青春18きっぷ「北陸の難関」どう抜ける?石川・富山・新潟3セク区間180km きっぷの買い方で値段違う!
北陸地方を鉄道で縦断する場合、石川・富山・新潟の3県は第三セクター鉄道を経由する必要があり、「青春18きっぷ」が利用できません。18きっぷ旅行でこの区間を越える場合、きっぷの買い方を注意しないと損する場合もあります。
普通にきっぷを買うか、一日乗車券を買うか
全国のJR普通列車が乗り放題となる「青春18きっぷ」。鉄道で北陸地方を縦断する場合、石川県・富山県・新潟県の3県にまたがる第三セクター鉄道区間は、18きっぷが使えないひとつの難関になります。
えちごトキめき鉄道の気動車(画像:写真AC)。
この区間はもともとJR北陸本線として、米原〜直江津をむすぶ北陸の大幹線でした。しかし2015(平成27)年、北陸新幹線が長野から金沢まで開業したのに伴い、新幹線と並行する区間がJRの手を離れ、第3セクター鉄道として再出発することとなったのです。
第三セクター鉄道は、それぞれ出資元となる都道府県ごとに、3つの別会社になりました。石川県内は「IRいしかわ鉄道」、富山県内は「あいの風とやま鉄道」、新潟県内は「えちごトキめき鉄道」が担当しています。
3セク3社に移管された金沢〜直江津は、約180km。青春18きっぷで自由に乗り降りすることができません。では、どうすればいいのでしょうか。
普通にきっぷを買う場合は?
3会社をまたぐ北陸移動ですが、会社間で「連絡運賃」が設定されており、通常のきっぷを買う場合、IRいしかわ鉄道ではあいの風とやま鉄道の東端の市振駅まで、えちごトキめき鉄道ではあいの風とやま鉄道の富山駅まで、それぞれ通しのきっぷを買うことができます。
以下は、通常のきっぷで北陸3県を乗り通す場合の合計運賃の例です。下記の2例のように、どこからどこまでの組み合わせで買うかによって、合計運賃が若干異なる場合があるので、少し注意が必要です。
●IRいしかわ鉄道・あいの風とやま鉄道:2470円(金沢→倶利伽羅→富山→市振)
●えちごトキめき鉄道:1310円(市振→直江津)
計 3780円
●えちごトキめき鉄道・あいの風とやま鉄道:2440円(直江津→市振→富山)
●あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道:1240円(富山→倶利伽羅→金沢)
計 3680円
このように連絡運賃の設定の違いで運賃差が生じます。金沢からの場合、富山までと直江津までのきっぷに分けると、100円お得になります。
フリーきっぷを使えばお得に
IRいしかわ鉄道とあいの風とやま鉄道は、土休日とGW・夏休み・年末年始限定で、一日乗車券を発売しています。発売額は2社乗り放題な「IR・あいの風フリーきっぷ」で2000円。「IRいしかわ一日フリーきっぷ」(500円)と、あいの風とやま鉄道の「1日フリーきっぷ」(1500円)も発売されていますが、合計額は同じで、さらに県境の倶利伽羅〜石動間は両方の範囲外のため、個別で買う意味はあまり無いでしょう。
JR北陸本線から移管された第三セクター鉄道3社(国土地理院の地図を加工)。
えちごトキめき鉄道は、「青春18きっぷ」持参者に限り購入できる「トキ鉄18きっぷ」を発売しています。発売額は1000円。発売・利用期間はそれぞれ18きっぷと同じです。
注意点は、富山・新潟県境の越中宮崎〜市振間が各フリーきっぷの範囲外なので、乗り通す場合は別途、この区間のきっぷ210円を買う必要があります。
「IR・あいの風フリーきっぷ」と、越中宮崎〜市振間の210円、そして「トキ鉄18きっぷ」を組み合わせると、全線を3210円で乗り通すことができ、普通にきっぷを買うよりも安くなります。さらに途中下車も自由となるので、基本的はこれらのフリーきっぷを購入するのがベストでしょう。ただし繰り返しますが、「IR・あいの風フリーきっぷ」は土休日および指定期間のみ利用可です。
ちなみにえちごトキめき鉄道は、平日は一日乗車券「トキ鉄ツアーパス」を発売。価格は2000円です。こちらは石川・富山と違い「平日限定」です。
18きっぷで通過できる「特例」も、ただし限定された条件のみ
これら私鉄の区間を、青春18きっぷだけで乗車できる「特例」があります。その特例は「通過利用」の場合。具体的には、「JR北陸本線〜IRいしかわ鉄道〜JR七尾線」「JR氷見線・城端線〜あいの風とやま鉄道〜JR高山本線」といったJRの“孤立路線”へ乗り継ぐ場合のみに適用されます。
たとえば富山駅から高岡経由でJR氷見線の氷見駅へ直接行く場合、富山駅のあいの風とやま鉄道の改札で有効な18きっぷを提示しその旨を告げると、きっぷを購入せずに高岡まで乗ることができるのです。