イブのデートで、六本木の街に1人取り残された男。女がアッサリ帰ってしまった理由は…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は？
▶前回：旅行の約束までしたのに、突然態度が豹変した女。LINEが既読スルーになった理由は？
「優香ちゃん楽しかったね。じゃあ次はゴルフに行こうね」
「はい。楽しみにしています！」
街中が美しくライトアップされてクリスマスソングが流れるなか、僕たちは六本木の交差点付近で笑顔で別れた。
本当はもう少し一緒にいたかった。いや、一緒にいる予定だった。
でも優香は「タクシーが捕まらなくなりそうだから」と言って、なぜか早めに切り上げてしまった。
これは遠回しに二軒目に行くことを断られたのだろうか。でも今日もかなりいい店へ連れて行ったし、会話も盛り上がっていた。
「クリスマスイブに早めに帰るって…他に男がいたってこと…？」
街に溢れる幸せなカップルたちを横目に、僕はこの感情をどう処理していけばいいかわからず、悶々としながら一人で帰宅した。
Q1：初デートで、女が気になった点は？
優香と出会ったのは、知人が主催したワイン会だった。
出会いが目的ではない集まりだったけれど、男性のほうが多かったその会で優香は綺麗で目立っていた。しかも突然、優香が話しかけてきてくれたのだ。
「ワイン、お好きなんですか？」
「そうですね。まだまだ勉強中ですが…。お一人で参加されたんですか？」
「いえ、友人と来ました。お名前はなんておっしゃるんですか？」
「達也です」
上品な人が多い、レベルの高い会だった。そもそも会費が3万以上するこの集まりに自腹で来ている時点で、優香も自立しているのだろう。
そんなことを考えていると、優香が二軒目に誘ってきてくれた。
「もう帰られますか？もし良ければ…もう一軒くらい、一緒に行きませんか？」
「え！ぜひ行きましょう」
結局この日は24時を過ぎるまで、僕たちはワインバーで語り合った。美しくて優雅な時間が流れていき、幸せな気持ちのままその夜は解散した。
しかも翌日。優香から「またお食事へ行きたいです」と連絡が来たので、僕たちはすぐに二人でワイン通も集う『ヨルヤ』でデートをすることにした。
「ワインがお好きと聞いたので。ここのお店がいいかなと思って」
「達也さんセンスいいですね。嬉しいです！」
身長は決して高くはないけれど、顔が小さくスタイルがよい優香。今日も横顔まで美しい。
聡明な彼女とは共通の趣味も多く、話は自然に盛り上がった。
「優香ちゃん、ゴルフするんだ！」
「そうなんです。3年くらいになりますが」
「スコアどれくらいなの？」
「110くらいですかね…でも全く、上手にならなくて」
「今度一緒に行こうよ！せっかくだから、お互い誰か誘うのもアリだしね」
今日知った話なのだが、優香は会社を経営しているらしい。美人で性格まで良い上に自立していて、久しぶりにこんな完璧な女性に出会った気がする。
「いいですね！この子とかどうですか？仲良くしている女友達で、ゴルフもうまくて。一緒にラウンドする機会も多いんです」
そう言って、優香は女の子と一緒にラウンドをしている写真を見せてくれた。可愛らしい子が写っており、僕は素直にその感想を言う。
「え〜可愛い子だね。僕は誰を呼ぼうかな」
「あ…ただ…」
さっきまでハキハキと話してた優香が、急に歯切れが悪くなった。すると、こんなことを言い始めた。
「私の分はいいんですけど、この女友達の分だけ、プレーフィーを男性にご負担願えたりしますか…？多分毎回奢りゴルフで行っている子なので」
この発言を聞いて、僕はその子と行く気を無くしてしまった。基本的にゴルフは割り勘にしている。
食事などは奢るけれど、車も自分が出すわけだし、ゴルフくらいは折半で良いと思っている。
「そっちタイプか…。ゴルフのプレーフィーを割り勘前提の子は、ナシかな。そんなんじゃうまくもならないだろうし」
“奢ってもらって当たり前”と思っている女性は、そもそもあまり好きではない。
「そうですよね、すみません。では他の子を探しますね」
「優香ちゃんは？」
「私は、全然自腹で払いますので！」
「さすが経営者。いいね」
結局この日はゴルフのラウンドに対して具体的な日程は決まらなかったけれど、まさかのクリスマスイブの食事の約束をすることになった。
「24日暇なの！？」
「そうなんです。24日と25日、何かあるかもと思って空けていたら、本当に空いてしまって（笑）」
「じゃあご飯行こうよ！イブデート」
「いいですね♡」
イブに嫌いな男との食事には行かないだろう。そこで僕は、少々気合を入れてクリスマスイブのデートの準備をすることにした。
Q2：イブのデートで女が嫌だったことは？
そして迎えた24日の夜。クリスマスのせいか、飲食店の予約がとにかく取れない。
行きつけの店や行ってみたかったフレンチも予約が一杯で、予約が取れるのは「20時半過ぎからになる」と言われてしまった。
「困ったな…。みんな、そんなにクリスマスを祝いたいものなのか？」
結局、僕は西麻布にある行ったことのないイタリアンを予約することにした。家も近いし、最悪二軒目も混んでいたら僕の家で飲めばいいかなと思ったからだ。
でも最悪なことは続く。とにかく混んでいて、料理がなかなか出てこないのだ。今日はまだ2回目のデートなのに、段取りが悪いと思われたくない。
「優香ちゃんごめん、料理遅いよね」
「全然！その分ゆっくりお話できるからいいじゃないですか」
― 優香がいい子で良かった…。
反応を見ながら、むしろ優香に感謝の意を伝えたくなる。優香じゃなかったら、怒って店を後にしている女性もいるかもしれない。
「ワインも注ぎにこないしね。ボトル、あそこにあるのに」
「クリスマスですしね…。でも完全に人が戻ってきたようで、良かったです」
「久しぶりのクリスマスに、街も人も浮かれすぎだよね（笑）。道も混んでるし、お店も人が足りていないし」
「ですね〜」
とりあえずワインを飲みつつ、会話を続けて料理を待つ。
「優香ちゃんはやっぱりワイン派？」
「はい、ワインが好きです。達也さんは？」
「僕もかな。この後、よければもう一軒行かない？さっき連絡したら2席空いてるらしくて。次はこんなにオペレーション悪くないと思うから」
「ありがとうございます！でも…」
そう言うと、優香は一瞬スマホをチラッと見た。時間を確認したのか、誰かからの連絡が来ていないか確認したのかはわからない。
でも僕は、ただ時間を確認しただけだと信じたかった。
「今日はクリスマスイブだし、この界隈たぶんタクシー拾えないと思うんですよね…。なので電車があるうちに帰ろうかな」
「え？電車？電車とか乗れるの？」
「乗れますよ（笑）」
そう言いながらも、二軒目に付き合ってくれるのかと思っていた。しかし店を出ると、さっさと六本木方面へ歩き出した優香。
2回とも楽しくデートは進んでいたのに、どうして優香はクリスマスイブという盛り上がる日に、早々に帰ってしまったのだろう。
そしてこれ以降、急に優香が冷たくなった原因が、まったくわからずにいる。
▶前回：旅行の約束までしたのに、突然態度が豹変した女。LINEが既読スルーになった理由は？
▶1話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女がクリスマスイブに男を放置して帰宅した理由は…？
