建て替えのメリット・デメリットは？リフォームやリノベ、住み替えの選択肢も

2023年1月19日 19時0分

自宅の建物が古くなってくると、建て替えを検討する人も多いのではないでしょうか。しかし、建て替え以外にも、リフォームやリノベーション、住み替えという選択肢もあるため、どの方法がいいか迷うかもしれません。そのため、それぞれの違いやメリット・デメリットを知っておくことが大切です。今回は、自宅の建て替えについて解説します。

建て替えとリフォーム・リノベーションの違い

建て替えとは、建物を取り壊して新しく家を建てることをいいます。一方、リフォームやリノベーションは建物の基礎や柱などを残して部分的に改修することです。

また、リフォームは古くなった建物を新築の状態に戻すことをいいます。たとえば、キッチンやトイレの交換、壁紙や床の張り替え、屋根や外壁の塗り替えなどを行います。

一方、リノベーションは大規模な工事によって建物の機能や価値を向上させることです。リノベーションの場合は、間取りの変更や冷暖房設備の刷新などのほか、壁や屋根など躯体構造以外を作り変えることもできます。

リフォームは「マイナスをゼロに戻すための機能回復」、リノベーションは「プラスαのための機能の向上」ともいえるでしょう。

建て替えと住み替えならどっちがいい？

現在の住まいに不満がある場合は、住み替えという方法もあります。住み替えとは、現在の家を売却して別の家を購入する、もしくは賃貸住宅を借りることです。

建て替えと住み替え、どちらがよいのかは状況によって異なります。現在の土地を離れたくない場合は建て替え、住む場所や物件種別を変えたい場合は住み替えが現実的な選択となるでしょう。

また、住み替えの場合は、住宅ローンのことも考慮しなければなりません。現在の家を売却しても住宅ローンを完済できない場合は、ダブルローンとなって負担が重くなる可能性があります。

そもそも年収や年齢によっては、新たな家の住宅ローンの審査に通らない可能性もあるので注意が必要です。

建て替えのメリットとは？

住み替えと建て替えのどちらがいいのか、あるいはリフォームとどちらがいいのか、悩んでいる人もいるでしょう。ここでは、住み替えやリフォームと比べて、建て替えにはどのようなメリットがあるのかを解説します。

生活環境を変えずに住む
建て替えは、住み慣れた場所に引き続き住めるというメリットがあります。住み替えによって知らない土地で生活を始める場合、慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、建て替えは環境の変化によるストレスがありません。

特に「近隣に仲のよい人がいる」「古い友人が近くに住んでいて交流がある」「子どもを転校させたくない」「現在の生活環境が気に入っている」など、現在住んでいる土地を離れたくない場合は、住み替えよりも建て替えがおすすめです。

通勤や通学の時間、交通手段を変えずに済むため、今までと同じ生活サイクルで日々を過ごせるという利点もあります。

現在所有している土地を活用できる
建て替えの場合、現在の土地を利用するため、所有している土地を有効活用できます。新しく別の不動産を取得する必要がなく、土地探しの手間と時間を大幅に短縮できるというメリットがあります。さらに、土地代を節約できることもメリットです。その分、新しい住宅の建築費用に多く充てることができます。

また、「先祖代々受け継いできた土地を手放したくない」「実家の土地を引き継ぎたい」と人もいるでしょう。自宅が古くなっても建て替えをすれば、土地を手放さずに暮らしていけます。

間取りや設備を変えられる
建て替えの場合は建物の基礎からつくり変えるため、現在の間取りを変更できます。たとえば、新たに子ども部屋や書斎をつくる、壁を取り除いてリビングを広くするなど、自由なプランニングが可能です。両親や義父母と暮らすために、段差を減らしたり手すりをつけたりしてバリアフリー構造にする、二世帯住宅に建て替えるという選択肢もあります。

また、省エネ性能を高めるなど、建物の設備を最新の状態に変更したり、補強工事をしたりすることもできます。新築なので、耐久性の基準を満たすことも可能です。

家を建て替える場合のデメリット

一方で、家の建て替えには、リフォームやリノベーション、住み替えと比べてデメリットになることもあります。仮住まいの用意、費用の高さ、法令遵守の必要性を考慮しなければなりません。ここでは、家を建て替える場合のデメリットを解説します。

仮住まいが必要になる
建て替えの場合、仮住まいへ引っ越しをする必要があります。解体から新居に入居するまで一般的に半年程度かかるため、その間は仮住まいの家賃が発生する点に注意しましょう。

旧居から仮住まい、仮住まいから新居へと2回分の引っ越し費用を見込む必要があります。このように、仮住まいに伴う手間や費用が発生する点は建て替えのデメリットです。

リフォームやリノベーションよりも費用がかかる
建て替えの費用は坪数や業者によっても異なりますが、一般的に20坪で1,500万～2,500万円、40坪で3,500万円～4,500万円が目安です。工事関連費用として、旧居を取り壊すための解体費用以外にも、地盤調査費用や測量費用、地盤改良工事費用などがかかります。さらに、不動産取得税、登記費用なども発生します。

リフォームやリノベーションに比べて高額な費用がかかる点はデメリットといえるでしょう。

現在の法令を遵守する必要がある
現在の建物が建てられた時点と、新しく建物を建てる時点では、建築基準法や都市計画法などの法令が改正されている可能性があります。法改正により、現在の床面積よりも狭くなるケースがあるので注意が必要です。

ただし、リフォームやリノベーションでも建築基準法により制限される工事があります。そのため、法令の改正に伴うともなうデメリットは、単純に建て替えのみとは限りません。いずれにしても、建て替えを行う際は、事前に最新の法令を確認することが大切です。