東武の新型特急「スペーシアX」の座席や内装が公開されました。6種類もの座席種類を用意し、乗るたびに違った楽しみ方ができるといいます。

号車ごとにさまざまなグレードを用意


2023年導入の特急スペーシアの新型「スペーシアX」の行先表示器。情報量が多い(乗りものニュース編集部撮影)。

 東武鉄道は2022年7月14日(金)、日光・鬼怒川方面の特急「スペーシア」の後継として導入されるN100系「スペーシアX」の発表会を実施。そこで、車内設備の実物が披露されました。

「スペーシアX」一番の目玉は、号車ごとにコンセプトの異なる、バラエティ豊かな内装です。3〜5号車に「スタンダードシート」、2号車に「プレミアムシート」が設定されたほか、複数のグレードの「特別座席」も用意されています。

 最上級の特別座席が、6号車(浅草側)先頭部に設けられた「コックピットスイート」です。プライベートジェットをモチーフにした定員7人の部屋で、ソファや椅子にカーペットと和風のライトを備え、運転席側も側面もワイドな窓で景色を楽しめます。

 ほかにも1号車に「コックピットラウンジ」、5号車に「ボックスシート」、6号車に「コンパートメント」と、多種多彩。東武は「何度も乗りたくなる車両」を目指したといい、旅行のたびにいろいろな座席を楽しむこともできます。

号車ごとにさまざまなグレードを用意

 前面展望が楽しめる「コックピットスイート」は先述のとおり、窓がワイドで開放感があります。運転席との仕切りガラスと前面のガラスは天井付近まで広がり、ダイナミックな車窓が楽しめそう。側窓は外から見ると「X」が並ぶデザインですが、中から見ると六角形の窓が並ぶエレガントな雰囲気を醸しだしています。照明の意匠は、日光東照宮の「グリ紋」がモチーフとなっています。


2023年導入の特急スペーシアの新型「スペーシアX」の外装。窓の形は2種類(乗りものニュース編集部撮影)。

 そのエレガントな雰囲気は「コックピットラウンジ」もしかり。「スイート」が暖色主体でアットホームな温かさがあるのに対し、「ラウンジ」はシックな色使いで格調高く、在りし日の「貴賓室」を彷彿とさせます。昭和初期の「豪華展望客車」から約100年続く日光特急の伝統を、未来へ受け継ぐ存在となっています。

 プレミアムシートには、東武初採用の「電動式リクライニングシート」が装備。ボタン操作で、背もたれは傾くだけでなく上下に動き、座面が前後にスライドするハイテク仕様です。全座席にコンセントがあります。

 ボックスシートは、通路側に大きな仕切りを配置し、個室のようなプライベート感を味わえる仕様です。

 ボックス・プレミアム・スタンダードのある中間車(2〜5号車)の窓は、特別座席の「Xデザイン」ではなく、四角形です。ただやはり天井近くまで広がるワイドな窓で、開放感のある車窓を楽しめます。

 ほかに目を引いたのは「車外表示器」です。ドア付近にあるいわゆる「行先表示」ですが、単なる行先表示にとどまりません。LCDディスプレイには英語・韓国語・中国語標記のほか、停車駅、号車名、「全席指定席」、座席種類など盛りだくさん。そもそもディスプレイ自体が大きいです。この交通電業社製「彩 Vision」は京阪「プレミアムカー」に続き2例目ですが、ここまで情報が詰め込まれているのは初めてといいます。

 場面に応じてさまざまな鉄道旅行の楽しみを提供する「スペーシアX」、ツアー商品として各旅行代理店で販売されます。デビューは1年後ですが、きょうすでに予約が開始されました。1年先の予約を用意するのは、鉄道会社でも異例のことだと、東武は話しています。