいます。これは2日もしくは3日間、特急列車や新幹線を含むJR西日本全線の普通車自由席などが乗り降り自由になるものでした。「どこでもきっぷ」の利用データを分析すると、コロナ禍においても若年層の旅行需要は旺盛であり、同社は「ご友人やご家族と一緒に、これまでなかなか楽しむことができなかった旅を気軽に楽しんでいただきたいという想いを込め、若手社員を中心に企画しました」と話します。

 その中で、ターゲットであるZ世代の価値観をマーケティングし「ゲーム性」に着目。その方法として、シンプルで分かりやすい「サイコロ」をテーマにしたといいます。なおほかにも「おみくじ」や「ガチャ」なども候補に挙がったそう。

 先述の通り、現在は大阪市内発が販売中です。サイコロの出目は加賀温泉、出雲市、湯田温泉、博多。各駅が出る確率は、加賀温泉と出雲市が1/3ずつ、湯田温泉が2/9、博多が1/9です。きっぷを提示すると、旅先の観光施設や旅館で入場料の割引など特典も受けられます。

 では今後、ほかの私鉄などとコラボし、出目(着駅)の範囲を広げることはあるのしょうか。JR西日本は「具体的なものはありませんが、お客様の反応を見ながら検討していきます」と回答しました。

 第3弾は2月12日(日)まで販売されますが、専用アプリへのエントリーは2月5日(日)が期限です。