ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して世界中の国や企業が輸出停止や販売停止などの制裁を科しています。新たに、台湾の経済部が台湾に拠点を置く企業からロシアおよびベラルーシへの半導体輸出制限を発表しました。この制限によって台湾からロシアに輸出できる半導体は、2000年に登場したPlayStation 2(PS2)に搭載されたCPUよりも低性能であることが求められます。

Taiwan restricts exports of strategic high-tech commodities to Russia and Belarus

https://www.digitimes.com/news/a20220530PD204.html

Taiwan Restricts Russia, Belarus to CPUs Under 25 MHz Frequency | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/news/taiwan-restricts-exports-of-25mhz-cpus-to-russia

2022年2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始して以降、IntelやAMDといった大手半導体企業がロシアとの取引停止を相次いで宣言しており、台湾に拠点を置く世界最大の半導体生産企業であるTSMCも2022年2月にロシアへの制裁に参加することを表明しています。さらに2022年3月には日本政府がロシアおよびベラルーシへの半導体輸出禁止措置を発表するなど、多くの政府や企業がロシアとの半導体取引を制限しています。

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新たに台湾の経済部がロシアおよびベラルーシに対する半導体輸出制限を発表しました。この制限により、台湾に拠点を置く企業は以下の条件のいずれかに該当する半導体をロシアおよびベラルーシへ輸出できなくなります。

・計算処理性能が5GFLOPS以上

・動作周波数が25MHz以上

・ALUのビットサイズが32bit以上

・データ転送速度2.5MB/s以上の相互接続性能を備える

・ピンの数が144を超える

・基本伝播遅延時間が0.4ナノ秒未満

IT系ニュースサイトのTom's Hardwareは、2000年に登場した家庭用ゲーム機のPS2に搭載されたCPUが動作周波数150MHz・演算能力6.2GFLOPSであることを考えると、台湾からロシアおよびベラルーシへ輸出できる半導体はPS2のCPUを下回る性能しか許されないと指摘しています。

なお、大手半導体企業との取引が困難になったロシアではデスクトップPC向けCPUとして中国産のx86プロセッサの導入が検討されています。しかし、それらのプロセッサはiPhoneなどのスマートフォンに搭載されているプロセッサの処理能力を大きく下回っていることが報告されています。

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