「息を吸うと胸が痛い」原因はご存知ですか?医師が徹底解説!
息を吸うと胸が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
佐藤 友哉 医師
北海道の地方中核病院での勤務を経て、2021年4月からはフリーランスで活動している。
日本循環器学会循環器専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医。
Youtubeチャンネル「みんなの循環器内科診察室」で一般の方々に向けて生活習慣病や心臓病の症状、食事の注意点などをわかりやすく解説している。
「息を吸うと胸が痛い」症状で考えられる病気と対処法
息を吸うと胸が痛い場合、どういった病気が考えられるのでしょうか。
なぜ胸が痛むのでしょうか。今回の記事で解説していきます。
息を吸うと胸が痛い症状で考えられる原因と対処法
息を吸うと肺に空気が入り、肺が膨らみます。そのため息を吸ったときに胸が痛い場合、肺や肺の周りの膜(胸膜)、神経などの痛みが考えられます。
この中でも特に危険なものは、肺に穴が開いてしまう肺気胸、心臓や肺の周りの膜に炎症が起こる心膜炎や胸膜炎で、これらは入院治療が必要になることもあります。
胸の痛みに加えて咳や息苦しさを伴う場合はこれらの病気の可能性が高くなりますので、呼吸器内科や循環器内科を受診してください。
その他の原因としては肋間神経痛や肋軟骨炎、筋肉痛、心臓神経症などが挙げられます。
息を吸うと胸の右、右側が痛い症状で考えられる原因と対処法
息を吸うと胸の右側が痛む場合は、右の肺気胸、胸膜炎、肋間神経痛、肋軟骨炎などが考えられます。
このうち、手で押して痛みが出る場合は肋間神経痛や肋軟骨炎が疑われます。
また、風邪などで咳をしすぎた場合、肋骨の骨膜や肋間の筋肉、肋間神経を痛めてしまい、肋間神経痛を起こすこともあります。
この場合は自然に治ることも多いので、市販の痛み止め(カロナールやロキソニン)を内服し、安静にしているのが良いでしょう。
痛みが治まらない場合や咳や息苦しさを伴う場合は呼吸器内科を受診してください。
息を吸うと胸の左、左側が痛い症状で考えられる原因と対処法
息を吸うと胸の左側が痛む場合は、左の肺気胸、心膜炎、胸膜炎、肋間神経痛、肋軟骨炎、心臓神経症などが考えられます。
右側が痛い場合と同様に、手で押して痛みが出る場合は肋間神経痛や肋軟骨炎が疑われます。
心膜炎は、ウイルス感染や膠原病などが原因で心臓の周りの膜に炎症が起こってしまう病気です。症状としては胸の痛みや圧迫感があり、特に深く息を吸った際に悪化します。
重症の場合は入院して心臓の周りに溜まった水を抜くなどの処置が必要になりますので侮れない病気です。
息を吸うとたまに胸が痛い症状で考えられる原因と対処法
ときどき息を吸いにくい、息を吸うと痛いという症状で、すぐに治まるようであれば、喫煙やストレスが原因の可能性もあります。
しかし、あくまでも検査をして心臓や肺などの病気がないことを確認したうえでの診断になりますので、安易にストレスからくる痛みだと自己判断せずに、症状が続くようでしたら循環器内科を受診することをお勧めします。
中学生や高校生で息を吸うと胸が痛い症状で考えられる主な原因と対処法
中学生や高校生も肺気胸や心膜炎、胸膜炎になることはありますので、基本的には上に解説した場合と同様になります。
すぐに病院へ行くべき「息を吸うと胸が痛い」に関する症状
ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
運動した際の胸の痛みの場合は、循環器内科へ
歩いたときや階段を登ったときに胸の真ん中や左側、胸全体の痛みが出現し、休むと良くなる場合は、大動脈弁狭窄症等の弁膜症や、労作性狭心症といった心臓病が原因のこともあります。循環器内科を受診してください。
また、息を吸った際に胸の痛みがあり、咳や息苦しさを伴う場合は肺気胸や胸膜炎などの可能性もあるため、呼吸器内科を受診しましょう。
受診・予防の目安となる「息を吸うと胸が痛い」のセルフチェック法
・息を吸った際の胸の痛みに加えて咳や息苦しさを伴う場合
・息を吸った際の胸の痛みに加えて胸全体の圧迫感を伴う場合
・息を吸った際の胸の痛みに加えて冷や汗や失神を伴う場合
「息を吸うと胸が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「息を吸うと胸が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
肋間神経痛
肋間神経痛とは、肋骨に沿って走る神経に何らかの原因で痛みが出現した状態です。深呼吸や咳、くしゃみで脇腹がピリピリ痛むというのが典型的な症状です。
