ちょうど100年前の7月18日、伊賀鉄道の伊賀上野〜名張が開業しました。

きょうで全通100年目


丸山駅に停車する伊賀鉄道の電車(乗りものニュース編集部撮影)。

 今から100年前の1922(大正11年)年7月18日。三重県伊賀市で運行する伊賀鉄道が全線開業を迎えました。

 伊賀鉄道はJR関西本線の伊賀上野駅から、旧上野市の中心市街地を経由し、近鉄大阪線の伊賀神戸(いがかんべ)までをむすぶ16.6kmの路線です。「忍者の里」上野を観光アピールに活用し、忍者のイラストをラッピングした電車も走っています。

 近鉄大阪線が開業する以前、この地域の玄関口は、関西本線の伊賀上野駅でした。しかし伊賀上野駅は市街地から遠く不便なため、アクセスのための鉄道として整備されました。

 国鉄駅が市街地から遠いのは全国的なことで、路面電車のほか紀州鉄道や関東鉄道竜ケ崎線、JR八戸線など、各地に「市街地アクセス鉄道」の名残があります。

 さて、伊賀鉄道(当時も同じ社名)は上野の中心部からさらに南下し、現在の終着駅である伊賀神戸を超えて、宿場町として栄えた名張まで一気に延伸したのです。これが100年前のきょうのことです。

 そのころ、関西〜伊勢をむすぶ鉄道敷設を目指していた大阪電気軌道は、参宮急行電鉄として1930(昭和5)年に上本町から伊賀神戸までを開業。同じころ、近くを走っていた伊賀鉄道を合併。参宮急行電鉄はそのまま伊勢方面へ延伸を続け、紆余曲折を経て近畿日本鉄道となり、終戦を迎えます。

 近鉄伊賀線の伊賀神戸以南は近鉄大阪線とほぼ並行していたため、1964(昭和39)年に廃止。廃線区間の痕跡は、今でもかすかに現地に残っています。

 近鉄伊賀線は2007(平成19)年に、新たな「伊賀鉄道」による運行として近鉄から分離。当初しばらく近鉄が施設を保有していましたが、2017年に伊賀市に移管されています。