【闘病】臨月並みにお腹が腫れた胃痛! 肝臓が2倍に《TAFRO症候群》

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TAFRO症候群は原因不明の疾患で、発熱や全身浮腫、臓器腫大などを伴う、全身炎症性疾患です。全国の有病者数は 150~200人程度しかおらず、あまり世に知られていない疾患でもあります。今回はそんなTAFRO症候群と闘うayumiさん(仮称)に、闘病中の話などを聞かせてもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年1月取材。

体験者プロフィール:
ayumiさん(仮称)

兵庫県在住の1986年生まれ。現在は両親と実家暮らし。診断当時はダンサーだった。2019年7月、胃のあたりの激痛が続き、クリニックでエコー検査を行う。胆嚢炎疑いのため総合病院へ行くと、胆嚢炎ではないと診断された。しかし血小板の減少、肝臓の肥大化などが見られ、即日入院。骨髄穿刺とリンパ節生検を経て、TAFRO症候群と診断される。ステロイド大量投与により症状が落ち着き、リハビリを経て退院した。現在はダンスのイベント出演に向け、体力作りに励んでいる。

記事監修医師:
副島 裕太郎(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

病名がなかなか判明せず、不安を抱える日々

編集部

TAFRO症候群の初期症状はどのようなものでしたか?

ayumiさん

ある日のダンス練習の帰り道、いつもの心地いい疲労感とは違う、嫌なしんどさを感じました。そしてその日の夜、胃のあたりに激痛が走り、思わずトイレに駆け込んだのです。しばらくして胃の痛みや張った感じがなくなったので、とりあえず数日のあいだ様子を見ることにしました。

編集部

その後の体調はいかがでしたか?

ayumiさん

数日後に、また痛みに襲われたのですが、今度は立つことすらできなくなってしまい、そのまま両親に車でクリニックへ連れていってもらいました。そこで胆嚢炎疑いが判明し、総合病院の紹介状を渡されました。総合病院では血液検査やレントゲン検査を受け、「胆嚢炎なのですぐ手術しましょう」と言われました。しかし手術室が空いておらず、別の総合病院へ転院することに。しかし、転院先で造影CT、血液検査をしてもらったところ、胆嚢炎ではないことが判りました。そして血小板が異常に少ないこと、肝臓が通常の2倍以上に腫れていることも判明し、朝から一度も家に帰ることなく、そのまま入院することになったのです。

編集部

TAFRO症候群は国内でも有病者数が150~200人程度しかいない、非常に珍しい疾患ですよね。入院後、検査してすぐにTAFRO症候群と診断してもらえたのでしょうか?

ayumiさん

入院後は検査を受け続けたのですが、はっきりとした病名がわからず、20日ほど経過してやっとTAFRO症候群だと診断されたという感じですね。珍しい疾患なため、病名を断定するのが困難だったのかなと思います。

編集部

TAFRO症候群と判明したときの心境について教えてください。

ayumiさん

病名が分かっただけで安心しました。当時はお腹が臨月の妊婦さんのように大きくなり、吐き気もありました。そして貧血と発熱で起き上がれず、歩くこともできなくなっていたのです。そんなにひどい症状が出ているのに原因がわからないというのは、本当に不安しかありませんでした。

編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

ayumiさん

「まずはステロイド1000mgを3日間投与して、その後飲み薬へ移行しましょう」と、説明がありました。

TAFRO症候群が及ぼす生活への影響

編集部

発症後、生活にどのような変化がありましたか?

ayumiさん

歩くことや階段の昇り降り、自転車に乗るなどの日常動作ができなくなりました。そんな制限のある生活には、なかなか慣れることができませんでした。仕事に復帰するのも大変でしたね。

編集部

薬の副作用などはありますか?

ayumiさん

プレドニン(ステロイド)が多かったころは、ムーンフェイスや疲れやすさが気になっていました。

編集部

症状の改善、悪化を予防するために気をつけていることはありますか?

ayumiさん

風邪を引かない、感染症に気をつける、口腔内を清潔に保つ、この3つを意識しています。寝るときもマスクをしていますし、アルコールも常に持ち歩いています。最近(取材時)はコロナ禍なので、不要不急の外出を控え、人ごみには行かないようにしています。

編集部

治療中の心の支えはなんでしたか?

ayumiさん

「治療が合えば今まで通りの生活を送れるようになる」という医師の言葉にはとても勇気づけられました。あと「退院したら生活のサポートはするからね」という母の言葉にも救われました。

編集部

現在の体調や生活などの様子について教えてください。

ayumiさん

身体にストレスがかかり過ぎないように気を付けて生活をしています。それ以外は特に病気になる以前と変わらない生活を送れていますね。

過去の自分や読者に伝えたいこと

編集部

もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか?

ayumiさん

「自分は健康体だから大丈夫だと思ってはいけないよ」と伝えたいですね。あとは「休みたい」「しんどい」と声を上げることを恐れないでほしいと伝えたいです。

編集部

TAFRO症候群を意識していない人に一言お願いします。

ayumiさん

TAFRO症候群に限った話ではありませんが「世の中には何かしらの病気を抱えている人がたくさんいる」ということを知ってほしいです。そしてもし、なにか困っている人を見かけたときは、さりげなく手助けしていただけると私も嬉しいですね。

編集部

医療従事者に望むことはありますか?

ayumiさん

難病の研究を進めて頂き、感謝しています。今より完治する病気が1つでも増えると、私もうれしいです。それが自分の病気でなくても、医療が進歩していけば、私自身も希望が持てますので。

編集部

最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。

ayumiさん

TAFRO症候群は、なぜか指定難病には登録されていないというのが現状です。TAFRO症候群を指定難病に認定してもらうための署名活動なども行われていますので、ここでTAFRO症候群という病名だけでも覚えてもらえると嬉しいです。

編集部まとめ

ayumiさんも、まさか国内で有病者数が150~200人程度しかいない、珍しい疾患に自分がかかるなんて思ってもいなかったと思います。「自分は健康体だから大丈夫、と思ってはいけない」というayumiさんのメッセージは、私たち全員が意識するべきでしょう。ayumiさんの初期症状を振り返っても「今までになかった身体の異変」は大きな病気を早期発見するための大事なSOSサインだといえます。そのサインを見逃さず、早めの受診を心がけたいですね。

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