原因なく起こる場合もあれば、背骨やウイルスが原因のこともあります。また、風邪などで咳をしすぎた場合、肋骨の骨膜や肋間の筋肉、肋間神経を痛めてしまい、肋間神経痛を起こすこともあります。
自分でできる対処法としては、市販の痛み止め(カロナールやロキソニン)を内服し、安静にするのが良いでしょう。症状が持続する場合は循環器内科や呼吸器内科、ペインクリニックなどを受診してください。
気胸
気胸とは肺に穴が開いてしまう病気です。風船に穴が開くとしぼんでしまうように、肺もしぼんでしまいます。肺に穴が開くと息を吸った際に空気が漏れてしまうため痛みが出ます。また、肺が高度にしぼんでしまうと片肺でしか酸素を取り込めないため、息苦しさを伴います。若くて背の高い、痩せた男性に起こりやすいと言われています。
気胸は手術が必要になることもありますので、当てはまる症状であれば呼吸器内科を受診してください。
胸膜炎
胸膜炎とは、肺の周りを覆う胸膜に炎症が生じる病気です。ウイルスや結核による感染症や癌が原因となることが多いと言われています。
大きく息を吸った際にピリピリとした胸の痛みを感じることが多く、胸水という液体が肺の周りに溜まり、肺を圧迫してしまうために息苦しさも起こります。
「息を吸うと胸が痛い」ときの正しい対処法は?
市販の痛み止め(ロキソニンやカロナール)が症状の改善に役立つ場合もありますが、胸の痛みは原因が多岐に渡り、中には命に関わる病気の可能性もあるため、症状が続くようであれば早めに病院を受診するのが良いでしょう。
「息を吸うと胸が痛い」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「息を吸うと胸が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
息を吸うとたまに左胸が痛いのですが何科の病院で相談できますか?
佐藤 友哉 医師
喫煙やストレスが原因の可能性もありますが、他の病気が隠れている可能性もありますので、症状が繰り返し起こるようなら循環器内科に行くのが良いでしょう。
深く息を吸うと一瞬胸が痛みます。対処法はありますか?
佐藤 友哉 医師
まず自分でできる対処法としては、喫煙をやめる、市販の痛み止めを使用するなどということが考えられますが、上に記載したように病気が隠れている可能性もありますので、一度病院を受診することも検討してください。
運動後に息を吸うと胸が痛いのは健康な状態でしょうか?
佐藤 友哉 医師
運動後の胸痛は弁膜症や、労作性狭心症といった心臓病が原因のこともあり、また肺気胸の症状でも運動後のみ痛みが出ることもありますので、症状が続くようであれば循環器内科を受診するのが良いかと思います。
ストレスが原因で息を吸うと胸が痛くなることはありますか?
佐藤 友哉 医師
特に検査では異常がなくても、ストレスなどが原因で胸の痛みが出ることもあり、心臓神経症と言います。
しかし、あくまでも検査をして心臓や肺などの病気がないことを確認したうえでの診断になりますので、安易にストレスからくる痛みだと自己判断せずに、症状が続くようでしたら循環器内科を受診することをお勧めします。
寒いところで息を吸うと胸が痛いのは病気の可能性はありますか?
佐藤 友哉 医師
寒いところだけの症状であれば、病気の可能性は高くないかと思います。
冷たい空気が刺激となって、痛みが出ているのかもしれません。
ただし、気温に関わらず症状が出る場合や、咳や息苦しさ、胸全体の圧迫感を伴う場合は循環器内科を受診してください。
まとめ
今回は息を吸った際の胸の痛みに関してお話しました。
原因はさまざまですが、この記事を読んで適切な理解が得られますと嬉しいです。
「息を吸うと胸が痛い」で考えられる病気と特徴
「息を吸うと胸が痛い」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
心外膜炎
呼吸器系の病気
気胸胸膜炎整形外科の病気
肋骨骨折息を吸うと肺に空気が入り、肺が膨らむため、この動きとともに胸が痛くなる場合には、肺や肺の周りの膜(胸膜)、神経などの痛みが考えられます。
「息を吸うと胸が痛い」と関連のある症状
「息を吸うと胸が痛い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
息を吸うと背中が痛い胸の真ん中の痛み左胸下の痛み左胸が痛くチクチクする息が深く吸えない息苦しい胸が苦しい
胸焼けがする
胸が重苦しい
胸がピリピリする
胸の違和感
「息を吸うと胸が痛い」症状の他にこれらの症状がある場合も「心外膜炎」「気胸」「胸膜炎」「肋骨骨折」などの疾患の可能性が考えられます。
複数の症状が併発している場合にはなるべく早めの医療機関への受診をお勧めします。