怪我をしたオス犬(写真下)に寄り添うメス犬(写真上)(画像は『Stray Rescue of St. Louis 2023年1月2日付Facebook「Heart fell asleep on Soul.」』のスクリーンショット)

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恋人や家族に親友といった大事な人を失って悲しみを感じるのは人間だけではないようだ。このほどアメリカの動物保護団体がSNSに公開した、事故で怪我をしたオス犬に寄り添うメス犬の動画が多くの涙を誘っている。『Newsweek』『Amo Meu PET』などが伝えた。

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米ミズーリ州セントルイスの動物保護団体「Stray Rescue of St. Louis」が、今月2日にFacebookに投稿した動画に多くの人が心を痛めた。動画には2頭の犬が捉えられているが、このうちの1頭のオス犬が車にはねられて重傷を負ってしまったのだ。

当時、同団体スタッフのドナさん(Donna)は他のスタッフと一緒に、別件で連絡を受けた犬の状況を確認するため、州間高速道路70号線を走行していた。すると道端に人だかりがあり、そこに怪我をしている犬がいることに気付いた。

ドナさんはすぐに車を安全な場所に停め、怪我をした犬のもとへと向かった。すると、別の犬がやって来てドナさんに向かって吠えてきた。どうやら怪我をしたオス犬の仲間であるメス犬が、ドナさんからオス犬を守ろうとして吠えていたようだ。ドナさんはメス犬をなだめながら怪我をしたオス犬を車へと運び、獣医のもとへと向かった。

その間助手席にいたメス犬は、背もたれを倒した後部座席に寝かされているオス犬をずっと心配そうに見つめていた。ドナさんたちは、オス犬に“ソウル(Soul)”、メス犬には“ハート(Heart)”と名前をつけて2頭を動物専門の外傷センターへと連れていった。ソウルはすぐに鎮静剤を与えられ、怪我のチェックを受けることとなった。

しかし、背骨を骨折してひどく損傷していたこともあり、たとえ命が救えたとしてもソウルは今後、寝たきりの状態になるのが目に見えていた。そのため彼を安楽死させるしかなかったようだ。同団体の広報責任者であるナタリー・トムソンさん(Natalie Thomson)は、ソウルの残念な結果についてこのように述べている。

「ソウルは全く動けず、後ろ脚はまっすぐピンと伸びたままでした。そしてX線検査の結果、獣医はソウルの背中にひどい骨折があるのを確認したのです。同団体では動物の命を救うために必要なことは何でもします。しかし犬にとって単に寝たきりで充実した生活を送ることができないのであれば、逝かせてやることが優しさだと思っています。」

ドナさんたちはソウルを救うことができなかったが、わずかに残されたソウルの時間をハートに与えることにした。ハートはぐったりとして横たわっているソウルの頭に自分の頭を擦り寄せ、最後にソウルの身体に自分の頭を乗せて安心したかのように眠りはじめた。

痛み止めの鎮静剤を与えられて意識が朦朧としているはずのソウルだが、ハートが自分のそばで眠りにつくとソウルの表情も幾分穏やかになったように見えた。2頭はマイクロチップが無かったこともあり、長いこと一緒に路上で暮らしていたと見られる。

大事な存在を失い悲しみに暮れるハートの姿に、動画を目にした人たちのほとんどが涙をこらえることができなかったようで、「悲しすぎる。でも2頭を救ってくれてありがとう」「2頭のことが頭から離れない。辛すぎるよ」「もし愛がソウルの命を救えるなら彼は永遠に生きられたのに…」といった声が寄せられた。

ただならぬ悲しみを経験したハートだが、Facebookに翌日3日に投稿された写真には同団体のスタッフに身体を綺麗に洗ってもらうハートの姿があり、多くの人が彼女の今後の幸せを願わずにはいられなかったようだ。

画像は『Stray Rescue of St. Louis 2023年1月2日付Facebook「Heart fell asleep on Soul.」、2023年1月2日付Facebook「Donna was out checking on another dog when she came up to traffic on Hwy 70.」、2023年1月2日付Facebook「These two.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)