花巻空港の玄関口の鉄道駅とされる「花巻空港駅」は、空港ビルから約3.8kmと、一般的な空港駅のなかでは異例の距離に位置しています。こうなった背景には、この空港の発展の経緯がありました。

最初はもう少し近かった?

 岩手県にある花巻空港の玄関口の駅として設定されているのが、JR東北本線の「花巻空港駅」です。ただこの駅、空港名を冠した駅の多くがターミナルに隣接していることからすると、ギャップに驚かされる場所といえるでしょう。――つまり、空港から結構な距離に位置しているのです。


花巻空港(乗りものニュース編集部撮影)。

 花巻空港は南北に滑走路が伸びており、ターミナルビルは南東側に位置しています。空港駅があるのは、滑走路を挟んだ北西側。空港から駅へいくには、滑走路を迂回し、さらに西へ向かう必要があります。その距離なんと約3.8km。地図アプリでは「徒歩50分」と表示されます。

 駅舎は木造平屋のコンパクトなもので、一般的に想像されるような空港駅と比べると、だいぶ素朴な印象です。それもそのはず、この駅はかつて「二枚橋駅」を名乗っており、駅舎もその頃からのもの。1988年に「花巻空港駅」へと名称が変更されました。

 名称変更当時、花巻空港のターミナルビルは滑走路の西側、つまり空港駅側にあり、そのときの距離は2km程度と、現状よりはまだ近い状況でした。ただその後、旅客機の大型化や国際線の就航をはじめとする運航規模の拡大に対応し、滑走路の反対側に新ターミナルを作ることに。花巻空港駅は、ターミナルビルからますます遠のいてしまったわけです。

 徒歩で空港から行き来するとなると、かなり“骨の折れる”花巻空港駅ですが、岩手の中心地、盛岡駅と花巻空港を結ぶアクセスバスが、花巻空港駅を経由しており、足は確保されています。これらは旅客機発着に合わせた時間帯で設定されています。バスで空港駅と空港ビルは、時刻表上7分で行き来できるそうです。