共産党・志位委員長「党名を変えるつもりはない。私たちの理想の社会、不屈の歴史が刻まれたこの党名を大事に使っていく」 - BLOGOS編集部
※この記事は2014年12月08日にBLOGOSで公開されたものです
8日、日本共産党の志位和夫委員長が外国特派員協会で会見を行い、議席増が報じられている状況について「選挙戦も後半戦に入りましたが、国民の皆さんの新たな関心・期待、これが広がりつつあるのを感じます。躍進の可能性が生まれていると感じています。残る6日間の奮闘で必ず現実のものとしたいと決意しています。」とコメントした。一方、自民党・共産党の候補者だけの選挙区が25、公明党・共産党の候補者だけの選挙区が3と、「与党vs共産」の構図の選挙区が全ての選挙区の約1割に当たる状態になっている。外国メディアの記者からは、こうした状況について、現実的に野党が勝利するための共闘の可能性を問う質問、また、そもそも党名を変えるつもりはないのか、といった突っ込んだ質問も飛び出した。
ー今回、日本共産党が大きく躍進すると報じられているが、理由はなぜだと思うか。
志位氏:まだ躍進は現実のものとなっておりませんので、答えは難しいんですが、ただ躍進の可能性が言われていることについて、若干のコメントをしたいと思います。
やはりこの2年間の安倍政権の政治、これがあまりにも民意に背く暴走の2年間だったと思います。これに対して、この政治は怖い、この政治は危ないという気持ちが国民の中に広がっています。この暴走を止めてくれる政党はどの党か、ということを多くの方々が考えておられます。
やはり国民の立場に立ってぶれない日本共産党こそ、この政治に立ち向かえるのではないかという期待が広がっているのを感じます。
同時に、私たちは対決するとともに対案を示してきました。経済の問題でも、外交の問題でも、国民の立場に立った対案を示してきました。この、対決とともに対案を示す、という姿勢も評価を頂いていると思っています。
是非、生まれている躍進のチャンスを現実のものにしたいと考えています。
ーブレなかったという話があったが、それは妥協しなかったともいえるのではないか。自民党に対決するには、野党と協力することによってこそ、国民に別の案を提示できることもあるではないか。
私たちは、条件の合うところでは、柔軟な対応をやっております。それは沖縄です。沖縄の県知事選挙では、保守と革新の垣根を越えた共闘体制が作られて、翁長雄志さんがついに圧勝しました。
私たちはこの共闘の体制を大切にして、今度の総選挙でも、沖縄1区、2区、3区、4区と、全てで共闘して戦う態勢です。
この沖縄での戦いでは、知事選で共闘したすべての政党と会派が協力して戦っています。保守の方々とも協力するわけですから、日米安保条約は言わば横においての共闘になっています。ぜひ沖縄では4つの選挙区すべてで勝ちたいと思っております。私も明後日応援に行って参ります。
ただ、全国的には野党間の選挙協力の条件が合うわけではありません。
例えば野党第一党の民主党と、共産党との関係を考えてみましても、民主党は消費税増税の推進派ですが、私たちは反対です。最大の争点を取ってみても、立場の違いがあります。
こういう状況をどうやって打開していくかを考えた場合に、私は日本共産党を躍進させることが日本の政党政治を前向きに変化させる最大の力になってくると思っております。
日本の政治史にひとつの経験があります。
1970年代に、日本共産党は国政で大きく躍進した時期がありました。この躍進は、他の野党にも大きな影響を与えました。当時野党だった公明党も一時期、日米安保の即時廃止を唱えました。当時の社会党との間に統一戦線協定が二度に渡って結ばれました。こうした流れは反動派によって断ち切られましたが、日本共産党の躍進が政界全体に大きな影響をあたえたのが70年代でした。
今度の選挙で日本共産党が躍進すれば日本の政党の状況に前向きの変化をもたらす可能性があると思います。様々な課題で野党間の協力ということが現実のものになる可能性があります。そういう躍進をぜひ勝ち取りたいと思っています。
ーしかし、やはり世論調査では厳しい予測がでており、躍進したと言っても、全議席の20%くらいしか取れないのではないか。もし自民党が全てを支配できるような議会になってしまうとしたら、国会そのものの役割はどういうものになると思うか。
今度の選挙がどういう結果になるかを今からコメントするのは難しいものがあります。ただ、自民党が多数を占めた場合に、強力な対決者は日本共産党になると思います。
もう一つ申し上げておきたいのは、仮に国会の中で彼らが多数を得たとしても、世論の中では安々と多数にはなっていないと思います。集団的自衛権の行使容認には、どの世論調査でも5割、6割が反対です。消費税10%への増税も、だいたい半分が反対です。原発の再稼働についても、5割、6割が反対です。もう一つ言えば、沖縄に辺野古への新基地は県民が厳しいNOの審判を下しています。
今挙げた4つのイシューは、全部これから安倍政権に問われてくる問題です。
私たちは国民との共同で安倍政権を包囲します。そして、彼らの企てを失敗に終わらせる、そういう戦いをやっていきたいと思います。
もともとこの時期になぜ首相が解散したのか、その動機を言えば、先送りすればするほど今挙げたような問題に直面してますます追い込まれる、そう踏んでのことです。
私たちは、もちろん政党間の協力も可能な限り追求しますが、なによりも国民との協力を追求します。
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また、日本共産党にはクリーンで、100%ブレないというイメージもあったし、確かに民主党とは同じ意見になれないと思うが、協力し、日本共産党が候補者を出さないことによって、自民党に対抗する野党の候補者が当選する、そういう選挙協力ができないものなのか。
先ほども申し上げましたが、沖縄のように、いわば大義をもった形で選挙の協力をする条件が全国的にはありません。
