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高性能2ドア・クーペ、2代目へ

メルセデス・ベンツの高性能車部門AMGは、フラッグシップモデルである「GT」に大幅に改良を加えた第2世代を2023年に発売する見込みだ。

【画像】AMGが生んだ2ドアのハイパフォーマンスカー【新型SLと次期GT、現行GTを写真でじっくり見る】 全129枚

社内コードネーム「C192」と呼ばれるこの新型GTは、最近発表された第7世代のメルセデスAMG SLと双子のような関係にある。ただし、オープントップはSLに任せ、クーペのみ生産される。両モデルの開発はAMGが引き継いだため、ベンツではなくAMGのエンブレムが付けられることになった。


次期メルセデスAMG GTは、進化的なスタイリングを採用しながら2023年に登場する見込み。(画像は予想レンダリング)    AUTOCAR

スタイリング面では、ロングボンネットとショートテールのおなじみのプロポーションで、2015年に登場した初代モデルと同様、大型のリフトバック式テールゲートが採用される見込み。

最新のSLと同様、AMGが主導するプログラムの中で開発・設計されているが、メルセデス・ベンツの他部門からも技術的支援を受けているはずだ。英国に本社を置くハイパフォーマンス・パワートレイン部門は、今年遅ればせながら公開された新型AMGワンにおいて、F1由来のパワートレインのエンジニアリングも担当している。

メルセデスは、4.0L V8ガソリンエンジン「M178」で、第2世代GTからドライサンプ潤滑方式を採用することを明らかにした。ドイツで手組みされるこのツインターボ・ユニットは、SLと同等の出力を発揮し、新しい「GT 53」では475ps、「GT 63」では585psとなる見込み。

強力なPHEVシステム搭載 4気筒も導入か

GT R、GT GT3、GTブラックシリーズなど、パワフルなモデルも用意される。中でも興味深いのは、AMGが最近発表したGT 63 S Eパフォーマンス4ドア・クーペと同じガソリンエンジンと電気のプラグインハイブリッド・システムを搭載する、新型GT 63 S Eパフォーマンスの開発にも着手していることだ。

このシステムは、GT 63のV8エンジンとリアアクスルに取り付けられた電気モーターを組み合わせ、合計出力843ps、オーバーブースト時には最大150kg-mを発生させる。GTに搭載されれば、フェラーリ296 GTB(830ps)やランボルギーニ・シアン(819ps、限定生産)をも凌ぐ、非常にパワフルなハイブリッドクーペとなる。


可動式エアロなど、空力性能を重視したデザインとなるだろう。(画像は予想レンダリング)    AUTOCAR

現段階では、4ドア・クーペと同じ6.1kWhのバッテリーと12kmのEV走行距離を持つかどうかは不明だが、ホイールベースの延長によりパッケージングが改善されたと言われている。

GTはSLと同様、直列4気筒および6気筒の両エンジンに対応できるよう設計されている。中でも2.0L 4気筒ユニット「M254」は、48Vマイルドハイブリッド・システムと電動ターボチャージャーを搭載し、最高出力380ps、最大トルク49kg-mを発生する新型SL 43に搭載されたものである。

新型GTには、初代モデルに搭載されていたマグナの7速DCTに代わり、自社開発の湿式クラッチ付き9速スピードシフトが採用される。また、発売当初は四輪駆動システム「4マチック+」も搭載される。

ボディ剛性向上 足回りは専用チューン

構造としてはオープントップのSLと同じモジュラー・スポーツ・アーキテクチャをベースにしているが、固定ルーフとリフトバックテールゲートに対応するよう手が加えられている。新型車の開発に携わった関係者によると、縦方向、ねじれ方向、横方向の剛性がすべて向上しているとのこと。

また、シャシーマウントを新たに開発し、オリジナルモデルのNVH特性や路面感度を向上させたという。一方、ボディにはアルミニウム、スチール、マグネシウム、カーボンファイバーが使用されている。


メルセデスAMG SLとは基本構造を共有する兄弟車となる。

新型GTにおける大きな変更点として、SLSで初めて採用され、初代GTまで続いたリアトランスアクスルを廃止したことが挙げられる。これは、SLに見られるような4マチック+と後輪操舵を搭載するスペースを確保するためだ。

こうした変更に関わらず、前後重量配分は、従来の47:53から大きく変化していないという。

足回りとしては、新開発のアクティブ・ロールコントロール・サスペンションが採用され、フロントはダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンク式で、スチールスプリング、可変ダンピング、油圧作動式ロールバーが組み合わされている。これもSLと同じセットアップだが、エラストキネマティック特性を変更し、「全く異なるドライビング・キャラクター」を与えるためのチューニングが施されている。

インテリアは、SLとほぼ同じ2+2の構成となる見込みだが、よりスポーツ性を強調するため、細部のトリムが変更されるだろう。

AMGを代表するV8エンジン搭載車

高性能セダンC 63とE 63、およびそれに近い高性能SUVが、次のモデルでV8エンジンをハイブリッドの2.0L 4気筒に切り換える準備を進めている。さらに、最新ハイパーカー「ワン」もF1由来のハイブリッドV6を搭載するなど、AMGの8気筒エンジンの時代が終わりつつあることは明白である。

現在、GT 4ドア・クーペやSL、Gクラス、GLS SUVなどで4.0L V8が搭載されているが、2023年に発表される新型GTとSクラスのハイブリッドモデルが、同エンジンを搭載するAMG最後の市販モデルとなりそうだ。


AMGハンマー

AMG初の公道向け市販モデルが誕生してから約40年。V8エンジンを搭載した最も派手で誇らしい作品をいくつか紹介する。

1986年:AMGハンマー

このスーパーサルーンのパイオニアは、大人気のW124型230Eをベースにして、同時代のBMW M5に対抗して登場した。AMGの将来を決定づけたモデルと言っても過言ではない。最も強力なモデルでは、高度に改良された6.0L V8を搭載し、ランボルギーニ・カウンタックとほぼ同等の0-100km/h加速5.0秒を達成できた。

1997年:メルセデスC 43 AMG

メルセデス・ベンツがAMGを買収した後、ベースとなったW202型Cクラスと同時に生産された最初のモデル。4.3L V8エンジンを搭載し、最高出力310ps、最大トルク41.7kg-mを発揮したこのモデルは、セダンとステーションワゴンが販売された。

2004年:メルセデス・ベンツSLRマクラーレン

SLRは、モータースポーツ界の2大ビッグネームが共同開発したスーパーカーである。ゴードン・マレーがデザインし、マクラーレンが英国で製造したこのモデルは、AMGの5.0L V8スーパーチャージャーによって600ps以上のパワーを発生し、この時代を代表するハイパフォーマンスカーとなった。

2012年:メルセデスC 63 AMGブラックシリーズ

標準のCクラスとは似ても似つかないハードコアなブラックシリーズ第4弾。忘れがたいコーナリング性能だけでなく、5.5L V8ツインターボの高い順応性によって、多くの評論家から「技術的にも戦術的にも大成功」と評価された。