率直に言いますが、今、日本の大きな根本問題である消費税増税の問題、原発の再稼働の問題、集団的自衛権の問題、沖縄の基地の建設の問題、さらにアベノミクスの5つの争点で、民主党や維新の党との立場が違うのです。
今言った全ての問題は、民主党が政権時代に手を付けた問題でした。ですから、安倍政権に対抗する足場が持てないんです。維新の党の立場というのは、安倍政権よりももっと右の立場が目立ちます。
ですからそういう状況の下では、日本共産党が全ての選挙区で候補者擁立し、安倍政権と正面から戦うこと、論戦によって追い詰めていくことが、安倍政権に対する最大の痛打になると考えております。
もし私たちが擁立しなければ消費税10%中止を言う候補者はいなくなります。集団的自衛権に対しても正面から反対する候補者がいなくなります。原発再稼働に反対する候補者もいなくなります。そして沖縄の新基地建設に反対する候補者もいなくなります。今度の選挙では私たちは全選挙区で立てて、堂々と安倍政権の暴走と正面から対決して戦い、対案を示すことが、安倍政権を追い詰める最大の力になると確信しています。
ー日本の友人にどの政党を支持するかと聞くと、日本共産党と答えるが、投票まではしない人が多い。多くの日本人は、「共産」「共産主義」という言葉にアレルギーを持っているのではないか。どうしても「共産主義」と言うと、もしかすると日本経済を潰すような経済・金融政策を取るのではないかと考えられているのではないか。
日本共産党の政策は非常に素晴らしいものだし、ユニークだとも思う。政党助成金ももらわないという、素晴らしい要素もある。
まず党名を変える、という考えはないのか。また、現在でも、共産主義が日本を救うものだと考えているのか。
ありがとうございます。お友達に、今度は共産党と、ぜひお願いして下さい(笑)。
名前の問題が出ましたが、今度の選挙では、特徴は「こうなったらもう共産党でもいい」と、こういうのが多いんですよ(笑)。 ただ、名前について言いますと、私たちは共産党ですから、人類の社会は資本主義で終わりだとは思っていません。
ただその際、2つの点を強調しておきたいと思います。 一つは、私たちは、まずは資本主義の枠内での民主的改革を目指すという立場だということです。すなわち、異常なアメリカ言いなりと、財界中心。この政治を正して、国民が主人公の民主主義の日本を目指すと。これが第一のステップです。これをやり遂げた上で、国民の合意で次のステップに進む、というのが私たちの立場です。
もう一つのポイントは、私たちが目指す社会というのは、崩壊した旧ソ連のような、国内的には人民抑圧、対外的には他国侵略、こういう社会は社会主義とは全く無縁のものとして、きっぱり退けているということです。
とりわけソ連の覇権主義、ヘゲモニズムについて、我々は激しい論争をしてきました。チェコスロバキア侵略、アフガニスタン侵略は、社会主義とは無縁だと厳しい批判をし、ソ連の共産党とは激しい論争になりました。この論争は1991にソ連共産党が崩壊したことで終止符が打たれました。私たちはソ連共産党が崩壊したときに、"両手を上げて歓迎する"という表明をしたんです。
そういう自主独立の党として、資本主義の社会で達成されたあらゆる自由と民主主義を発展的に継承させ、花開かせる社会を目指す、と綱領でうたっております。そういうことをよく説明して、何とか共産党という名前で書いていただきたいと思っております(笑)。
どうかお友達にもよろしくお伝え下さい。(笑)
ー名前を変える可能性はないのか。
変えるつもりはないんです。これは私たちの理想の社会が刻まれた名前であり、そして92年の不屈の歴史が刻まれた名前です。大事に使っていくつもりです。
「コミュニズム」の語源は、ラテン語の「コムニス」です。すなわち「共同」と言うことです。人間と人間が角を突き合わせて、いがみあって暮らすのではなく、支えあって共同して力を合わせて社会を作ろうというのが、元々の語源です。
日本でも「コミュニティ・センター」など、いろいろあります。「コミュニティ・センター」ってのは直訳すれば「共産センター」ということになります(笑)。
ー綱領にある「社会主義革命」という考えを変えることはないか。これに多くの方が躊躇するのではないか。日本共産党が議席を確保した場合、天皇制そのものを廃止するという考えはあるのか。
綱領の中では、「社会主義革命」という言葉はないんです。私たちは、権力をある勢力からある勢力に移行することを革命と呼んでいます。当面している「民主主義的変革」は、これは文字通りの「民主主義革命」です。それに続く社会主義への道は、私たちは「社会主義的変革」という言葉を使っています。これは民主主義革命を成し遂げた勢力が、さらに国民の合意を得て次のステップを進んでいくということがあり得るからです。
それから天皇制の問題についてですが、私たちは天皇の制度というものを、国民の合意で、これを本当の民主共和制に変えていくということを展望しています。ただ、この問題をどこで解決するかというのは、これは綱領では予め決めておりません。これは日本社会の発展のずっとかなり先の段階で解決される問題だと私たちは展望しています。
具体的に言いますと、民主連合政府というのを提唱しておりますが、この政府は天皇制の問題には手を付けません。私たちの当面する変革では、憲法については、天皇条項も含めて全ての条項を厳格に守る、そして平和的・民主的条項を全面維持するという立場です。
ですから私たちが参加する政権ができても、天皇制とはかなり一定の長期に渡って共存する可能性があると考えています。
ー(司会)時間が来てしまいました。今日はありがとうございました。
短い時間で大変恐縮です。もし躍進できたらまた呼んでください(笑)。その時は時間をたっぷり取ってお話ができると思います。今日はありがとうございました。
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